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ハッピー |(番外編)

6月12日、早朝。
我が家の最後の子、ハッピー(ぴーちゃん)が旅立ちました。
わたしが起床した5時30分頃には、もう息がありませんでした。もう少し早く起きていれば、最後に声をかけられたかもしれません。

ぴーちゃんは猫ながら苦労した子です。
4きょうだいで生まれ、母猫が一番最後に家に連れてきたのが、ぴーちゃんでした。ほかのきょうだいより、少し体が小さくて、どんくさい子でした。
ある程度大きくなったら、猫の保護活動を始めたばかりの方に預かってもらうことになりました。

ぴーちゃんともう一匹を預かってもらったのですが、もう一匹の子はすぐに里親がみつかり、無事にもらわれていきました。でも、ぴーちゃんはなかなか里親に巡り会えませんでした。
このことが、ぴーちゃんの運命を変えることになります。

ある日、突然、保護活動の代表の方から「あの子の面倒はみられない」と、ぴーちゃんを引き取ってほしいと言われました。
毎回の譲渡会に連れて行っても、もらい手がなく、業を煮やされたのでしょうね。
それに、その施設で猫たちのお世話をしている人から「いつもほかの猫に遠慮して小さくなっている」ということも聞かされたので、ぴーちゃんを連れ戻すことにしました。

ちなみに、ハッピーという名は、保護施設でつけられた名前です。うちにいた少しの間、わたしも名前をつけていたのですが、ぴーちゃんにとっても、ハッピーと呼ばれていたのだから、そのほうが混乱しないだろうと思い、つけていただいた名前で呼ぶことにしました。
でも、結局、「ぴーちゃん」のほうがわたしたち家族には呼びやすくて、ぴーちゃんと呼ばれることに。
本人も「ぴーちゃん」の呼びかけに、しっかりと応えてくれました。

家に戻ってからのぴーちゃんですが、母猫やきょうだい猫たちは外での生活でしたが、ぴーちゃんだけは家の中で飼うことに決めました。
施設で過ごしていたので外の世界に慣れておらず、いろんな心配があったので、この子は外には出せないと判断しました。
このことも、ぴーちゃんの運命を変えたかもしれません。
母猫ときょうだいたちと少し距離ができたような、そんな感じになってしまいました。
これは人間目線なので、本人たちはそれなりにコミュニケーションが取れていたのかもしれませんが・・・。

とはいえ、我が家に戻ったぴーちゃんはどんどん変わっていきました。
施設で遠慮気味に過ごしていたぴーちゃんは、しっかりご飯が食べられなかったのか体が小さいままで、表情もあまりなく、鳴くこともありませんでした。
それがたくさん食べてくれるようになり、ようやく成人猫の大きさになりました。表情も豊かになりました。名前を呼ぶと返事をするようにもなりました。

やがて、自分の妹猫が子を産み、その子どもたちと暮らすようになります。
*ぴーちゃんを引き取ってからも猫は増えましたが、動物病院で写真を掲示させてもらったり、猫がほしい人を紹介してもらったりして、里親を見つけることができました。最初からこの方法を取ればよかったのかもしれません。

自分より幼い子と過ごしたことが刺激になったようで、よく面倒・・・というか、お姉ちゃんぶって遊びの相手をしてくれました。
でも、子猫たちは迷惑そうだった・・・。

子猫たちも大人になり、なぜか彼らのほうが早く虹の橋へ旅立ってしまい、最後に残ったのは、ぴーちゃんだけ。
ひとりになって本当は寂しかったと思うのですが、それでも、健気にわたしたち家族を癒してくれていました。

14歳。
今の猫は寿命がどんどん延びています。14歳なんて、まだまだかもしれません。けど、ぴーちゃんなりに猫生を全うできたと思っています。そう思いたい。

一度、家を離れ、知らない猫たちに遠慮して小さく過ごしていただけなのに、追い出されて、また家に戻って・・・。
そんなことになるとは、わたしには想像がつかないことでした。
数奇な運命にさせてしまったように思います。

ちょうど、ぴーちゃんが我が家に戻った頃、わたしも実家に戻ることになり、ぴーちゃんとわたしは出戻り仲間でした。
だから、ぴーちゃんを見ていると自分を見ているようでした。
車に乗せて、祖母の家に行ったり、海に行ったりもしました。
階段で追いかけっこもしました。
猫なのに植物が好きで、お花をよく見せました。

ハッピー・・・。
ぴーちゃん、あなたは幸せでしたか?
こんな家に14年も居て、幸せでしたか?
わたしは、あなたと一緒に居られて、幸せでした。
いつも癒してくれて、本当にありがとう。
美人だったぴーちゃん。
よく頑張ったぴーちゃん。
今度は人間として生まれて、幸せな人生を歩んでほしい。
それがわたしの願いです。

ありがとう、ぴー。

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