#010 夏の最高気温とシェアサイクル利用の関係について調べてみた。
こんにちは。OpenStreetデータサイエンスチームです。
今回は、暑い日にもシェアサイクルは使われるのかどうかについて検証しました。
前回の記事で紹介した情報可視化ツールTableauで、データを可視化、検証してみた事例を紹介いたします。
仮説
一般的に気温が上がるとシェアサイクルの利用回数は増加傾向にあります。しかし「気温が上がりすぎると、利用回数は増加傾向ではなくなるのではないか」という仮説があります。
そこで今回は最高気温とシェアサイクルの利用回数の関係について検証してみました。
着想を得た記事はこちらです。
『日次データでみる暑すぎる夏と消費の関係』
夏の気温と日別消費データを使用して、その関係を分かりやすく可視化、分析していました。
使用したデータ1:シェアサイクルの利用回数
今回は弊社の提供するプラットフォーム「HELLO CYCLING」のデータを用いて夏のシェアサイクルの利用について分析してみました。
集計対象
下記条件を満たすHELLO CYCLINGの利用
2020~2023年の7月, 8月
平日
返却地が東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
データの特徴
HELLO CYCLINGのステーションは年々拡大していることもあり、ありがたいことに年ごとに利用回数が増加傾向にあります。そのままの利用回数を比較すると傾向変動(長期にわたる持続的な変化)の影響が強く出てしまい、新しい年ほど利用回数が多くなります。そこで今回は、1年ごとに1日の総利用回数を標準化する前処理を行いました。標準化することで、4年分の利用回数の比較が可能になります。
標準化
分析対象データについて、年ごとに平均が0、分散が1になるようにデータを変換しました。
この変換により、基準となる軸やばらつき具合を揃えて、年による影響を抑えてデータをプロットすることができます。もっと詳しく知りたい方は、以下の記事などを参考になさってください。
使用したデータ2:最高気温のデータ
気温については、気象庁が公開している東京地点の過去の気象データを使いました。
気温情報
2020~2023年の7月,8月の最高気温
平日
観測地点は東京
・そもそも「暑い日」とは
気象庁によると、
今回は、猛暑日と夏日を1つの指標として可視化していくことにしました。
可視化してみた
横軸を各日の最高気温、縦軸を各日のHELLO CYCLINGの利用回数として、データを散布図にプロットしてみたものが図1になります。
傾向線
3次多項式の傾向線を追加してみました。
背景色
また、最高気温が30~35℃の真夏日をベージュ部分、最高気温が35℃以上の猛暑日を赤色部分で示しています。
気づき
傾向線を見てみると、最高気温が34~35℃付近までは、利用回数は増加傾向にありますが、猛暑日に入ると利用回数が減少傾向にあります。
考察
今回、「気温が上がりすぎると( ≒ 猛暑日になると)、利用回数は増加傾向ではなくなるのではないか」という仮説について検証してみました。
直近4年分の7月8月の平日を対象に調査を行いましたが、仮説通り35℃近辺までは増加傾向にあり35℃を超えると減少傾向にあるようでした。
ちなみに、今回の分析では各日の最高気温を用いたため、「7月8月に最高気温が20度台前半」≒「雨など天候の悪い日」を表しています。
着想を得たこちらの記事であった、猛暑日を超えると気温と却って消費がマイナスになるという説と同様に、シェアサイクルの利用についてもその関係が成り立つと言えそうです。
まとめ
今回Tableauを用いて、夏の最高気温とシェアサイクルの利用回数の関係を可視化してみました。データを可視化することによって、真夏日までは利用回数が増加傾向にあるが、猛暑日を超えると利用回数が減少傾向にあることがわかりました。
一方で、図1は厳密には各点が傾向線に沿って並んでいる訳ではなく、ばらつきのある部分も見られます。(例:最高気温が33℃付近だが、利用が少ない日など。)
こういった点については、引き続きデータに向き合い調査していきたいと思います。
データを数字だけでみるのではなく、可視化することで新たな気づきを発見できることがあります。データの力で事業を前に進めたいぞ!という方、ぜひお話しましょう!応募お待ちしております。
◆HELLO CYCLINGのアプリはこちらから!
一度登録しておけば、いざという時にスグ自転車を借りることが出来ます。
最後に
くれぐれも、熱中症には気をつけてシェアサイクルをご利用ください。
制作:OpenStreet株式会社 https://www.openstreet.co.jp/
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