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20230513

 仮眠も含めて一睡も出来ずだった。諸般の諸々を終えて帰宅途中、電車に揺られていると、いつの間にか寝落ち。気が付いて、いつも利用している駅で降りそびれたかと思ったら、随分と手前の駅と駅との間だった。これを熟睡と言うのかは知らないけれど、気が付いた時、睡眠に対しての充実感はあった。
 そんなものだから、帰宅して、これはいつもに増して体力の温存に励まねばならないと思い、昼食を摂って布団を敷いて睡眠を摂った。
 気が付けば15:00前でこれから支度をすると、開場の時間には間に合うだろうと、段取りを開始。
 色々としていると、アッと言う間に過ぎるのは時間。気が付けば16:00を簡単に過ぎていた。

  今日は、梅田のムジカジャポニカに、ソウルフラワー中川敬の弾き語りワンマン‧ライヴ!『中川敬‧音曲渡世ひとり旅2023<大阪‧春篇>』拝見に伺う予定になっている。

 今日の開場の時間は何時だろうかと、スマートフォンに入ったチケットを調べてみると、17:00に間違いはない。これが17:30だったりすると嬉しい間違いだったけれど、そうは問屋が卸さなかった。
 外は雨。大阪は梅田までの行程を考える間もなく、自転車に乗って家を出発。傘を差しながら自転車を漕いだ事は、ここでは伏せておく。

 駅に到着して、10分毎にやってくる各駅停車の次は何分だろうか、祈りを込めて駅まで急いだ。

 10分毎のおおよその時間は把握しているつもりだったので、20分位にはやってくるだろうと、期待を込めて駅まで急ぐ。駅に到着すると、電車は18分に出て行ったばかりで、次は28分まで待たねばならず、愕然とその場に立ち尽くすより他に出来る事は在らず。
 ここまで来ると、慌てても仕方が無い、と思いつつも、より早い方法を頭の中で検索。検索するも、ただただ、阪急電車で梅田に出るという他に手段は無さそう。

 各停から特急に乗り換えて、雨の中電車は進んだ。淡路駅手前で高架化の工事中の姿が目に入って、前よりは確実に構造物は完成に近付いている様だけれど、どんな工事がどこで行われているのかが皆目検討つかず。きっとあちらこちらで細かい工事が行われていて、それの集合体なのだろうと思った。
 そうしている間に電車は淡路駅に到着。すると対面のホームに天下茶屋行きの各停が停車していて、乗り換えて扇町まで向かって、そこから徒歩でムジカジャポニカまで向かうのも一つの手ではないかと、一瞬頭の中に浮かんだのだけれど、淡路を出発して、地下鉄の堺筋線まで向かう電車の速度と、天神橋筋六丁目駅で乗務員さんの交代で時間が少し取られる事を考えると、このまま特急電車に揺られる事がベストでは無いかと思い直した。

 電車が淡路駅に到着して、人の乗り降りがあって、場所に空きが出来たので、大阪梅田駅に到着して、一番先に改札に向かえる様にと、電車の一番前に居場所を移した。図らずとも電車の先頭車両の先頭。雨の中で運転席のワイパーも忙しそう。

電車の先頭。

 慌てても仕方がない。と思いつつも気持ちは慌てていて、気が気では無い。これ以上、自分で急いでもその限度はある。しかし、という心持ちで電車が急いでくれる事を願うより他は出来そうに無かった。
 次の瞬間、電車に急いで貰う方法が頭に過ぎる。それは、信号機に祈りを込める事だった。
 淡路駅を出た特急電車、淡路から先はあまり全速力で走るというイメージがあらず、どこかで詰まってしまっているのか、加速と減速を繰り返している様にも思えたので、出来るだけ早く到着してもらえる様に、祈りを込めて信号機の変わる様子に目を凝らした。
 淡路駅から大阪方面に向かう場面でも高架化の工事が、橋脚を上手く利用して張られた架線が見事だと思いながら、前方を凝視する。進む先に青色の進行信号が見えていると安心できるのだけれど、それが黄色の注意信号や、黄色が二つの警戒信号なら心が穏やかでなくなってしまう。
 先に進んでいる電車が十三駅だろうか、で停車している時は注意信号や警戒信号が頻発して、その制限が緩和されると、電車は速度を上げて十三駅。こんな事を考えていると、結局急いでいるのかどうかも忘れてしまった。

十三駅を出発して、淀川を渡る。京都線の橋梁は神宝線より一段高い。

 それで電車は淀川を渡って大阪梅田駅。今日ほど阪急京都線に中津駅が無い事に有り難みを覚えた事はなかった。
 櫛形のホームの終点に丁寧に速度を落として電車は到着して、ドアが開く。今度は自分が急ぐ番だと、大阪梅田駅から年甲斐も無く急足。

 エスカレーターには乗らず、階段を駆け降りて、JRの高架下の本数の減ってしまったムービングウォークにも乗らず、只管急ぎ足。というか、走っていた様にも覚えている。

街は雨。

 50歳を過ぎて、街中を走るなんて考えた事が無かった。雨のせいだろうか、阪急東通り商店街の人では多いという程では無く、何となく走る事が出来ていた。
 しかし、走っている時には気が付かなかったけれど、走ると息が切れるし、汗もかいてしまう。ここ数年、走るなんて事に全く縁が無かったので、すっかり忘れてしまっていた。
 開場時間ギリギリに到着して、息を切らせて、汗をかいてという。もう少し早めに家を出発していればと後悔は先には立い。
 何とか息を落ち着かせて、会場には整理番号で入場する事が出来て、有難い気持ちに。

ムジカジャポニカ前。

 適当な場所に腰を掛けて開演時間を待つ。時折、ドアーの向こうの喫煙スペースに出て煙草を嗜んでいると、外の通りの音が、アーケードはあるものの、雨の湿気でまったりと響いて来る様な気がした。

 そんな風に、街の片隅の雨の夕暮れ時を、開演時間まで楽しむ。

 開演時間を迎えて中川さんがステージに。出囃子の「川のない橋」。スピーカーから流れる音に、中川さんが声を生で被せて、それが何とも貴重な瞬間に思えたグッと気持ちが上がった。
 「入管法改悪反対やでー」のコメントから「バルカンルートの星屑」リバーブの掛かり具合に今日が雨の日という事を改めて思う。
 それから先日終えた東北ツアーの土産話(しかし、新幹線のデッキに中川さんが居たら驚くだろう。)新しいアルバムのリリースの話などを経て、その新しいアルバムから「荒れ狂う波ごしのうた」。一曲目に続いて、中川さんのMCと演奏される曲で、SNSやインターネットでしか知らない「世界」の光景が想像ではあるけれど、頭に浮かんで来た。
 それから、この曲を聴くと必ず頭の中に台湾は高雄の駅の南側の多国籍なお店が並んでいる通りや、瑞豐夜市の簡易メリーゴーランドを思い出す「移動遊園地の夜」。
 「団地のエコー」でも家の近くの団地やその周りの光景が浮んだりして、第一部の入管法改悪反対ギグはやはり「世界」を映し出している様だった。と、同時にこの国の不寛容さも感じた。どうにかならないものか、といつも思っているのだけれど、今日は更につy。一部が「そら(あの空はこの空に繋がっている)」で、台湾からの帰国の時の高雄国際機場でこの曲が頭の中で流れっぱなしだった事を思い出した。

ムジカジャポニカ、インテリア。

 第一部が終了して、幕間には外で煙草を嗜んでいると、同じビルに入ったバナナホールで出演しているだろう女の子達が居て、賑やかな楽屋と言う趣だった。

 第二部。阪神淡路大震災から数十年経った、神戸の街が刻み込まれている様にも思える「生きる」から矢継ぎ早に「満月の夕」「アリラン」と続いて、2011年に発生した東日本大震災の後に、ソウル‧フラワーみちのく旅団で東北の避難所や仮設住宅を回った時に演奏した選曲についての解説があって、それから「おいらの船は300トン」モノノケサミットで演奏される迄は知らなかった曲で、東北のどこで演奏しても盛り上がったとの事。
 と、震災が発生して何年か経って、一度行った事のある女川町の総合体育館の光景も頭に過った。中川さんのMCで曲への思い入れが一層増す。

 それから「インターナショナル」やはり中川さんのMCでこの曲が世界の国々でこの曲の持つ立ち位置が見えて来た気がする。それから、かまやつひろしさんの曲、幼い頃の中川さんの持ち曲「我が良き友よ」と、滅多に演奏されなかった曲が続いて、「ハクモクレンが空を撃つ」。ムジカジャポニカに居ながら、色々な場所に旅に出ている様な気分に第二部でもなって、二部の幕が降りた。

 第二部と第三部の幕間、終わりが近付いている様な気分になって、少し寂しい気分になって、ハイボールと煙草を嗜んだ。

 第三部は新しいアルバムから「半端な月のブルーズ」から「栄光は少年を知らない」と続いた。ライブで耳に馴染んだ曲がアルバムにパッケージされると、どんな風になるのか、今も、少し前からも、ずっと楽しみで仕方がない。
 それから6月の磔磔でのソウル‧フラワー‧ユニオンのライブの告知があって、ソウルシャリスト‧エスケイプのアルバム「ロスト.ホームランド」のLPがリリースになった直後で、どんな曲が演奏されるのか、こちらも楽しみ。
 そしてムジカジャポニカで初めて演奏された「石畳の下には砂浜がある」しみじみとして「いのちの落書きで壁を包囲しよう」と、最近、夕暮れ時に頭の中で流れる曲が続いて、本編は大団円。
 アンコールは裸のラリーズや頭脳警察に在籍されていたという、ヒロシさんがアレンジをしたという頭脳警察の「悪たれ小僧」から入管法改悪反対ギグの終わりに持って来いという選曲だと思った。から「地下鉄道の少年」NO PLACE FOR RACISM。もう少し拝聴して、歌って踊っていたかったけれど、それは次の機会を楽しみに待つ事にした。ソウルフラワーの音楽が聴けて、生きてるだけで丸儲け。

力強くて楽しい夜をありがとうございました。

また伺います。





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