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最近、インスタグラムをやめた。
心がしんどくなったのだ。別に興味のないやつの生活をのぞいたり、のぞかれたり、見せられたりすることが、億劫で仕方がなくなった。
決め手になったのは就職活動だ。
みんなこぞって就活アピールを始めた。きっとこういうやつは、勉強アカウントやらを作ってタイムラプスを投稿していたやつと同じだろう。

ひとりごとでいいはずのそれは、いつしか誰かに見られるためのものに変わってしまった。この写真は映えてないとか、こんな文章気持ち悪いと思われそうだとか、そんなことを思いながら使うツールの楽しみがわからなくなった。
私は持たざる者だ。持てる者に苦しみがあるのなら、その苦しみを味わってみたい。そして持てる者各位に、持たざる者の惨めさを思い知っていただきたい。
特に思い入れのあった、2年ほど愛用していたアイドル用アカウントは消した。残念だ、あそこが私の全てだった。それもおかしな話だ。SNSのたったひとつのアカウントが私の全てなわけがない。
24時間で消えるストーリーは気が楽だった。どうせ消える。だけどそれを見てなんとか言ってくるやつもいた。やめようと思った。
インスタグラムには充実した日々しか載せてはいけない、みたいなルールでもあるのだろうか。他の人のきらきらを見るたびに、私の足元に伸びる影は濃くなっていく。勝手にマウントを取られたような気になって、勝手に嫌いが増えていく。

そうだ、インスタグラムを始めてから、嫌いが増えた。私にとっての好き、の反対に位置するのは興味がない、であった。嫌うことは滅多になかった。興味がないものを目にし続けると、嫌いにシフトチェンジ、下位互換されてしまうことに気付いた。その点、インスタグラムのミュート機能は便利だった。

インスタグラム、もうやることはないかもしれない。わざわざそうやって、嫌いを増やしたくない。嫌いが多い自分のことが一番嫌いで、自分はたくさんのものを受け入れられる人間でありたいから。そのためにインスタグラムは必要ない。
願い下げだ。


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