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名言と伝説から思考するキッズケア

1月のある日、小児がんに関する研究のミーティングと
小児在宅医療についてのワークショップに参加。


小児がんに関わる人はみんな優しくて熱い。でもその優しさが、子どもであり、病人である「人」に向けられた時、何かを奪うことがある。それに気づかずそれが優しさだと思い込むことで楽になろうとする人もいるし。優しさってなんだろう、って落ち込んだり自分を責めている人もいる。
熊谷晋一郎先生の「希望とは絶望を分かち合うこと」という言葉が、頭の中でぐるぐると何度も登場していた。


若い小児科の先生が、治らないことを告知するのが、絶望的に辛い。と相談してくれたことがあった。でも、向き合っていた。絶望させたくないから言わないでおきましょう、なんて許されない、ことに気づいているから苦しんでいた。小児科医でもない僕に、そんな相談をしてしまうくらい、迷っていたんだと思う。


あなたが絶望していることは、誰かを助けていることだと思います。と、なんとか伝えた。若い先生の絶望を少しだけだけど、もらえたら。と思った。


たまたま病院内を歩いていたら、
入院してからずっと家に帰りたいって泣いている、がんの子がいる。
と師長さんに声をかけられて、お母さんと話して、その子と話して。
「帰ろうね」って言った。
主治医と立ち話で申し送りを受けて、翌日に退院して在宅医療で関わらせてもらったことがある。
“たまたま” “立ち話” “翌日退院”


人の想い、は時間とともに変化する。
強い想いも挫けることがある。
強い想い、だから挫けることがある。
「時に、スピードが必要。調整なんてやってらんないことがある」
と、あおぞら・前田浩利先生もそのミーティングで、言っていた。


その時、何を信じて動いているんだろう。あの時、何を信じて動いたんだろう。
と、振り返った。「帰ろうね」ってどこから出てきたんだろう。


子どもたちの診療をするようになり、
子どもたちの生活や成長につきあおうともがくようになり、
子どもたちのために、何かしようとしている時よりも
子どもたちが何かしようとしてるのを追いかけてる方が、道ができて行くことに気づいた。
この子たちが、教えてくれること。変えてくれること。気づかせてくれること。
のおかげで、僕は嬉しいことも安心できることも増えてきた。


「この子らを、世の光に」
不勉強なので、糸賀先生の真意には全くたどり着いていないと思うのだけれど、
少なくとも僕にとっては、うん。なんか、道しるべなんだ。


下河原忠道さんが
「特性が強く見える子は地域の宝なんだと思う。支援の対象ではなく、共生の鑑なのだ。」と呟いていた。

そして伝説へ。

福子伝説、ご存知ですか?
その昔、日本では、障害を持った子どもは「福子」と呼ばれていました。
その子が生まれると、その家や、地域が、栄えるからです。
思いやりが育まれ、みんなが団結する、新しいつながりが生まれる。
初めてこの話を聞いた時(3年前)、シンプルに、そうだな。と思いました。
オレンジはかなりその恩恵を受けてるなぁ、と感謝の気持ちです。


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今日の診察で、奇跡の寝返り。
みんなで応援し続けて、クルッと回った瞬間に大人4人がガッツポーズでうぉーってなる。
子どもの家に行って、診察に30分も1時間もかける価値は一方通行でなくおたがいさま。幸せが連鎖する。
カンパーイ!

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