時事ニュース/探偵が切る(トケマッチ)「またドバイか――」。
今年1月に突然事業を停止した高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」。警察が業務上横領容疑で逮捕状を取得した元代表が向かった先は、またしてもあの国だった。
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「またドバイか――」。そうため息をついた向きは少なくないだろう。高級腕時計を所有者から預かって、第三者に貸し出すシェアリングサービス「トケマッチ」が突然サービスを停止して、運営会社の「合同会社ネオリバース」が解散を公表したのは1月31日のことだった。それから約1カ月余り経ち、警視庁はネオリバースの元代表と幹部社員について、利用者から預かった時計を無断で売却した業務上横領容疑で逮捕状を取ったのだという。元代表ら2人が向かった先はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ。ユーチューブで芸能人への中傷を繰り返し、先般、執行猶予付きの有罪判決を受けたガーシー元参議院の逃亡劇を想起せざるを得ない展開だ。
トケマッチのサービスが始まったのは2021年1月。ロレックスなど自宅で眠っている高級腕時計を預け、利用者とのマッチングで月々のレンタル料を受け取るビジネスモデルは、運用益を得たいコレクターや、高級腕時計を身につけたい利用者の双方にとってウィンウィンのシステムとして注目を浴びた。ネオリバースは23年8月には預かった腕時計が1500本を超えたと公表、実際に時計を預けていた人にレンタル料も振り込まれていたのだというのだが・・・
元代表らがドバイに向かったのは、ネオリバースが解散を公表したのとまさに同じ日の1月31日。警視庁を始め、各地の警察に「預けた時計が戻ってこない」との相談が相次ぐ騒ぎとなった。さらに、その後の捜査では、元代表らが預かった高級腕時計を東京や大阪の質屋などで売却し、出国する前の1カ月だけでも1・5億円を売り上げていた可能性が浮上したのだという。警視庁が逮捕状を取ったのも、こういった元代表らの行動が、単なる事業の失敗ではなく、自らの利益を図るための犯罪行為と判断したからに他ならないだろう。
腕時計を預けた人からすれば、期待していたレンタル料が入ってこないばかりか、愛着のある品が知らぬ間に売却されてしまったのだから、怒りは収まらないだろう。ただ、ドバイに潜伏したからといって、「逃げ得」にはならないことは、ガーシー前参議院議員の事件でも明らかだ。今後は、国際刑事警察機構(ICPO)を通じた国際手配される流れになるのだろう。
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