シルバー

ろくでなし!
彼女にとって、私のFirst impression。
私は弾みで12台連続で横転させた自転車をそのままにして立ち去ろうとしてしまったのだ。それだけではない。大学の講義で彼女が風下にいるにも関わらず、おならをしてしまったのだ。それは玉子の腐ったような強烈な匂い。

苦痛に歪む彼女に、ろくでなし!と吐き捨てるように言われてから、30年。私は彼女と結婚して、銀婚式を迎えた。いまでは彼女の私との出会いの鉄板ネタになっている。

二人は縁あって結婚して、寄り添い暮らしている。銀婚式のお祝いに薔薇の花束を購入した。シルバーのシールで止められた箱。

このシールにいい時もそうでない時も乗り越えて、ここまでたどり着いた全ての想いが込められている。

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