見出し画像

あの哲学者をイメージさせる「プラトンの隠れ家」

 かつて北海道の経済の中心であり、日本の第一線で活躍する経営者を輩出してきた小樽市。数多くの銀行も支店を置いており、その重厚な建物は伝統的建造物として、公共施設やお店など趣のあるものに変化している。その小樽の繁華街が「花園町」だ。スナックや居酒屋が所狭しと軒を並べている。
 小樽に行ったことがある人ならわかるだろうが、花園通りの「かま栄のかまぼこ」の横を入っていくと、スナック通りがあり、その中に「プラトンの隠れ家」という高級カラオケパブがあった。20時から2時までのお店で年中無休。チャージ1300円。ボトルがオールドで6000円、リザーブで8000円。カラオケは歌い放題だ。
 そこで、実は大学の時に僕はアルバイトをしていた。とにかく、お酒のことも知らないし、夜の世界は初めてのこと。昼はマジメな感じなのに、飲むと別人のように変わる会社の社長。彼氏とくるとおとなしいのに、女の子同士だとタバコも吸うし、わがままし放題だ。時にはヤクザの親分のお連れの女性が綺麗で見とれていると、「お前何見てるんだ」と怒鳴られたこともあった。
 そんなプラトンの隠れ家の通り。今はかなり変わってしまって、そのお店の影ももうない。いろいろな人の人生が、この隠れ家を行きかい、そこにもまたその人の本質があらわれることがある。大学1年の秋から4年の卒業まで、試験期間中も、アルバイトとして多く働き、学費や生活費に充てて、後は奨学金で何とか賄っていた。そういう意味でも僕の生活を支え、人生の機微を教えてくれた場所でもある。何だかちょっとエネルギーをいただいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?