新幹線で煙草は不適切にもほどがある?


 「ついに新幹線もか」。
こんなぼやきも今や少数派だろうか。この春から国内の全ての新幹線で煙草が吸えなくなってしまった。

【本文】
 東海道、山陽、九州新幹線に設けられた喫煙ルームがこの春から撤廃され、国内を走る新幹線全てで全面禁煙となった。探偵の古里は福岡市。帰省には飛行機よりも、もっぱら新幹線を愛用してきた。
東京駅から博多駅までは片道5時間。さらに、福岡空港と市街地は地下鉄でつながっており、飛行機の方が断然タイパは良い。
それでも新幹線を選ぶ理由は、故郷を目指して、ゆっくり車窓を眺めながらビールを空け、青春時代のノスタルジーにひたれる雰囲気もさることながら、自分のタイミングで煙草を吸えることも大きかった。
かつては、自由席では座席ごとに灰皿が設置され、車両内が白い煙で霞がかってみえるなんてこともざらだった。
それが2011年には自由席が全席禁煙となり、N700系とN700Aに限って、喫煙ルームが設置された。先に全面禁煙を導入していた東北新幹線では、青森方面と秋田方面に向かう車両が切り離される盛岡駅に停車中に、急いでホームの喫煙所に駆け込む愛煙家の姿が涙?を誘ったものだ。
ネット上では、早速、東京駅から博多駅間で新幹線を利用した場合、「こだま」や「ひかり」のどの停車駅のホームで煙草が吸えるかといった考察記事も見かけるほどだ。
もちろん乗り物ばかりでなく、禁煙、受動喫煙防止の動きは広まっている。東京都が2023年度に都内の飲食店1万店を対象に実施した実態調査によると、実に8割近くの店舗が店内で全面禁煙を導入している。
一部でも煙草を吸える席を設けている店舗はわずか1割ほど。
ちなみにこの年に都民3000人に実施した調査では、喫煙者は20・4%。喫煙者に限っても76・5%が都の受動喫煙対策に賛成しているのだという。
ついこないだ話題になったドラマでは、未来にタイムスリップした主人公が、バスで煙草を吹かしひんしゅくを買うシーンがあった。
今の時代は飲食店でも路上でも、所構わず煙草を吸おうものなら、「不適切にもほどがある」という時代なんだろう。
 とはいえ、煙草をゆらしながら近づく故郷への思いをかみしめるのも、博多出身の探偵にとっては大切な時間だった。途中のホームで慌ただしく煙を吸い込んでも、なんだか味気ない旅路になってしまうなぁと、嘆いてしまうのです。

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