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山にもらったこと 「人生で一番若い”今”はどんどん過ぎて行くから」 〜ヒマラヤ山行篇①ロブチェピーク登山を決めるまで〜

高所登山には、興味ありませんでした。
尊敬する国際山岳ガイドの近藤謙司さんが、2024年4月から、公募エベレスト隊を率いて8回目のエベレスト遠征に挑まれる、と聞いても、自分とはかけ離れた別世界、遠くから声援を贈るのが精一杯、な感覚だったのですが・・。

「エベレスト隊に同行してBC(ベースキャンプ)まで行くツアーもあるよ。僕的にも締めくくりのエベレストになるかもしれないし、BCに一緒に行けるのは最後かもしれない」そんなグラッとくる言葉を近藤さんから聞いたのは、昨年秋のこと。(親しい人たちは、ケンケンの最後最後サギと、言ってるらしく。笑。今回で8回も登頂されてるんですから!)そっか、ベースキャンプまでなら、一生に一度行ってみてもいいかも、、と、早速その気になっているおめでたい1ファン。けれどそれは、エベレスト街道を同行するハイキングであって、エベレストはもちろんのこと周囲に聳える高所に登るわけじゃない、という前提での興味本位・・

(本文と関係ないですが。ハイキングと思っていた時はこれくらいうららかな気分でした。)

けれどけれど、かの『近藤謙司』がそんなヤワな気持ちを許すと思ったのが間違いでした。その後「同行ツアー、カラパタール(BC近くの5,644mの山に登る)コースに申し込みました!」と近藤さんに告げた私は、「どうしてロブチェ(その手前に聳える6,119m氷河の山に登る)にしないの?」と一蹴され。「いや、だって私、海外登山初めてなんですよ?ましてやヒマラヤの6,000m超えの山なんて無理ですよ!」たじろぐ私に、「カラパタールは丘だよ。(←周囲の山の中にあっては、の意)氷河もないし、そこ登るだけでいいの?」・・い、いいです十分です、自信ないし氷の山を登るなんて怖すぎるし。「どうして今の自分の気力と体力でできることをしようとしないの?」え、そんな、、でも確かに人生で“今”が一番若くて元気で、それは刻々と過ぎて行っていて・・「何があっても助けてくれるガイドたちがついているのに、どうして挑戦しないの?」レジェンドにそこまで背中を押してもらって、ロブチェに登ると決められない私って、気概なさすぎなポンコツハイカー?!(汗汗汗)

(昨年末、コロンビア登山学校で近藤ガイドの元登った二ツ箭山。この登山中の会話で、私の気持ちはカラパタールからロブチェへと動かされ・・)

ちなみにロブチェはエベレスト隊の練習の山の一つ、エベレストを目指す人たちと一緒に登るわけで、足をひっぱらないかが心配な反面、刺激をもらえる魅力も、これでまでの登山とは全く違う達成感もあるだろう。けれど装備もぜんぜん変わってくるし、何より技量が心配。もし登れなかったら大金(私にとっては)をかけた準備が全て無駄になってしまう・・!うわぁーーどうしよう!え。どうしよう?って、迷ってる時点でもう行く気になってるってことじゃない?そうなの?そうなんだ私・・もう登るしかないんだ、登るんだロブチェに!!

(後のエベレスト街道山行中の一枚「あれがロブチェ」と教えられて。指の先、右奥の氷と岩の頂き。こりゃ無理でしょ、と思った。)
(ロブチェ行きの決意を強固にするために買った高所登山用靴。寒さに耐えられるよう中が二重になっている。お値段は普通の登山靴の3倍。汗)

かくして2023年末、数か月前までは高所登山に微塵の興味もなく、数時間前まではヒマラヤハイキングを楽しむだけの予定だった私は、近藤隊長率いるエベレスト隊と共にカトマンズに入り、途中ロブチェピーク登頂を目指し、BCで数日間を過ごす27日間の山旅へと、気持ちを固めるに至ったのでした。(続く)

(出発は2024年4月8日。27日間って旅というより生活。荷物の制限重量は35Kg、何をどれくらい用意すればいいのか??出発までの約3ヶ月間ずっとそのことばかり考えてました。苦笑)

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