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知の教科書 フランクル

【心に残った読書録 entry No.1】

フランクルとは?

フランクルはフロイト、ユング、アドラーと並ぶ心理学者の巨頭で、人生の意味・使命を見いだすことを援助するロゴセラピーの提唱者です。また、『夜と霧』の著者としても有名で、ホロコーストの生還者でもあります。(因みにアウシュヴィッツでの生還率は1割程度といわれています)

過酷な環境下でも幸福感を抱く収容者達

フランクル曰く、収容者達はあまりの過酷さと非道、先行きのない収容所生活の中で、希望や尊厳、感情を喪失してしまうようです。フランクル自身もホロコーストで最愛の妻と家族を失くしています。
そんな中、幸福感を抱き絶望せず生き生きとした収容者の存在にフランクルは注目しました。

絶望しなかった収容者達は自分の境遇に意味を見いだし、自身の人生には何らかの使命があると感じていました。芸術的感性が覚醒する者や、信仰に目覚める者までいたそうです。
フランクルは、物質的に満たされなくても、どんな絶望的な状況でも幸福で力強く生きてる人は人生の意味や使命感をもって生きてることを発見しました。

実存的空虚

フランクルの実存的空虚という言葉が印象的でした。

・社会的に成功したのに満たされない人
・成功していないのに心が満たされている人

前者は人生に意味を見いだせないので、皆が良いとするモノサシで努力するか、快楽に走る。
結果的に評価されたり、快楽に浸っても、心の虚しさが消えません。空っぽな心の穴を埋めることに奔走しても、立ち止まってしまえば虚しさに苛まれてしまいます。

後者は人生の意味を見いだし、使命感をもって没頭することができます。飢餓や挫折、どんな絶望の中でも活力が、沸き上がり、心が満たされてしまうのは摩訶不思議。

【感想】

本当の幸せって?人生の意味や使命というものは大切なんだと思いました。ネルソン・マンデラも国家政策に反対したことで27年間獄中に入れられたのに、人生の意味と使命感を糧に希望を捨てなかったことで、数年後に大統領になったという話は有名です。

意味や使命は人それぞれ千差万別。自分の人生を振り返ったり、感覚を研ぎ澄ますと大切な事柄や、大切な人が誰かは漠然とだけど、分かる気がしました。
フランクルも万人が各々の意味や使命を見いだせると言っています。

他人のモノサシでなく、自分の価値観、仕事で得た役割や生まれ持った繋がりを意識してみること。自分が人生の中で巡りあった家族や親友を、赤の他人は無償で幸せにできないし、愛情を持つのは難しい。自分だからこそ無償で幸せにしたいと思えたり、愛せる人がいる。

政治家になった人には政治家としての役割が、同じく学者、アイドル、芸人、美容師、デザイナー、サラリーマンとそれぞれが固有の役割があるし、大なり小なり社会貢献してればみんな偉い。そこに意味や使命感を見いだすことはできれば、精神の病や空虚感を克服して幸せになる基盤が築くことができるのかもしれません。

他人のモノサシにおける成功や快楽の追求の先に本当の幸福はないのかもしれない。自分の意味や使命とは?人は人生の最大の問いかけに応えなければならない。

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