9割の人が知らない!相続税の基礎知識

参照:photo-ac


相続税のこと、他人の話だと思っていませんか?
「相続税を払う人って財産をたくさん持っている人、資産家でしょ?」と思っている方はじつに多くいらっしゃいます。

相続税は本当にお金持ちの世界のことなのでしょうか。平成27年から相続税の税制改正が適用されて、相続税に関係する人が倍増するという現象が起きました。みなさんは、本当に無関係なのか考えてみましょう。



国税庁HPより 被相続人と相続税発生件数


◇相続税の発生件数が、税制改正によって倍増◇


グラフは平成28年に税務局が公表したものです。青の線はその年に亡くなった人の数(被相続人の数)を取っています。ゆるやかな右肩上がりの線になっているのが見て取れます。

一方、赤が表しているのは、被相続人の数のうち、相続税が発生した件数です。赤の数を繋いでいる線を見ると、平成26年まではほぼ一直線の形状をしていたグラフが、平成27年になると急に傾きを大きく上げて急増している様子を見ることができます。

平成26年において、被相続人(青の数)のうち相続発生件数(赤の数)の割合を見ると4%です。これが平成27年になると127万人の被相続人のうち相続税発生は10万3千人、割合にして8%へ倍増しているのです。

つまり相続税を払うことになる可能性がこの1年で2倍になったということになります。



◇相続をスムーズにする「基礎控除」が縮小?◇


相続税を払う可能性が2倍になったのには理由があります。
今回の税制改正によって、控除額が大幅に減ったことが原因です。

そもそも、相続税はどのような場合に発生し、金額が決まっていくのでしょうか。その流れを説明します。

被相続人の財産があります。それに直接相続税を課税してしまうと、莫大な相続税を払わなければならなくなり、相続財産を手放すケースが増えてしまいます。
相続されていく財産は、先祖から繋がる、祖父母の代そして父母から受け継くもの、そして次の世代に受け継がせたいものです。ですから大切な財産に、大きな税を課す前に、控除できる枠があるのです。

相続税の計算は以下のとおりです。

まず、相続する財産から控除額を差し引いて、評価が小さくなった財産に対して相続税を掛けます。ですので、差し引いて良い控除額が大きければ相続税課税額が小さくなり、さらに控除額が相続財産よりも大きければ、支払う相続税は0円となります。


それが、平成27年の相続税法改正によって、基礎控除額がそれまでの6割に縮小されました。これによって相続税発生件数が倍増したのです。


国税庁HPより 遺産に係る基礎控除額の改正



大幅な基礎控除額の減少によって、相続税課税件数が倍増し、相続税を払うことになった人が増えました。

一方で課せられる相続税率については累進課税になりますが、課税税率もまた税制改正を機に高く変更されています。

ちなみに、相続税を納税したその平均額はH28年において1,750万円でした。この額を現金で納付するのです。皆さんは急に現金でこの額を用意することができますか?ちょっと大変ですよね。


◇残られた人を困らせないために◇


相続が発生して困ることになる前に、今のうちに準備できることがあります。
それは、相続計画を立てておくことです。相続計画を立てるには、資産状況の確認から始めていきますので、まず始めに相続税がかかるケースとなるのかを確認できます。

身内であればあるほど、なかなか財産がいくらあるのかを聞きにくいものです。

少なくとも自分の相続人に対して、相続における税負担があるのかどうか、という不安を与えないようにすることはできますよね。一度ファイナンシャルプランナーなどに相談されてみると全体像が見えてきます。

相続税に支払いがあるかどうかは、持っている財産の総額の確認が大事ですが、資産を並べて書き出してみると、現金が少ないとか不動産に偏っているとか、内訳や割合なども見えてきます。

そこから始めて対策すべきことが見つかります。早めの相続計画作成をお薦めいたします。FPなど専門家にご相談ください。


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