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ニッチもニッチ

田中康晃『「小さい農業」の教科書』読了。
自分自身で畑も牛飼いもやる気はないのだが(こんな怠け者に飼われる生き物がかわいそうすぎる)、息子が牛飼いの学校にいたのと、畜産系団体職員だった縁とがあって、農業書は時折読む。
投下資本の少ないところでは、競争相手のあるような商売しちゃダメだというくだりには大いに共感する。
まったく別の畑だが、機械設計という分野相手にお勉強の教材制作販売している自分の立ち位置もこれで、建築、土木、電気(強電)といった分野は特定の資格で業務独占となっていたり、入札資格になっていたりする例が多い。
機械設計という世界は相当専門性高い(かつそれなりにタコつぼ化しているので、ピンポイントで問題点を押さえている人間はさらに少ない)にも関わらずそれがないものだから、別段資格などなくとも参入できるのだが、力量の高低によって成果のそれも定まってくる。マジメで「やりたい」タイプが多いから、自己研鑽でおのれの技量あげようとなれば、直接携わる業務以上の知見が欲しくなる。
わざわざ資格にトライするひとのポテンシャルは、だから素直に高いのである。しかしながら資格がマストでないから、それに見合った学習コンテンツが出回らない。
「研究」とは違う。それは大学やら公的研究機関、基礎研究所もってる大手企業がやればいいのだ。そうでなくて、常に現場にあるエンジニアが「そうか、だからこのセオリーを援用すれば仕損品減らせられるんだ!」となる知識。試験対策というかたちでそれを供給できたならば。

組織で取り組んでペイしないのは重々承知している。が、それだからこそ競争相手はいない。食い扶持は適当によそで稼いだところで、ここを満たしていくのが愉快でならない。

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