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銭湯という文化

 海外から来た人に、銭湯に行こうというと、文化的に裸を見せることが恥ずかしいと思う人たちがいる。逆に、未知の世界へ飛び込んでみようとする人もいる。日本人だって、最近は銭湯に行くことには抵抗もあるのだから、それぞれの思いがあるのはやむを得ない。
 そもそも銭湯というのは、今のように各家庭にお風呂やシャワーがなかった時代に、「共同浴場」というのがなくてはならない場だったのだ。そこで、近所の人や見知らぬ人との会話もある、一種の社交場のようなところだったのだ。
 酒を酌み交わすのもいいけれど、ここは裸の付き合いで、本音で話し合う場になる。世界には、水着を着て入る「ジャグジー」文化はあるが、裸の付き合いはあまり聞かないし、日本固有のカタチと言えるのかもしれない。
 幼い頃は、相当な田舎暮らしだったので、片道2キロくらいもある銭湯に通って、また帰ってきたころには汗でびっしょりということもあった。時間をかけて行くからこそ、銭湯のありがたさもあるのだ。たまには、町の銭湯ににつかりながら、あれやこれやと思いを巡らすのも悪くない。

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