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業務に役立つリンク一覧(消耗品や試薬編)

*最終更新 2022/11/30
トップの画像は無料の高画質の写真提供サイト、Unsplashで、Louis Reedさんが提供の写真です。

実験で用いる消耗品など

各社のガラスボトムディッシュの比較に関して

35mmのガラスボトムディッシュで細胞を培養することは基本であり、ディッシュは各社から販売されている。使ったことのある範囲で、以下に比較や特長を記す。

同じ35mmディッシュではあるが、本体の直径が35mmと、ふたの部分が35mmでは、サイズ感が大きく異なる。ふたが35mmであるのがVIOLAMO製で、本体は更に小さいため、他社より明らかに小さく感じられる。本体容量が異なると、培地の量の再確認が必要かもしれない。

また観察目的により、「1ディッシュで、視野を変えながら多くの細胞を使うことができる場合:ミトコンドリアの動き観察など」があれば、「1ディッシュで、1視野にいる細胞しか使えない場合:薬剤を入れて細胞の変化を観察(カルシウムイメージング)」ということもある。
前者ならば、大きめのディッシュ、更にガラス面が大きいほうが、観察可能な細胞が多くなるが、後者では1回しか使えないため、小さくても十分か?
なおVIOLAMOのディッシュは、単価が200円程度と、お手頃である。

ガラス基板やディッシュの処理方法に関して

光学顕微鏡で培養細胞を観察したいならば、まずはガラス基板上に細胞を培養しなくてはいけない。ただ購入直後のスライドガラス、カバーガラス、あるいはガラスボトムディッシュには、なかなか細胞が接着せず、難儀してしまう。
このような場合は、以下のような処理を施す必要がある。

  1. ポリリジンコーティングを行う。
    従来より広く知られており、定評のある手法である。ただしポリリジンは、細胞にあまり良くない?らしいため、展開量に注意したり、処理後には緩衝液で十分にすすぐ必要がある。

  2. コラーゲンコーティングを行う。
    こちらも広く使われている手法で、我々では新田ゼラチンのCellMatrix Type4 を常備しており、数マイクロリットルをガラス部分に展開し、ピペットチップの先で薄く広げてから緩衝液(PBS)を展開することで、細胞が接着できるようになる。
    ガラスボトムディッシュでも簡単に準備でき、細胞にも優しいと思われるものの、ガラス面にコラーゲンを直接塗布するぶん、ミクロなレベルでの凹凸が生じてしまう可能性があり、そのためTIRFや超解像顕微鏡でも問題なく観察できるか、少し心もとない(未確認なので自信なし)。

  3. プラズマ処理を施す。
    ディッシュやガラスに、放電によって生じるプラズマイオンを当てることで、基板表面を親水化する。
    我々では、真空デバイス社のプラズマイオンボンバーダを用意しており、わずか3分程度で、きれいに基板が親水処理できるうえ、雑菌等も除くことができるため、重用している。
    ただし、この装置はやや高額(数十万円?)ではあるのが難点であり、各施設が単独で導入するのは困難である可能性が高い。ただしこの装置は、電子顕微鏡(TEM)のサンプル調整でも頻繁に使われることが多いらしいため、まずは電子顕微鏡の担当者に尋ね、既に導入済みならば、試しに使わせてもらうのがよいかもしれない。

いずれの場合でも、「細胞の接着状況、あるいは細胞自体の形態や動態、あるいは状態」が前処理に影響されていないか、観察の本気度によってはチェックすべきかもしれない。

こちらの写真は、無料の高画質の写真提供サイト、Unsplashで、Raghav Bhasinさんが提供の写真です。