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雨が上がった後の匂いがした


外に出たら雨が上がった後の匂いがした
雨が降る前の匂いと似てるけれど、雨が降って、空気が澄んで、清潔の匂いがする


道路が濡れていたり車が小さな水たまりをはねる、視覚、聴覚からの入力のせいなのかもしれないけれど


この匂いを感じると思い出すのはいつも小学生の通学路
通学路の途中に歯科医院があって、その駐車場にある大きな坂を上ったり下ったりしながら下校した



いまは10年前の光景を思い出すけど、10年後はいつのことを思い出すのだろうか

いまのことなのか、小学生の頃のことなのか

もし小学生の頃のことを思い出すのであればきっとそれから後もずっと小学生の頃を思い出すんだろう



小学生の感性は豊かだから、その頃の記憶が〜なんて説明したらそれで終わりなのかもしれない
だから他の理由を考える



もしかしたら、季節や気候の変化を色濃く感じた記憶が残り続けるのは、毎日同じ時間に同じ場所を同じ歩数で歩いていたからなのかもしれない

もしかしたら、学校で催される行事に一生懸命取り組んでいたからかもしれない

もしかしたら、校庭に植った植物を見て季節の変化を感じていたからかもしれない



そういえば、6年生の3月に校庭の桜が咲きはじめたのを見て、急に切なくなって「さみしくなった!」って騒いでた
友達に中学も同じじゃんって言われて、そうじゃないんだよ、と思いながらも言葉にできなかったからもどかしかった

その時の気持ちはその時じゃないと言葉にすることはできないから、その気持ちは名前が付かないまま



名前がついて初めて知覚できる、っていう考え方を自分の中で大切にしてるんだけど、やっぱりこの件もそうだよなって思う

だから言葉って大切だし、適切に使えるように磨いていく必要がある

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