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龍が如く5のネタバレありの感想。

龍が如く5を先日クリアしました。

ゲームとしてはものすごく面白かったのですが、ラストの展開に首をかしげる事が多く、大傑作になり損ねた作品だと感じました。先週書いた感想は以下の通りです。

ここからは、ネタバレ全開で感想を書いてみたいと思います。遊んだことが無い人は引き返すのをオススメします。




...ということで、以下はネタバレありの感想を書きますね。 

まず各章の簡単な感想を書いてみます。

第一部は今までのシリーズを通した主人公でもある、桐生一馬からのスタートとなります。

前作の「龍が如く4」においては、桐生は第4部からの登場だったので、かなり早めの登場になりますね。とある理由(遙がアイドルになる条件)として沖縄を出た桐生が、何故かタクシードライバーをやっているという衝撃の展開に、まずはビックリでしたね。度肝を抜かれました。

桐生に寄り添う明確なヒロインが現れて、これまでのシリーズとは違うテイストを感じました。ただ、このヒロインが第一部以降、まったく登場しないのは本当に肩透かしでした。。。

あと、福岡の街の再現度合いにまずはビックリしつつも、その街の中に車が走っているのにも衝撃を受けました。ここで「ああ、龍が如くスタジオの人は、龍が如くというシリーズを根本から変えようとしているな」という気持ちを受け取りました。

加えて、プレイヤー自身も福岡を車で走ることが出来るのも、良いアクセントになりました。また、途中から高速道路でレースが始まるのもビックリでしたね。タクシーシミュレーションの出来も、レースゲームの出来も非常に良かったです。

どちらも簡単すぎず、難しすぎずというバランスが絶妙でした。丹念に遊べば、どちらもきちんとクリア出来ますからね。

また、話全般としても、大悟の謎の失踪から始まり、真島の死亡ニュースで終わるという、物語の引きからラストの驚愕の展開まで、きっちりと芯が通った話になっています。

システム面としても、サブストーリーが発生するところがマップ上に明記されており、マップが大幅に増えたが故の変更だと思いますが、無駄な移動が減ったのも好印象でした。写真システムや料理システムも良かったですね。どちらも良い追加要素だと感じました。


次に第二部は「龍が如く4」から登場した冴島が主人公ですね。冒頭の神室町のチラ見せから、真島との交流は本当に良かったのですが、冴島自身が何故かまた刑務所に入ってしまう展開に。この理由も最後まで明かされず、若干の肩透かしがありますね。

加えて、冴島は前作でも刑務所からスタートだったので、正直「また刑務所か!」と思ったのですが、その後の直ぐに脱獄し、スノーバイクゲームと熊退治ゲームを経て、まさかのマタギ修行の展開に。第一部とは、別な意味で度肝を抜かされました。こうくるか、と。

マタギゲームも地味によく出来ていて、罠を仕掛けるのは若干面倒でしたが、各種動物の挙動やら、熊の凶暴性は非常に良く表現出来ていたと思います。また、当初は戦いづらいものの、徐々に主人公が強くなっていき、狩りが効果的に出来るようになったのも好印象です。このバランスも良いですね。

また、最終部で、刑務所編のキャラが球場に出てくる展開は「おいおい、そんな簡単に3人とも来れないだろ!」という突っ込みはしたものの、胸熱の展開でしたね。第一部のヒロインが再登板しなかったの比べて、好印象でした。


この次の第三部は遙アイドル編でした。路上ダンスバトルからアイドル営業、握手会、バラエティ番組、クイズ番組、コントまでミニゲームが非常に良く出来ているな、と感じました。

特にコントは、「これで一つのゲームが出来るのでは無いか?」と思うような完成度の高さで、高得点を取ろうと、何度も繰り返し遊んでしまいました。

加えて第三部には個人的にお気に入りである秋山が「龍が如く4」から再登場しており、第三部も最後までとても楽しめました。秋山は新しいアクションも加わって、とにかく使っていて楽しいキャラでしたね。前作から飽きさせないように作っているのも好印象でした。

ストーリー的には、途中の事務所社長の死は本当に必要だったのか、と思わなくも無かったですが、ライバルのアイドルの存在から、最後のコンサートまで遙編は完成されていたと思います。ただ、1日でドームが埋まるほどチケットが売れるのか、という大きな疑問はありましたがw

続いての第四部は名古屋編で、元プロ野球選手という新たな主人公(品田)が加わり、主人公にお金が無いという斬新な設定で、バッティングセンターが話の軸に加わるという超展開で、また大きく角度が変わって非常に楽しめました。

ストーリー的には、大悟と品田が高校の同級生であるという「おいおい、超後付け展開だろ」という強引は話はありましたが、哀川翔も良い味を出していたし、ホームランボールを受け取った本人だったという展開は良かったですね。

黒幕の正体も「おおおお、こう来るか」と思ったりもしたのですが、その黒幕との対決が最終部でなかったのは、正直残念でした。

ちなみに、釣りのミニゲームをやるのをすっかり忘れていて、第四部クリアまでホークアイ(ボールをスローにする技)を使わずにクリアしてしまいました。丹念にレベルを上げれば、ホークアイを使わなくてもクリアできるバランスになっているのも好印象でしたね。


という感じで、第四部までは「龍が如く」シリーズのテイストはきちんと押さえつつも、主人公が5人、かつ舞台が4都市追加されていて「過去作から大きく改変を行おう!」という強い志を感じました。遊んでいて本当に楽しかったです。

上述した、各種改変は個人的には非常に好ましいものばかりであり、各種システムや各部のアナザードラマ(ミニゲーム集)は、本当にゲームにマッチしていると感じました。太鼓の達人が遊べたり、バーチャファイター2が入っているのもビックリです。パチンコも何気に良い出来で結構遊んじゃいました。

ゲーム全般を通じて難易度的に、ほどよい歯ごたえだし、ストーリーも謎を上手い具合に残して最終部を迎えました。ここまでは、本当によく出来ており、ゲームとしては最後まで飽きずに楽しめました。そりゃ、各部に違うゲームがてんこ盛りに入っているので飽きはこないですよね。

これで最終部は神室町に5人が集合して、大団円になれば文句ないと思っていました。色んな謎が解決していく中で、秋山の所に福岡編、札幌編、大阪編のヤクザが勢揃いする展開は本当に良かったです。ご都合主義ではあるものの、ラストがここで終わっていたら言うこと無かったですね。

ただ、最終部は残念ながら不完全燃焼で終わってしまいます。具体的には大きな問題が3つもあり、「ああ、話を纏めることが出来なかったのね。」とがっかりしてしまいました。

問題点は以下の3点です
・ラスボス+パパが拍子抜け
・真島が捕まっていた理由が不明瞭
・ラストの展開の絵面を重視するあまり、各キャラの後日談がない

まず、ラスボスが相澤(東城会の下っ端)というのは、拍子抜け以外の何者でもないですね。ストーリー上の説得力がまるで無いです。相澤は、第一部から登場するのですが、「ヤクザとしての仁義を通せないし、気が利かないキャラ」という位置づけでした。

加えて、相澤は最終部の冒頭で、冴島に簡単に倒されており、最後の桐生との対決で急に強くなる理由が不明瞭です。ゲーム全般を通じて、桐生と相澤のドラマや絡みが殆どなく、その中で二人の戦闘が始まったのは、正直困惑しかありませんでした。

仮に相澤をラスボスにするのであれば、「第一部で桐生と相澤の因縁を作る」&「相澤のキャラ付けをもう少し強くする」必要があるでしょうし、最終部での冴島との対戦は不要でしょう。

仮に冴島と対戦するなら、思ったより善戦し「あれ?相澤は実は強かったのかも。」という事をほのめかしても良かったかと思います。

あと、近江連合の会長である相澤のパパ(奥田瑛二)の行動が最後までよく分からず、「で、あなたは一体、何がやりたかったの?」という感覚が最後まで抜けなかったです。それと、流石にあそこまで大胆に行動していれば、どこかで正体ばれるでしょ(笑)加えて、冴島がパパの事を知らなかった、というのも違和感を感じましたし。

また、パパが相澤を後継者にしたいなら、最初から近江連合で鍛えておけば良かったでしょ?とも思うし、近江の部下2名を見限る必要も無かったと思います。この辺りの説明も本当に足りないと感じました。


個人的に一番気になったのが、真島が捕まっていた理由や目的が結局最後まで明かされなかった事ですね。もう少し、合理的な理由を提示してくれればば良かったんですが、結局お茶を濁されて終わりです。理由も無く簡単に捕まるキャラじゃ無いでしょ、真島は。

あと真島vs冴島は楽しかったけど、この2人の対決がストーリーに深みを与えたか、という言われると「何もないのでは?」と思わざるを得ないです。真島という龍が如くシリーズを象徴するキャラの一人をきちんと生かし切れてなかったな、という感覚を受けました。もったいないなぁ、と。

それと、エンディングにおいて、遙がコンサート会場で「桐生の娘です」というのは一見感動的ではあるけど、ここまで尽力してくれた事務所の人に対して恩を仇で返す行為になり、あまりにも身勝手だと感じたし、遙というキャラらしくないな、とも感じました。

また、ラストシーンで倒れた桐生と遙が会う絵は美しかったですが、「なんで、桐生の場所が分かったの?」という疑問が頭から抜けず、かつそのシーンでゲームが終わったので、「あれ?他のキャラの後日談はないんかい!」と肩透かしを食らった気分でした。

特に野球疑惑の話は、監督や名古屋組の面々を含めて、謎のまま終わってしまった展開も多く、品田の後日談は是非見たかったなぁ、と感じました。冴島も、あの後どうなったのか、を描いて欲しかったですし。秋山は、ある意味、あのシーンが全てを持っていったので、後日談は無くても気にならないですが、花ちゃんとの再開やちょっとしたコントは欲しかったな、と思ったりもしました。

まぁ、龍が如く4はラストが非常に良く出来ていたので、余計に龍が如く5のラストの作り込みの荒さを感じてしまったのかも知れませんが。

ともあれ、龍が如く5については、最初からラストの展開を考えてなかったんだろうなぁ、と思います。また、せっかく非常に面白いラストを作れそうな素材はたくさんあるのに、それを生かし切れて無くてもったいないな、と感じました。

まぁ、最後まで作り込む時間も予算も無かったのかもしれません。ただ、任天堂なら発売を1年延期してでも、全ての整合性を保つようにラストを作り直し、自社ブランドを守ったんじゃ無いかな、と感じたりもしました。

一方、ゲーム全般としては最後まで楽しめたのは事実なので、ラストさえ良ければ、という思いは変わらずですね。ほんと大傑作になりそこねた1本だと思います。

あと、念のため書いていますが、これだけ文章を書くというのは好きなことの裏返しでもあるので、個人的には「最後まで夢中に遊ばせてくれてありがとう!」と制作者の皆様に感謝したい気持ちで一杯です。

引き続き「龍が如くシリーズ」は楽しんで遊びたいと思っています。

補足1


本宮ひろ志さんというマンガ家がいるのですが、大風呂敷を広げるのが上手いのですが、上手く畳めてない作品が多いです。ただ作者自身が「途中まで面白ければ良いだろ?」という主旨の発言をされており、確かにそれもそのとおりだと思います。

ただ、超大作系のゲームであるならば、きちんとストーリーのブラッシュアップした上で発表して欲しいなぁ、とも思ったりもします。プレイヤーがゲーム全体に短くない時間を費やす訳なので、ラストはきちんとして欲しいんですよね。

天外魔境2を作った一人であるプログラマの岩崎さんは「自分が良いと思ったエンディングよりも、長く遊んできたプレーヤーが納得するエンディングにすべき」という主旨の発言をしていますが、まったくその通りだと感じました。

なお、天外魔境2はある意味ハッピーエンドなのですが、当初はかなり重たいダークなエンディングも考えていたようです。そのエンディングも見てみたい気もしますが、やはりハッピーエンドで終わった方がプレイヤーとしては嬉しいですよね。

「龍が如く5」のエンディングの場合は、予算の関係上これで終わり、という空気感は感じるものの、制作陣が「賛否両論あるかも知れないけど、このエンディングで行く!」という覚悟のようなものを感じないです。

なので、ある意味「どのエンディングが良いのか?」というエンディング議論の土俵に上がっていない気がしますし、龍が如くという作品のテーマとも外れている気がするんですよね。

まぁ、上にも書きましたが、これだけ文句が書けると言うことは、愛情の裏返し、ということでご寛恕ください。

補足2

現在は、5におけるラスト消化不良感を解消するために、龍が如く0を開始してしまいました。0は「過去における神室町」の作り込みがとにかく狂気じみていて、感動すら覚える出来です。

現在は大阪編に入っていますが、大阪の作り込みも同様ですね。路上の反射やゴミが妙に落ちているのにリアルさを感じます。

今年に入って、龍が如くの4と5をクリアしたので、これで0をクリアすれば、シリーズは6.7の2本を残すのみですね。今年中にシリーズ全部をクリア出来そうな勢いになってきました。

全部クリアしたら、龍が如く・維新やジャッジアイズ(キムタクが如く)も遊んでみたいですね。


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