見出し画像

エロイカジャパンで出会った日本犬

先日伊豆で行われた自転車のイベントであるエロイカジャパン。

スタート地点&ゴール地点である韮山のエロイカビレッジには、素敵な日本犬がやって来ていた。
まずは、ライド前日の5/11に会えた雌の柴犬きなこ。
昨今は、豆柴ばかり目つくが、きなこは、由緒正しい正統派な柴犬だ。

人懐っこいきなこ

性格も非常によく、柴犬にありがちな神経質さがなく、人に撫でられるのが大好き。筆者も飼い主さんの許可を得て、きなこを撫で回した。

そしてライド当日。184㎞走ってたどり着いたゴールで出会ったのは、雄の秋田犬のロッキー。
こちらも人懐っこいが、次々とゴールしてくるライダーに食傷気味なのか、ちょっとお疲れモードだった。

面倒くさそうに寝転ぶロッキー。グロッキーか?

そして、我が家の四国犬の竜と、紀州犬の剛。
人懐っこく、かつ賢い。
筆者が伊豆に行っていた3日間。かかりつけの動物病院から勧められたペットホテルのお世話になっていたが、そこのスタッフのいいつけをよく守り、大人しくしていたそうな。
ペットホテルを運営されている動物病院の院長先生は、
「これなら今後も預かれそうです」
と仰せなので、来年もエロイカジャパンに参戦できるだろう。

筆者に甘える竜(左)と剛(右)

きなこの飼い主さん、そしてロッキーの飼い主さんとも少し話したが、日本犬は、犬の原点ともいえる存在で、日本で犬を飼うなら、ぜひとも日本犬を飼うべきだと仰られた。
これには筆者も異論がない。
しかしながら、日本犬は、柴犬のきなこ、秋田犬のロッキー、そして拙宅の竜と剛のようにフレンドリーな個体ばかりではない。
むしろ排他的で神経質な個体が目立ち、それがためにドッグランやペットホテル等で敬遠される傾向があるのも事実だ。
もって生まれた遺伝的な特性もあるだろうが、日本犬に適した躾や訓練がなされなかったことも、排他的で神経質な日本犬が出来上がる要因の一つかも知れない。
日本犬は、オオカミに非常に近い犬とされ、飼育が難しいとされている。
しかしそれならば、やりようはあるはずで、オオカミの飼育に準ずるメソッドで躾を行えばいいだけだろう。
筆者は、最初に紀州犬を飼うにあたって、コンラート・ローレンツの『人イヌにあう』を参考にした。
動物学者であるローレンツは、ウルフドッグを飼っていて、同書にはその時の様子が書かれていた。最初に飼った紀州犬の躾、そしてその後継である竜と剛の躾も、ローレンツの著作に基づいたものを行ったに過ぎない。
しかしながら、3頭とも、非常に人懐っこく育ち、結果として躾は成功したと思っている。

おそらくだが、日本犬に、トイプードルとか、ダックスとかの洋犬の躾のメソッドは適していないのではないか。
大脳が洋犬に比べて発達している日本犬は、自己判断能力が高いので、洋犬のように一挙手一投足を指示する躾や訓練は、飼い主との信頼性を醸成する上でマイナスに働くように思われる。

筆者は、イスラエルのカナーン・ドッグの訓練方法が気になっている。

カナーン・ドッグは日本犬に姿や性格が似たスピッツタイプの犬である。
イスラエルの国犬であり、現地では地雷探知犬(お国柄だねぇ…)、盲導犬、警察犬と、万能な犬種として大切にされている。
カナーン・ドッグに似た日本犬も、カナーン・ドッグに準じた訓練方法によれば、警察犬や盲導犬として活躍できるのではというのが筆者の考えだ。
過去に、日本犬を軍用犬や警察犬として訓練した事例はあるが、成功例はない。
近年も米国で秋田犬を警察犬として訓練したものの、ジャーマンシェパード用の訓練方法が日本犬に合わなかったことから、失敗している。

しかしながら、日本犬と特性が似通っているカナーン・ドッグの訓練方法であれば、日本犬を盲導犬や警察犬にすることが可能であるかも知れない。

元々が狩猟犬である日本犬は、その存在意義が改めて問われている。
ハンターの高齢化等によって狩猟は尻すぼみであり、それに伴って日本犬、特に紀州犬、四国犬の飼育頭数は減少傾向にある。
だが、狩猟以外の分野で日本犬が活躍できることが証明されれば、日本犬の飼育頭数の減少傾向に歯止めがかかるかも知れない。
狩猟犬や使役犬の評価は、結局はどれだけ高い能力を備えているかにつきる。
ジャーマンシェパードやレトリーバー系の犬が人気なのも、警察犬や盲導犬における高い能力が評価されてのことだと思う。

日本犬保存会等の日本犬の犬種団体は、日本犬の存続に尽力されているが、展覧会(いわゆるドッグショー)の運営を軸とした活動だけでは、日本犬の減少傾向を抑制することは不可能だろう。
犬種団体の予算の問題もあるが、カナーン・ドッグ等の日本犬に特性が近い犬種の訓練方法を参照して、新たな日本犬の訓練方法を構築し、その新たな訓練方法で訓練された日本犬の能力の高さを広報することが必要な時代になったのかも知れない。
犬の中でも大脳の発達が顕著な日本犬なら、必ずや期待に応えてくれると筆者は信じている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?