12月10日(日)
さがしょーからメッセージが来てたの忘れてた、返信、クリスマスの25日遊びたいらしい、俺も行きたい、出不精かつ人間嫌い、嫌いと言うと語弊があって、実際のところ僕は人が本質的に大好きで、好きすぎるせいで全ての人間に勝手な期待を寄せてしまうから、裏切るとは言わなくても、相手の悪意が全くなくても、自分の認識とちょっとズレたことをされると途端に気分が落ち込んでしまうという全くもって身勝手な性格のせいで、人付き合いが悪く、誘ってくれた友人も次々変な理由をつけて断っていたら、以前まで数人、誕生日を祝ってくれた人たちも今年は数がだいぶ減って、そんな中でも連絡してくれるしょうくんみたいな人は貴重だから行きたいけど、多分予定まで数週間空きがある時点で、マルチタスクができない、予定が立てられない、約束を守れない俺は、決まった通りにイベントをこなせないことを今までの経験で知っているから、行きたい遊びたい気持ちの色々を全て押さえ込んで、ごめん、その日は俺バイト入ってて、てかお前早く彼女作れよ、クリスマスなんか、俺に構ってないで、俺もバイト詰めだけどw、時間あったら今度一緒に風俗行こう、みたいな意味不明なノリで返信して、けどさがしょうは優しいから、なんかフォローになってない陽キャ特有の謎文章と、これまたよくわからないアニメの、よくわからないシーンを切り取ったスタンプで返信してくれるのだろう、というか来た、返信、翔くんのいいところは刈り上げソフモヒ、水泳で培ったガタイの良さ、悪趣味な柄シャツの三段活用で、夜の繁華街を仕切るチャイニーズマフィアみたいな風貌をしていながら、誰にでも明るく話しかけて、なおかつ結構キワキワなアニメオタクという、中学生が描きがちな、ちょっとだけ現実に対する解像度の低い、少女漫画のキャラクターみたいな性質を持っているところで、そういえば食器洗わないといけない、昨日食ったレトルトスパゲッティを入れた深めの皿が一枚と、スプーン一つにフォーク一つ、フライパン一つ、昨日寝る前に水飲んだコップ、その前に溜まった数えきれないゴミと食器、けどだめだ、排水溝につけるトラップ、生ゴミが溜まりすぎて臭くて外に出してるから、食器も洗えない、アパートの人には申し訳ないと思う、汚いだろうけどそうするしかない、あれをつけないと橋とかフォークとか洗ってる時に、排水溝に滑って落としちゃうのわかりきってる、普通の人はやんないかもしれないけど俺はやるんだ、あれは本当に惨めだ、いい歳した男が箸を排水溝に詰まらせて、焦ってネットで一番最初に出てきた業者を呼んで、結局ぼったくられて11万円持ってかれた、その時ちょうど生活の諸々がうまく行っていないタイミングで、全てがどん底に落ちてた時だったから、イライラを人にぶつけたこともあって、もう死のうかとも思ったけど、あまりにも理由がガキすぎる気がして、排水トラップ、取りに行くのやだな寒いし、他に着る服がないから、今の格好で外出るわけだし、こそこそしないといけない、洗濯機にはもう三週間前の下着が入ってる、蓋を開けるのも嫌だ、わかりきってたのに、今度はこまめに洗おうって思ったのに、何もできない、結果おれは二週間着続けてる緑のクリスマススウェットに、同じく二週間着続けてる高校時代のジャージズボン、匂いがやばいだろうからスーパーにも行けない、歩いて五分のローソンにも行けない、だから今日は朝から深夜二時の今まで、一度もご飯を食べていない、全ては繋がっていると思う、辛さ、あるいは不幸、それはちょっと無責任すぎるだろうか、苦しい、やるべきあれは、まずそれをクリアしなきゃいけないし、それをやるにはこれの準備をしなきゃいけない、連鎖する事象に眩暈がして、もう何もできなくて、貯金は減る一方で、でも世界には間違いなく俺より不幸で努力している人が数えきれないほどいて、それも苦しい、硬い枕に寝ているせいで、後頭部、首の上の方が滲むように痛む、自虐的になって自分が対峙すべき現実を誤魔化すのは一番ダメだ、かといって上手く生きれる気もしない、頭は動き続けているのに、明日は月曜でただでさえ数少ない仕事の日だから、少しは頑張って行かないといけないんだけど、いくら考え直しても服がない、自分でも分かる匂いだから相当なんだろう、店長は人格がよくできた人で、厳しくはあるんだけど、俺みたいな人間にも嫌な顔せず、馬鹿にせず、問題点を直接指摘してくれるから嬉しい、けどだからこそ逆恨みができなくて苦しい、そもそも部屋が色々なゴミで臭っているから、洗濯程度でどうにかなるのかも怪しい、子供の頃もそうだった、六年の時担任に遠回しに、風呂に入ったほうがいいと言われ、思い出したくない、風呂にも入ってたし洗濯もしてた、それが分からない人間がいる、そちら側になりたかった、昔見た映画、貧困街で生活していた男が身分を偽って執事をしていたんだけど、その匂いを指摘されて逆上して、主人をぶち殺すシーンがあった、匂いは見た目や言葉遣いと違って客観視が難しいからなおしにくい、あの時俺は、他人事のように、ただ、上手いシーンだな、と思った、歩くのはよく効く、思考が一つの方向に進みすぎる事がないから、けど下駄箱の前に貯めたゴミ袋が邪魔で、扉を開けるのが億劫だ、無理にどかすと微妙に空いた袋の口から、ゴミが溢れてまた嫌な気分になる、靴を取り出すのが面倒くさい、靴下もない、無理無理無理だ、無理無理、今日昨日一昨日布団から出たのはトイレと、水と飯と、あとは、思い出せない、せっかく布団買い替えたのに、前のだいぶ汚かったから、奮発してマットレス、10000円の買ったけど、オレが干さないからちょっと前に見たらカビが生えていた、多分もう結構増えているんだろう、黒い粒が水溜まりのように、墨汁を垂らした半紙のように広がって、見たくない、それは物理的にもそうだし、考えるという意味でもそう、なんでこうなっちゃうんだろう、小さな不快感がビー玉のように溜まって、目が痛い。
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