「費目の流用可」はcolabo弁護団による後付工作?

colabo弁護団は、「Colabo及び仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷等について」と題する文書にて、暇空氏が行った車両関連費等の指摘についてデマとして批判をしている。弁護団が「デマ」と断定する根拠の1つが「費目間の流用は可能」という論理である。
今回、費目間流用に関する開示請求結果が出たことから流用について改めて整理したいと思う。

Ⅰ事業計画書の細目費用について

(1)3ヶ月×6万の駐車場代の説明の変節

最も情報が揃っている令和3年度の車両関連費の内、3ヶ月×6万の駐車場代の扱いについて、時系列で整理すると以下のとおりである。

R3 6万円×3ヶ月の駐車場代の情報変遷

この短期駐車場代について、東京都の担当者は「工事期間中の一時的な駐車場代」とcolaboから聞いたとしている。業務完了後であり支払済としての回答である。しかしながら、11月29日の弁護団説明書では「実際は借りてない。3ヶ月としてたのは業務費上限のためである」と全く異なった説明にすり替わってしまっている。

3ヶ月×6万の駐車場代の説明の変節

(2)事業計画の細目流用は弁護団の後付工作?

11月上旬の「工事か何かで3ヶ月使えなくなるから借りたとcolaboから聞いている」は、東京都及びcolaboが事業計画書の細目に沿って支出がなされたことの説明であり、両者が事業計画書の費用細目に拘束されている共通認識があったことを示している。このため「費目間流用は可能であり、流用した」とする弁護団説明書の論理とは相容れない。事業計画書をベースとした東京都と暇空氏のやり取りは、この駐車場しか詳らかになっていないが、タイヤや宿泊費等についてもなされている可能性が高く、暇空氏は録音データを保持していると思われる。
また、弁護団の言う「仕様書で禁じられていないから流用可能」は仕様書の規定に反しており、不適切である。仕様書は「事業計画によって執行すること」としており、事業計画に則った執行ができなくなった場合は仕様の履行が不可能となったことを意味し、東京都と協議の上で他費目への流用等の承諾が必要となる。また、協議や承諾は書面によって行うこととされている。

費目間流用にかかわる仕様書と契約書

このため、東京都に事業計画書細目の流用の承諾について開示請求を行ったところ、該当文書はないとの回答を得た。

細目流用に関する開示請求結果

以上より、事業計画書の細目を流用する場合は、仕様書上東京都との協議や承諾が必要であるが、colaboは当該手続きを踏んでいなかったことになる。また、11月上旬までは東京都もcolaboも事業計画書の細目に拘束されるとの認識が双方にあったことも明らかである。
「費目間流用可」の話は11月29日のcolabo弁護団の説明書が初出であり、事業計画書に沿った支出がなかったため、後付で弁護団によって創作された可能性がある。

Ⅱ「費用間流用の可否」に関する問題点等

(1)浜田議員の質問に対する厚労省審議官の回答について

12月6日にNHK党浜田議員が国会での質問に対して厚労省野村審議官が「補助金の対象経費の中で且つ事業目的に反するものでなければ柔軟に活用いただけるもの」と答弁を行った。これをもって流用可能との指摘もなされたがcolaboと東京都を拘束するのは厚生労働省ではなく、仕様書・契約書である。

(2)東京都福祉保健局の追認と監査結果について

colabo弁護団としては「12月2日の東京都福祉保健局の実地調査での追認」を流用可の根拠とする可能性があるが、東京都は「既済の業務の支出に不正はない」との利害がcolaboと一致している。仕様書が規定する事業計画書に則った支出がされてなかった場合は、検査・精算済みの東京都担当者等も処分される可能性があり、流用可能だったとの後付を追認した可能性がある。また、監査結果は細目以前に「大項目を仕様書の経費費目にあわせる」であり、結果的に大項目間の流用も可能としてしまっている。契約上の権利義務の検討もされていないため、契約上の流用に関して判断がなされていない(監査委員に法律関係者がいないのは不適切では)。

(3)住民訴訟と会計検査について

会計検査院及び暇空氏による住民訴訟において、費目間流用の可否が争点の一つになるのは間違いない。結果は予想できないが、費目間流用の可否や弁護団の後付であったかどうかが明らかにされることを期待したい。会計検査院は契約書や仕様書の文言を厳格に判断するため、東京都の承諾のない費目間流用は不可とする可能性が高いように思う。
なお、表3の2900万のベースとなったcolaboの台帳が11月初旬に整備されていれば、「工事のための一時的な駐車場代支出」との説明は不可解であり、当該台帳の整備時期もあわせて知りたいところである。

(4)デマを流したのは誰?

colabo弁護団は車両関係費や宿泊費等について「費目間流用可」を前提として、暇空氏の指摘を「デマ」と断じている。しかしながら、11月初旬に事業計画書に沿って3ヶ月×6万の駐車場代の説明をしたのは東京都であり、その情報を提供したのはcolaboである。東京都とcolaboもデマを流したことになる。もし、東京都担当者の「colaboから聞いている」が事実と異なるのであれば、colaboの抗議先は暇空氏ではなく東京都福祉保健局であろう。
また、契約書・仕様書や11月初旬の認識に違え「費目間流用可」を弁護団が後付で創作したのであれば、暇空氏による矛盾の指摘は正しく、後出しジャンケンのルール変更で「デマに仕立て上げた」ことになる。結果的にcolaboにプラスになることはなかろう。

Ⅲ 弁護団の時系列管理

colabo弁護団の中川及び神原両弁護士は、中川弁護士の弁護団加入時期と関連ツイートについて、時間軸の整合がとれない釈明をしているようである。

中川弁護士の弁護団加入とツイートの時系列に関する認識

「駐車場について事業計画書に沿った支出をした」との過去の発言と矛盾する「流用可能なので支出はしてない」について、時間を遡及したり過去を忘却することない整合のとれた説明を求めたいところである。

主要な修正履歴

  • 1/27:弁護団の時系列管理を追加

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