〈ゲーム感想〉【FE エンゲージ・前半】派手なのに緻密、これぞ最新鋭のSRPG
感談(かた)れ!新作のエムブレム!
(ネタバレあり)
SRPGの代名詞ファイアーエムブレムのシリーズ最新作『ファイアーエムブレム エンゲージ』。発売から2周遊び、これを初投稿で選ぶほど語りたい気持ちが溢れたので良いトコ悪いトコ、思うままに書きなぐります。
後半はこちら:
ゲーム性
攻略が楽しい~。遊んだ人皆が口をそろえて言うほどSRPGの醍醐味である『戦略』の幅が広い!そう感じる理由は「ユニット毎の役割のメリハリ」「ど派手なエンゲージ技」の要素が大きいと考えます。
今作のユニットはステータスが極端だったり、ヘタレやすくて器用貧乏だったりで安定した職(クラス)は存在しないといってもよかったです。誰しもが必ず弱点を抱えており、そこをチーム全体で補い合っていく必要がありました。
弱みを軽視した単騎突出も許されません。ならず者なんかは結構適当ですが、軍隊ともなるとほぼほぼ複数人がかたまって動き、味方一人を囲んできます。
そして新要素の一つ、「スタイル」の【連携】がいっそう単独行動を成立させないようにしてきます。いいですよね、【連携】。仲間の戦闘に参加して彼我のステータスに関係なく「命中率 80 %」の「相手の最大HP 10 %分のダメージ」を与えていくので、相手の防御が高かろうが回避が高かろうが、何度何度も戦ううちにじわりじわりと体力を削っていきます。
囲まれないようどこで迎え撃つか、誰を先に倒しておくか、毎ターン悩ましい。
エンゲージ技についても、戦いを楽しくする要素の一つだと言っていいでしょう。第一印象はとにかく「派手」。ざっくりいうとマルス~ベレトまでの歴代FE主人公が力を貸してくれる、ユニット強化システムです。「エンブレム!エンゲージ!!」というちょっと恥ずかしい掛け声とともに、青白く輝く炎をまとった特別コスチュームに早着替え。
これがなによりもまず、強い。誰でもわかるぐらい、強い。この『変身』により特別なスキルが解放されてユニットが大幅に強化されるだけでなく、「半径10マス以内のどこへでも瞬間移動して普段の倍以上のダメージを与える」だったり「行動済みの味方を一度に四人再行動させる」だったり「一列に並んだ敵を全員一気に貫く」だったり…一回の『変身』で一回しか使えない制限はあるものの必殺技までついてくる。
この点は発売前から何となく聞いていたので「今回もゲームバランスは大味だろうな」とタカをくくっていました。
――違う。違いました。
エンゲージ技は打開策。ピンチをチャンスに変える一手。先にも言った通り、今作はAIがちゃんと徒党を組んで行動をとってきます。攻めも守りもしっかりしており、うまく捌けないと何かを諦めなくては…というつらい選択にたびたび迫られます。
そんなときの解決の糸口となるのが、このわかりやすい効果を持つ大技たち。12個以上ある技のうちどれを使ってその場を切り抜けるかがカギになります。
決して一人では戦わせず、劣勢を覆すようなゲームシステムに、キーワードである「絆」「希望」などがうまく反映されていて、そういった点でも今作は非常にゲーム性が高いと感じました。
マップデザイン
攻略サイトのマップ画像を使って解説したいぐらい、今作の敵の配置には唸らせられました。こちらの行動を読んだうえでさり気なく置かれた敵には舌を巻くばかりです。
代表して具体的に語りたいのが上の二人(左、トッツィ/右、テッツィ)が登場する『第13章 オアシスの勇者』。
ここはマップ左下には逃したくない一本、「レスキュー」の杖をくれる民家があります。そこにたどり着くには、視界が悪い索敵マップに加えて、こちらの進行を妨げる障害物が多数置かれているのを何とかしなくてはなりません。一応、この章で仲間になるミスティラ&アイクで中央を南下すれば簡単に賊が民家を襲う前には広場にたどり着けます。
…が、中央を突破した先には弓兵、魔導士、ウルフナイトの遠距離3ユニットに加え、ポールアクス持ち斧兵が暗闇に隠れています。移動力の高い【飛行】や【騎馬】が急ぐために突出すると必ずピンチに陥る布陣。
「そりゃいるよね!エンゲージだもん!」
自分の時はアイビーとアルフレッド(+ディアマンド、ミスティラ)が向かっていたのですが、暗闇からぬるっと出ててこられて叫びました。マップ担当者さんはさぞ楽しかったでしょうよ。
少しの油断が事故につながるように、他にも銀の槍持ちの中に一人だけ魔法の炎の槍持ちを混ぜてみたり、【連携】が発動しやすいよう銀の剣とトマホークを持たせてみたり、毎ターンまっすぐ目指してもギリギリ1マス足りなかったり、とにかく味方も敵も障害物も配置が絶妙です。
キャラクターデザイン
正直なところイラスト・デザインについては門外漢なので偉そうなことは言えませんが、Mika Pikazoさんのキャラクターは、敵も味方も誰を見ても個性的でゴージャス。Elyos Collectionの特典である設定資料も読みましたが、服飾も一人一人、一つ一つが凝ってます。
尖ったデザインが深く深く突き刺さり、次はこのキャラを、次の周回はこのキャラ試そう、と顔採用が捗ります。
このイラストの魅力が損なわれること無く3DCGで表現されています。煌やかな見た目に負けないぐらいのオーバーリアクションでグリグリ動くのです。(人によってはわざとらしいと思えたかも…?)
今を時めくイラストレーターさんを選んできたことといい、ムービーやらモデルの綺麗さといい、ソシャゲマネーが至るところに本編タイトルに還元されている感じがしましたねぇ。末永くこんな感じでよろしくお願いします。
豪華絢爛なビジュアルと計算づくの戦略システムを兼ね備えた、まさに最新のSRPG。キャラや自分のチームなどまだまだ語りたいことは尽きませんが、前半・良いトコ編はここまで。
(後半に続く)
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