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20240627

 諸般の諸々からの帰り道、今日の予習をと思い、iPodに転送したリクオさんのニュー‧アルバム「リアル」をイヤフォンで聴いた。
 駅のホームで電車を待つ間。
 一曲目、アルバムタイトルにもなっている曲「リアル」、イントロの高木さんが弾くギターのフレーズがいきなり胸に突き刺さって、ミドルテンポの曲が始まる。HOBO HOUSE BANDと共にレコーディングされた、前のアルバム「Gradation World」や「HELLO !」と違って、何か内に向かって訴えかけて来るものがあるのは、きっとコロナ禍を経て来たからだろうと。拝聴していて思慮深くなって、いい曲だなと、これから事ある毎に聴きたくなるアルバムの一曲目に相応しいと思った。電車に乗るタイミングで二曲目の「Wadachi」へと続いて、真夜中に聴きたくなる様な曲調だなと思いながら、音の隙間が何とも言えない。

帰り道。

 寺岡さんの弾くベースラインと小宮山さんのドラムのリズムの絡み方が堪らない、音がアナログ盤で発売される事を望んでいる様な気がする。
 コロナ禍で様々な制限が掛けられていた中を思い出す「ハグ&キス」、から、友達とは何ぞやと考えた時に聴いて、その垣根を簡単に取っ払った「友達でなくても」と続く。最近では友達とは、と考える事が少なくなったのは、この曲の影響が大きいと思う。
 それから「君と僕のセカイの間」で真夜中から朝方に掛けて、丁度、朝焼けの中に勢いのみで旅に出たくなる様な曲が続いて、「酔いどれ賛歌」で宵の口に戻された気分になる、と言うか、旅に出た日の宵の口にふと入った居酒屋さんで聴きたくなる曲、ソロで拝聴した時にも、持って来いの曲だと思ったのだけれど、バンドのアレンジがまたアルコールを加速させる様な気がする。
 から中村佳穂さんが参加した「流れ星」。一度、リクオさんの磔磔でのライブでシークレットゲストとして参加されて、その時にノックアウトされて、それから去年の京都音楽博覧会でも拝見して、完全に打ちのめされた感がある、中村佳穂さんとのコラボ。お二人が紡ぐピアノと歌のグルーブが何とも、曲の最後の方でアドリブと思いたくなる、中村さんの唄にリクオさんが乗って来るのが何とも。
 レコードならこの辺りからB面になりそうで、イントロのエレクトリックピアノの涼しげな音から、風が吹き抜ける様で、人それぞれの人生の生き方の中で、どう交わるのかが唄われている様に思える「アンサンブル」で神妙な気持ちになって、それから「ミュージック‧アワー」が先の「アンサンブル」から続く様にも思えた。
 そして「僕らのライブハウス」。本当にライブが行われる場所やアーティストの方々に「いつもお世話になります」と言いたくなって仕方が在らず。
 からイントロからのコーラスが小気味良い「君を想う時」。ソロで拝聴した時と全く違った印象を受けた。甲乙付け難いソロの音とバンドサウンド。途中のコードの展開する所でゾクっとする。
 アルバムの最後に「こぼれ落ちてゆくもの」。が静かにアルバムを締め括る感じが何とも。ピアノとオーケストラで使用される様な弦楽器のハーモニーにグッと来て、また最初の「リアル」に戻る。そんな趣。
 アルバムを一周すると、何度も一曲目に戻りたくなる衝動を覚える帰り道。
 自宅に到着して、熱くなりつつある毎日で、体力の温存をせねばという事で、出発の時間まで、体を休めた。

 そして、夕暮れ時。自宅を出発したのは17:00頃、家での体力の温存が過ぎてしまった感があって、あれあれと思いながら。

 自転車を漕いで、大体いつも通りの感じで大阪方面に向かう。

 駐輪場に自転車を駐めて、そこから駅まで徒歩。から電車を待つ。平日の夕暮れ時なので、次々に電車がやって来る印象で、この時もその話に洩れず、やって来た各駅停車に乗って、特急電車に乗換える駅まで向かって特急電車を待っていると、目の前の京都方面に向かうホームに、違和感だらけの特急電車が長い時間停車していて、何だろうと、スマートフォンで駅の時刻表を調べてみると、その駅が始発駅になっている特急電車だった。
 そんな特急電車があったとは寝耳に水。と思いながら、その様子を眺めていると、大阪方面からやって来た準急電車からのお客さんを待って、特急電車は出発した。
 珍しい光景を見る事が出来たと思いながら、やってきた大阪方面へと向かう特急電車に乗り込んだ。
 電車の中は木曜日の夕暮れ時を乗せて運ぶ。この時間は会社を終えてというよりも、学校を終えた学生さんが多い様に見えて、そんな時間なのかと思う。
 電車はやがて淡路駅。前はどんな様子か分からなかった、高架化される淡路駅が、最近、その姿を露わにして来ている様に見えて、やって来た天下茶屋行きの各停に乗り換えて、少しでも書き物をと思って、手帳を広げた。

淀川を渡る。

 開場の時間には間に合わないだろうな、と思いながらも、焦る気持ち。乗務員さんが交代する、天神橋筋六丁目駅での待ち時間も、自宅を出発するのが遅かった自分の自業自得なのだけれど、少し苛立たしい。
 電車が地下を走り始めて、数駅停車して、長堀橋駅。やっと到着。出来るだけ会場である心斎橋JANUSに近い出口を選んで、改札口を出て、急足で階段を登って、堺筋から、ひとつ西寄りの通りを南へ下る。

 数分歩いて到着したのは、開場時間を少し過ぎた頃で、すぐに入る事が出来た。

 リクオさんの『リアル』発売記念スペシャル‧ツアー、リクオ with HOBO HOUSE BANDのバンドスタイルで演奏されるライブに伺った。

ジャニス。

 リクオさんがHOBO HOUSE BANDと演奏するのを拝見するのは、いつ以来だろうかと考えながら、拝見した過去のライブが頭の中で蘇って来て、それも今日の予習かと思った。
 着席で拝見出来そうだったので、アルコールも何杯か嗜めそうで嬉しい。
 残念だったのが、ビルの中で煙草は吸えないとの事で、喫煙コーナーも無く、少し寂しい思いもする。
 そうこうしている間に開演時間が近づいて、自分の席に戻ると、幕が開く。

 客席が暗くなって、出囃子が流れて(流れた様に記憶してます)、HOBO HOUSE BANDのメンバーが揃うと、ステージからの心地良い圧が凄い。

 「君を想う時」から始まって、アルバムの全体の印象から、また違ったライブの印象を受ける。改めて、今日のライブを拝見出来て良かったと思う。から二曲目「ハグ&キス」気分がどんどん上がって行く中でライブが続く。そして「Wadachi」が演奏された時に、曲の中間部分のハードロックも驚く様なリフのグルーブさ加減が半端無くて圧巻。音源で拝聴するより、これはライブだと思う。
 からMCを挟んで「アンサンブル」。リクオ with HOBO HOUSE BANDのこれ以上に無いバンドのアンサンブルを堪能。
 今日の午前中に予習をしてきた曲が目の前で演奏される迫力が何とも。
 新しいアルバムの曲ばかりかと思っていたら「雨上がり」も演奏してもらって、これはなかなか嬉しかった。バンドアレンジで、あの歌詞を聴くと心が柔らかくなった。
 新しいアルバム「リアル」の曲を中心にライブは続く。
 中村佳穂さんとの共作「流れ星」で真城さんが中村さんのパートを担当して、それがまた心に突き刺さる。惚れ惚れとする様な曲で贅沢な時間だなと思いながら。
 それから「ミュージック‧アワー」「僕らのライブハウス」と続く至極の時間、音楽を好きで良かったと、座りながらも、体をくねらせて踊る。
 から「恋の行方」。HOBO HOUSE BANDならではの、あのダンスが拝見出来て良かった。そして「酔いどれ賛歌」でドリンクカウンターに向かいたくなったけれど、一瞬たりともステージを見逃したく、音を聴き逃したくなかったので、それは控えた。曲の後半に向かうにつれて、バンドの演奏が熱を帯びて、心が鷲掴みにされる。
 そして「光」から「満月の夕」で、何か美しいものを見た時に出る溜息をついた。良い時間だなと思いながら。
 うっとりとしていると、次に「明日へ行く」から久し振りに拝聴する気がした「グラデーションワールド」から、色々な唄を思い出して、自分がその唄をよく耳にした頃が走馬灯が回る「オマージュ - ブルーハーツが聴こえる」で本編の幕が降りた。ライブの盛り上がりの余韻がリアルに残って、求めるのはアンコール。
 確か、リクオさんが一人でステージに出て来て「イマジン」を演奏された様に覚えていて、曲がJANUSの中に静かに響いた。
 からHOBO HOUSE BANDのメンバーが出て来て「パラダイス」コード進行に身悶えて、様々な人が言った言葉を、心に刻み込む様な場面に拝聴する度に同意の嵐。
 そしてアルバムのタイトル曲「リアル」。一曲目が最後の方に演奏されて、曲の並びが違うと、また印象が変わってくるなと思いながら。
 そして今も魔法が溶けない「永遠のロックンロール」シンガロンで大団円。久し振りに拝見出来た、リクオ with HOBO HOUSE BAND、何度もリクオさんとHOBO HOUSE BANDから紡ぎ出されるグルーヴに身悶えた夜でした。
 良い夜をありがとうございました。
 また伺います。

良い夜をありがとうございました。

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