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20240508

 今日は京都は磔磔にて、ソウル‧フラワー‧モノノケサミット、それからゲストに大工哲弘さんを迎えて行われる、磔磔50周年記念(おめでとうございます)のライブに伺う予定になっていて、諸般の諸々を終えて、念には念を入れて、体力の温存などに余念を欠かさず。

 ライブの前、いつもと寸分も変わらない行動を取っている様でも、毎回違うのだろうなと思いながら、その違いが分からない。

 諸々の支度を済ませて、自宅を出発したのは、16:30頃。

駅の時計が告げる時刻。

 平日、水曜日のこの時間にライブに伺うのも珍しいと思いながら、電車に揺られる。
 阪急電車。通勤、通学のラッシュの前で、何とも言えない夕暮れ前の雰囲気が電車の中に漂っていて、それはそれで趣があるなと思いながら。
 電車はそんな、通勤、通学の時間帯に向かって走るので、次に乗り換える電車は特急電車だろうか、準特急電車だろうかと、思いながら駅に到着すると回送電車になる普通電車を降りて、次の電車を案内する電光掲示板を見てみると、次にやって来る電車は特急電車との事。
 停車駅が増える準特急電車では無くて、少しは時間に余裕が出来た様で嬉しい。
  やって来た特急電車に乗って、長岡天神駅、桂駅と停車。桂駅で準急電車が特急電車をやり過ごす為に待っていると、乗っている電車が特急電車という事が実感できる。

桂川を渡る。

 いつもの様に電車は烏丸駅。
 東口から改札を出て、地下の通路を暫く歩いて、ビルの地下の階段から地上に出て、小腹が空いても居たので、食事を摂る事にする。時間が迫るのだけれど、まだ時間には少し余裕がある。
 今日はどれ位の人が集まって、どんな客席のレイアウトなのだろうか、椅子に座ってビールを堪能出来るだろうか、等々と考えながら。
 済ませて、ポツリポツリと歩いて、50周年を迎えた磔磔へと向かう。道中、平日といえども、海外からのお客さんの姿も。

 流石、観光都市京都だなと思いながら。

 数分歩いて、会場の前に到着すると、磔磔の前の駐車場から溢れんばかりの人の多さで、失礼な話ではあるのだけれど、もう少し緩い感じを想像していたので、意表を突かれて、自分の考えていた光景とが、かなり掛け離れていて、それで少し緊張感にも襲われる。

磔磔の前の通り、街並み。

 18:00開場。妙な緊張感のなか、自分の持っているチケットの番号が呼ばれて、ドリンク代と入口でビールと交換。という事はスタンディングなのか。等々と、思いながら中に入った。
 中に入ると、やはり椅子は有らず。磔磔の中はスタンディングの様相。スタンディングでアルコールを嗜むのは、年齢を重ねて控える事にしたので、今日のアルコールは入場の時にドリンク代と引き換えたビール一本のみ。
 丁度、時間が出来た様な気もしたので、書き物でもと思い携帯電話を取り出した。取り出したついでに、開演前のステージの様子を写真に収めておこうと、携帯電話のカメラをステージに向ける。前に来た時よりも書かれたサインが増えた、ステージ上のバックドロップ(というのでしょうか)を写真に収めたり、書き物をしている間に時間が過ぎる。

 まだまだお客さんが増えるらしい。もう少し前に詰めてくれとのアナウンスで、少しづつ前に。
 19:00を迎えて、客席の照明が暗くなると、待ってましたの歓声と拍手と共に、ゲストの大工哲弘さんの登場。首を長くして待っていた時間の始まり。
 大工さん、何度か拝見しているのだけれど、以前に、磔磔(50周年おめでとうございます)でも拝見した記憶が有ったり、無かったり。
 そして大工さんが繊細な音色の三線と力強い歌声で荘厳にも見えた「月ぬ美しゃ」で幕が開いた。うっとりと聴き入ってしまう。
 それから磔磔50周年をお祝いするMCから、磔磔の建物の話となって、ベートーベンの話になった時に、以前、ここ磔磔で大工さんの歌う「第九」を聴いた事を思い出して、さっきの話は記憶違いでは無かったのだなと、確信に変わった。
 それから磔磔50周年を、八重山の民謡「目出度節」で、お客さんとコール‧アンド‧レスポンスでお祝いしてから、大工さんのお友達、オクノ修さんの「ハートランド」を大工さんの声で京都で拝聴出来る事が素晴らしいと思ったり。
 途中で止まってしまったけれど、その分多く聴けた気もして、少し得をした気分になった。オクノ修さんの曲も大工さんが演奏をすると雰囲気は南国。拝聴していてゆったりとした気持ちに。
 それから、大工さんのパートナー、箏を演奏する苗子さんがステージに呼び込まれる。
 登場する前のMCで、今日の楽器が全て借り物である事がバラされて、荷物を持たないで、あちらこちらで演奏が出来ると云う事は凄い事では無いかとふと思った。大工さんお人柄が滲み出ていてほっこりとした気分になって、苗子さんがステージに。
 三線と箏の調子を合わせる音もずっと聴いていたい。そんな美しい音色で八重山の民謡が演奏される。
 大工さんの三線と苗子さんの箏の音の絡みが絶妙な「鳩間節」が演奏される、ゆったりとした調子で曲が続くのかと思っていたら、後半部分のテンポが早くなる展開に気持ちが持って行かれた。
 大工さんのMC、何度もそのお人柄が伺えて感銘深くなる。
 それから「ざんざぶろう(高那節)」で南の島に降る雨の光景が頭の中で。そんな場所で一日中、雨を見ながら過ごしてみたい衝動に駆られた。
 改めて、苗子さんが紹介されて、微笑ましいご夫婦の光景。
 それから、磔磔がこれからも繁盛する様にと、祈りを込める様に演奏された「繁盛節」から、五穀豊穣の様子が歌われていると、曲の解説があって「山入らばー節」と続いた。
 それから、喧嘩する事が夫婦円満の秘訣との話があって、お孫さんがラップをされているとの事で、話は川上音二郎さんの「おっぺけペー節」。苗子さんが大工さんの無茶振り(かどうかは分かりませんが)でラップを披露。
 から、沖縄にも昔からラップがあったとテンポの早い「黒島口説」が演奏される。最後の一節が印象的だった。
 本当は「黒島口説」で最後だったとの事だったけれど、二部の予行演習、三線と箏の音色が美しい「安里屋ユンタ」で大工哲弘さんと苗子さんのステージの幕が降りた。

 気分はすっかり沖縄とか八重山。等々と思っていると、大工さんのアルバム「蓬莱行」の中に収められた「おさけ小唄」が、何故だか頭の中でループして、台湾は台東へと行きたくなってしまった。

 そうして幕間。お客さんの多さに身動きが取れず、その場で幕間の舞台の変換に目を凝らしながら時間を過ごした。

50周年おめでとうございます。

 暫く経って、客席の照明が落ちて、スピーカーから出囃子「復興節」が流れて、ソウル・フラワー・モノノケ・サミット。
 拝見するのは、去年の一月、神戸のライブハウス「太陽と虎」のイベント「満月の集い」以来。その時もお客さんの多さに驚いたけれど、今日も然り。
 中川さんの「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」の掛け声から「聞け、万国の労働者」で幕が開いた。この感じも久し振りと思ういつつ、また新しい感じもするなと思った。ライブがこの10年で三度目との事だったけれど、何だろう、この新しい感じはと何度と無く思う。
 中川さんが腰に巻いたコルセットを外して、大工さんのアルバム「ウチナー・ジンタ」に触れて、「カチューシャの唄」。
 何だろう、この懐かしさはと思いながら、拝聴する度に阪神大震災から暫く経ってからソウル‧フラワー‧モノノケ‧サミットを頻繁に拝聴していた頃が脳裏に何度と無く過ぎる
 大工さんも中川さんも、今日は伊丹さんからMCを短くと言われていたらしく、被災地でのライブに少し触れて、演奏されたのが「アリラン」。間奏部分のアコーディオンやクラリネットの音がよく映えて、耳の心地よさ。
 そして秋田民謡「どんぱん節」。勝手に体が動き出して、盆踊りの気分。

 しかし、モノノケ‧サミットの曲の昇華のさせ方が凄いなと、日本の民謡シリーズの7インチ盤なんか聴き比べると、唸らされるものがあるなと、何度と無く考える。

 それから添田唖蝉坊さんの「ああわからない」。この曲に限らず、全く古さを感じさせないのはどうしてだろうかと。
 それから初めて避難所で初めて演奏した時のエピソードから「安里屋ゆんた」で、何か美しいものを見た時に出る様な溜息が溢れる。
 そして「満月の夕」。ここの所、エレクトリックギターやアコースティックギターで奏でられる場面をよく拝見していたので、中川さんの三線の音が随分と久し振りで新鮮だった。から大熊さんのクラリネットのソロ。伊丹さんのチンドン太鼓と高木さんの太鼓のリズムと大熊さんのクラリネット、2台のアコーディオンのメロディーが絡んで、リズムとメロディーを河村さんのベースで繋いでいる様で、先と同じ様な溜息をついた。
 から、寿町のフリーコンサートの事に触れて「お富さん」。このポップさ加減は何だろうと思う。
 そして伊丹さんから、ソウルフラワー震災基金の話があって、これもモノノケ‧サミットのライブだなと。

 で、「インターナショナル」が演奏されてから、大工さんと苗子さんが呼び込まれて、どんな曲が演奏されるのだろうかと、期待に胸が更に膨らんだ。
 中川さんと大工さんのMCが、面白くも、少し寂しくもあった。時間が過ぎて行くなと思いながら。
 まず、演奏されたのが「復興節」。大工さんの歌唱が新鮮だった。というのと、中川さんが能登半島に込めた思いを唄に乗せていたのが印象深く響く。
 セッションは続いて、待ってましたの「東京節」2コーラス目の中川さんの歌詞とから続く、大工さんが「京都節」とも思える歌詞で、京都と東京を往復している気分になって、旅をしている気分になった。
 そして最後に大工さんから、モノノケ・サミットは「ウチナージンタ」のコピーバンドだという事が明かされて、大工さんが最初から最後まで歌唱し、最後の締めの「さよなら港」は中川さんだった。で大団円。と思っていたら、伊丹さん「もう一曲」とお店の人にとお願いして、これ以上縁起の良い唄は無いだろうと思う「豊年音頭」が50周年を迎えた磔磔に捧げられた気もして、大団円。

 人の多さに響く、凄い余韻。今日、伺えて良かったと何度も。
 磔磔50周年(おめでとうございます)、祝って、唄って、踊って。よくよく考えてみると、かなり貴重な夜だったかと、思い返す事、何度も。
 良い夜をありがとうございました。
 また伺います。

また伺います。

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