スターシュートVSレビュー

本作は2人での対戦に特化した、
宇宙人たちが弾をのんびり撃ち合うスローシューティングゲームである。
時間経過で貯まるリソースを消費して相手や双方の間を横切る箱に向かって弾丸を発射し、相手に命中すれば即勝利、箱はそれぞれに書かれている数字分命中すればスターが降ってくる。
スターを取る事でスピードが上昇し、回避や射撃におけるアドバンテージが得られ、加えてスターを複数取る事で新しい弾丸が解放され、そうして対戦毎に都度戦略の幅を解放していくことになる。
双方リアルタイムに縦に撃ち合い、横に避け合い、段々と距離が縮まって行く中で、どちらが先にトドメを撃ち込むかというゲームである。

基礎はこれだけで、箱が障害物、盾、補給物資の役割を持ち、更にそこから発生するスターを獲得するために隙が生まれ、それを狙う動きが生まれ、破竹の如く駆け引きが組み上げられる。
弾丸も当たれば即死であったりシンプルなドットで構成された平面的な画面であるため調整パラメーターが限られているものの、コスト、サイズ、動向、の組み変えだけで透明になったり遅効的に方向転換をしたり箱を貫通したり網漁のように弾丸の粒を放射したりなど、様々な個性を表現している。
相手がその時使える弾丸の種類も常に表示されるため、納得感も担保されている。

──総評
現代に生きるスターシュートVSを総合すると、このゲームの奥深さは勿論、ゲームというもの自体の奥深さを感じ入ることができる。
簡素な作りであるため比較的訴求力は弱いが、逆に簡素ながらも高い表現力を放つ作品であり、プレイヤーが操作する宇宙人やそれが乾いたBGMに満たされた真っ暗な宇宙空間で撃ち合う様子は一切殺伐としておらず、むしろ癒される。
スマホ1台で2人対戦もできるため、(勿論2台でもできる)1人の息抜きにも2人の暇潰しにも最適なゲームと言える。
多くの人にとってこのゲームに対して持てる熱量は限られているように思うが、箱同士の隙間を縫って相手の意表を突くようにして弾丸を当てたり、相手を端に追い込み物量で必殺を決めたりと、とにかくこのゲームにおける勝利の興奮は力強いものがある。
単純で角張っているからこその満足感があり、シューティングゲームが苦手な人、ゲームを知らない人でも楽しみやすい。
また説明しやすい洗練された仕組みが骨子となっているため、ゲームを知る、理解する経験もすることができる。
本作はどんなに課金しても広告再生ボタンが最悪のタイミングとポジションで表示されることとランキングバトルで弾丸カスタマイズが反映されないこと以外は文句無しの良作である。