「交響曲第九番〜天国と地獄〜」上演台本
交響曲第九番〜天国と地獄〜(初演2016)
あらすじ:気付くとここにいた。手元には「9番」と書かれた札。謝り続ける親父との終わりの始まり。(一人芝居)
◆本作品含めた三部作(他「ストラーーイクッ!!」「最後の晩餐」)にて、第十回ルナティック演劇祭 優勝 ・最優秀脚本賞・最優秀俳優賞(野村有志・緒方ちか・川添公二、3人同時受賞)・グレート義太夫賞受賞(2017)
交響曲第九番~天国と地獄~
作演出:野村有志
はじめに
◆舞台装置・舞台奥に十脚の椅子が一列に並んでる。小道具などはなく、すべてマイムで表現
登場人物を便宜上、下手の椅子から「①番~⑩番」と役名として表記。それは台詞上での番号(および変動)には左右されず役名として固定。実際に音として表現される台詞は⑨番と、録音のアナウンス(女性)・美女の3人のみ。
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SE・エレベータが開くようなポーンと音と共に
室内を質素な明かりが包み込む
上手から二番目の椅子に男(第⑨番)が一人
第⑨番が様子が見る限り、全ての席に誰かが座っているよう
⑨番 「…え?何ここ…(下手側を見て)え?誰?…え?(反対側を見て)何してんの?」
⑩番 「…」
⑨番 「え?あれ?さっきまで車乗ってへんかったっけ?」
⑩番 「…すまん」
⑨番 「すまんってなんよ、ちゃうやんさっきまで運転してたやん?てかなんなんこの人ら」
⑩番 「すまん」
⑨番 「いやだからすまんやなくて(何か胸ポケットに入ってる札に気付いて)何これ?9番?…9番って何の番号?(下手から)1.2.3.4.5....8.9…(⑩番へ)10番?」
⑩番 「え?」
⑨番 「札入ってない?こんなん」
⑩番 「あぁ…これか?」
⑨番 「そうそう、10番?」
⑩番 「3万」
⑨番 「え?3万?3万番?え?ちょっと見せて、3万番?」
⑩番 「3万番やな」
⑨番 「え?なんなんそれ、なんで俺が9番で親父3万なん、この間に何あんの?これ整理番号やなくて?(⑧番に)あの、おばあちゃん」
⑧番 「はい?」
⑨番 「何番?」
⑧番 「え?」
⑨番 「いやだから、何番?」
⑧番 「…何番やろねぇ」
⑨番 「いや何番やろねぇやなくて、見て、見てみて」
⑧番 「どうやって?」
⑨番 「いやだからどうやってやなくて、持ってない?この札。絶対どっかあると思うねん。探してみて」
⑧番 「あぁ…」
⑨番 「なんかポケット的なもんない?入ってると思うねんけど」
⑧番 「あぁ…これかな」
⑨番 「あぁそれ、何番?」
⑧番 「えっと…」
⑨番 「あぁ俺見るわ…え?1万7千…1万7千52番…え?どういうこと?(⑩番に)どういう事?」
⑩番 「すまん」
⑨番 「いやだからすまんやなくて、何の番号なん、え?ここに居る10人以外に他にも居るって事?」
SE・ピンポンパンポン
アナウンス「二千四番、二千四番の札をお持ちの方」
⑨番 「2004番?だからなんの(番号)…」
①番 「あ、はい」
アナウンス「右手の扉よりご入場下さい」
⑨番 「右(手の)…」
SE・軽やかにシャララン的な音と共にドアが開く音
それと同時に下手前が神々しく光を差し込んでくる。鳥のさえずりだとか、明らかにその扉の向こうには楽園が広がっているのが想像できる音色が
そこへ①番が入っていくと、軽やかにドアが閉まる
SE・ピンポンパンポン
室内を質素な明かりが
⑨番 「…今の何?」
■M1CI(天国と地獄)
⑨番 「…え?」
暗転
タイトルコール
交響曲第九番~天国と地獄~
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