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〈ゲーム感想〉【Sons of the Forest】恐怖の島でどこまで快適に暮らせるか

閲覧上の注意

本作は未成人非推奨のサバイバルホラーゲームです。取り扱う画像は極力注意いたしますが、本編はゴア表現や不快な描写が非常に多いため、それらを踏まえた上での感想になることをご了承ください。


生きるために打ち倒せ

(ネタバレあり)
人食い人間
がはびこる孤島を舞台にしたサバイバルホラーゲームの二作目です。一人称視点で島で生き延びながらグロテスクな描写や襲われる恐怖を体験できます。前作『The Forest』はサバイバル経験豊富な旅行客、今作は企業にやとわれた特殊部隊の一員です。マルチプレイにも対応しており、最大8人でプレイできます。ショッキングな表現があるためPCのみの販売です。


グラフィック

ホラーゲームだからこそでしょうが、大自然のグラフィックがフォトリアルに美麗に描かれています。木々はもちろん花やキノコ、川べりの苔など島の様々な植生が細かく表現されています。敵がいないモードもあるので、のんびり無人島ライフがしたい方はぜひ山頂から湖畔、森林から海岸まで歩いて回ってみてください。固定オブジェクトである誰かの遺体は結構散らばっていますが。

ヘリの窓から。ミドルスペックでも綺麗。

武器や細かな傷、木を切ったときの斧の痕などとにかく細部までこだわって作られているためぜひとも最高画質で観たいところですね。


ゲーム性(ビルディング要素)

ホラー+サバイバル+クラフトのゲームのため、拠点づくりやアイテムクラフトがこのゲームの楽しみの一つです。前作からの変更点はそこまで大きくはないですが、新たに「マニュアル建築」という要素が追加されています。

建設予定地を決められるオート建築。(ただし素材は自分で持ってくるからセミオート)
どこでも自由に組み立てられるマニュアル建築。レ○の説明書みたい。

このマニュアル建築、それぞれ建築時に固有のモーションが存在しており、丸太や木材を運んで設置しようとすると半分に割った斜めに立てかけたり細かい動きをしてくれます。ですが、これが若干面倒くさい。一つ一つの動きは細かくて感動しますが、木材のマニュアル建築を検知してくれる判定がわかりづらく点線の矢印であらわされるガイドの意図も、素材を置いてみてからようやくわかるということがたまにあります。

しかも画像を見ていただくと気づかれたかもしれませんが、この建築要素、素材の必要数がめちゃくちゃリアルな数です。ツリーハウスは本気で丸太を68本を要求されます。ツリーハウスなので取り付けるための木を含めると69本。これは本当に大変。マルチの場合は人海戦術により森を丸裸にする勢いで木々を伐採することができますが、少人数マルチやシングルプレイは結構途方もない労働になります。

サバイバルホラーと申し上げた通り、作業中だろうと休憩中だろうとご飯が焼けるのを待っているのだろうと、付近を敵性の人食い人間が通りかかると十中八九襲われます。それも結構な人数で。

となるとさっさと拠点を作って自分たちの身の安全を確保したいわけです。前作もそうでした。人数が少ないときは急ピッチで建物を建てる必要がある…と思っていたのですが今作は一味違います。

なんと名ありのNPCがいて主人公を助けてくれるのです。それがこの男。

たき火を作れてご満悦!

ケルビン君です。いや、れっきとした成人男性で主人公と同じ特殊部隊の隊員なのですが、物語開始時の事故により聴力を失ってしまいます。そのため、こちらの声も、敵の接近にも気づけず戦闘周りは全くできません。

筆談でコミュニケーション。

彼はAIで動いており、逐一指示を出すことであらゆる作業のお手伝いをしてくれます。「危ないから隠れておいて」「そこの建物建てておいて」「寝床作っておいて」「川で魚とってきて」「ここら辺一帯の木を切り倒しておいて」とにかくあれやこれやとお願いをすれば主人公を助けてくれます。

丸太を担いでひょこひょこ歩いていたり、せっせとたき火の枝を集めたり、とにかく、特殊な訓練を受けた戦闘員のはずなのに、なんだか健気で意外なほど愛着がわきます。

さらに良いところ。彼のAIが微妙にポンコツのためバグ挙動はもちろん、自分で作ったたき火に足を突っ込んで火傷したり、せっかくできたツリーハウスをぶっ壊したり(残念ながら現時点では修正済みです。)、主人公がいらないというまで延々と魚を採り続けてくれたり。ケルビンの行動の一つ一つからどうしようもない愛すべき駄犬感が漂ってきます。

平気で人が座っているところに座る。(むすっとした右の人はおぽのの友人です。)

このゲームは恐ろしい世界なので、ケルビンも当然致命傷を受けると死亡してしまい、二度とゲームでは会えなくなってしまいます。ただしそう簡単にやられはしないのでご安心ください。ちょっと小突かれると全速力で遠くに逃げるうえ、瀕死状態(こちらが救助行動をとらないとその場から動けなくなる状態)で地面に突っ伏していても、しばらく時間が経過すると立ち上がってまた逃げ出します。そう、主人公がとどめの一撃を刺さない限りいなくなりません。安心して拠点の庭に放っておいてください。


ゲーム性(サバイバル要素)

メインとなる島の探索です。画像は出せませんが、島で離ればなれになってしまった仲間たちを探しつつ、半年以上前に行方不明になったパフトン一家の消息を辿るのが目的です。

パパパフトン。アップデートでパソコンの左上に自分の家族の写真が追加されました。

探索のカギになるのが、クラフト&ビルドに加えてサバイバルグッズを駆使した戦闘です。はじめはサバイバルナイフしかありませんが、なぜかそれよりも強い木製の槍を作り、なぜかタクティカルアックスより強い石斧を振り回し、全然狙えない木弓を構え、襲い来る化け物たちと戦います。前作も本当にコンポジットボウと強化された槍(骨製)頼みでした。

ですが、今作は主人公は特殊部隊の人間、平気でハンドガンとショットガンが手に入ります。グレネードも投げられますし、GPSまでも持っています。さすがに攻撃力が一般人と段違いです。

最初からこんなかっこいいアイテムが使えるんですか?

それでも一人~少人数時には人食い人間の大群に襲われて窮地に立たされるでしょう。そんな時手助けしてくれる人も、もちろんいます。

友人のおかげでレザースーツ姿。

バージニアです。手足がなんだか多いですが、友好的な関係を築けます。初遭遇時はおびえて逃げてしまいますが、少しずつ交流を深めていくうちに共に戦ってくれる仲間になってくれます。銃や服を渡すとしっかり装備してくれるのでお好みのスタイルに。

ただし彼女は口がきけません。身振り手振りで彼女の意図をくみとる必要があります。どっからかとってきた物(大体ベリーかウサギとか魚の死体)をくれたり、おびえて後ずさりしたり、水辺でバレエを踊ったりします。

顔はこっち向いているのにちゃんと敵を見つけて銃口を向けてる優秀ガール。

ケルビンとは異なり、気ままに島をふらついているので見失うとしばらく会えないなんてこともざらです。そのため、服や銃を渡すときに一緒にGPSロケーターも渡してあげましょう。GPSで追跡できるようになり会いたい時に会えるようになります。特に必要になるときはないですが。


難易度

前作『The Forest』をやったうえで今作を遊ぶと、特に気づいてしまいます。今作結構楽だな…と。あらゆる面が前作より強化されているため、遊びやすさは格段に上がっています。そして、主人公の設定を生かした銃火器の使用、様々な使いやすいデバイスの存在が敵との戦闘を楽にしてくれています。

敵らしき人も銃を持っていますが一切撃ち合いはありません。

しかし、それによって逆に前作にあったハードなサバイバルホラー感が若干損なわれていることは否めません。(アーリーアクセス版だからなのかもしれませんが…。)

また点在するかつての生存者の拠点から得られる物資も豊富です。最悪、次から次へと洞窟を行き来しながらアイテムを集めているだけでクリアが可能といっても過言ではないレベルです。しかも建築が前述のとおり一筋縄ではいかないため、実は拠点作らなくてもいいんじゃない?という境地にたどり着きます。結局タープと枝があればどこでもセーブと睡眠ができるのでね…。


UI/UX

基本的な操作はガイドが出てきますし、ある程度サバイバルクラフトゲームを遊ばれている方は、大体イメージしている通りのキーボード操作ができます。

ただ、それをもってしても語られない仕様が多い。遊びながら覚えてね!というスタイルだとは思いますが、特に建築回りで迷うような操作があるとますます苦しい思いをします。撤去の方法が直感で分からなかったので、最初のほうは延々とタープの寝床が残っていたりしました。

いやもう、ケルビンに作らせちゃえばいいか…。

3Dプリンターのソリなんかは、ジャンプして視線を下に向けてアイテムを使うと乗れるのですが、わからん…。おぽのと友人は前作亀の甲羅でスライディングしていたので一切迷いませんでしたが、その操作はわからないです。


この作品は良いトコ悪いトコがはっきりしているので、このホラーが楽しみたい!という場合は悪いトコを割り切れると断然楽しめると思います。また、現時点(2023年4月時点)でもアーリーアクセス版であり、追加ストーリーなどまだまだ強化されるため何度やっても面白いでしょう。

前作『The Forest』はすでに完成されており非常に怖楽しいので、難しいサバイバルホラーが遊びたければ『The Forest』もおすすめです。おぽのの手元にスクショがぜんっぜんないので感想記事を書きにくいですが、あちらも語りたいことが山ほどあります。

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