見出し画像

20240504

 季節が進んで、日の出の時間が早くなって、辺りが明るくなる時間も早くなるにつれて、起床時間も早くなって来ている様な気がする。5:00過ぎに目を覚まして、敷布団の上でダラダラと、これ以上に無い位にダラダラと過ごして、それがまた至福の時間の様にも思えた。
 少し時間が経って、朝食の時間を迎えようとしている時、朝食の具材が無い事が判明して、家の近くの24時間営業のスーパーマーケットに買いに行く事にした。行くついでに、自転車に乗って辺りを彷徨ってみようかと、自宅を出発。
 いい天気にも程があると、何度も言いたくなる天気で、自転車を走らせていると、夜が明けたての空気で、体全体に風を受けて気持ちが良かった。
 自宅から東に向かって、数十年前に建てられた、一戸建てやマンションの並ぶ新興住宅地を抜けて、境界を越えて、公団住宅から用水路に掛かる小さな橋を渡る。

用水路に架かる橋の上から。

 ここを通る時、水面に遊ぶ鴨の姿を、つい最近まで見る事が出来たのだけれど、今日は目にしない。と言う事は、もう北の方に戻ってしまったのか。彼らの家は一体どこに。そんな事を思いながら、用水路に沿った道を行き、交差する府道を渡ると、一面に水の張られた田圃が広がって、そんな季節になったのだなと改めて。
 暫く走ると、道路と近隣の住宅の関係もあるのだろう、どうしてこの川を渡るのに、そんな大きな橋が必要なのだろうと思われる、高さのある橋が見えて、渡り切りはしないけど、途中まで行ってみようと思った。

 どこに限らず、港の方に行くと、運河に掛かる様な橋の佇まいで、この橋を渡ろうとする時は、そんな場所を思い出して、また遠くに行きたくなる。
 幾つも折りたたむ様に続くスロープ。自転車を漕いで登る体力は諦めているので、自転車を降りて、押して、スロープを登った。
 登り切って橋の上。
 連休の真ん中の日曜日だからか、走る車の数も少なく、それでも少し大きな車が走ると、橋が揺れて怖い。
 履いていたのがサンダルで、足元が不安定に思えて、それで恐怖感が倍増。

橋の上から。空の青さよ。

 眺めは良いのだけれど。等々と思いながら、眺めがよく映る様に携帯電話で写真を撮るのだけれど、上手く収まってくれる気がしないのは、やはり揺れる橋にサンダル履きの恐怖感からだろうと、写真の下手さ加減をそれらの所為にした。
 自動車が通る度に、揺れる橋の上が怖くなって、早々に折返す事にして、橋を降りた。降りる時は、勢いが付き過ぎない様にブレーキを軽く握って。
 地に足が付くというのはこの事だろうと思い、来た道を戻り、24時間営業のスーパーマーケットに立ち寄って、食材を買ってから自宅に帰宅。頭の中で古井戸の「スーパードライバー5月4日」を響かせながら、自転車を漕いだ。
 朝食を済ませて、歯を磨いて、あまりの天気の良さに、何度も遠い所に出掛けたくなる。
 遠い所に出掛けたくなるけれど、それはまた、良く晴れた別の日に取っておく事にして、午前中はレコード鑑賞などをしようかと。

スーパードライバー5月4日。

 先ず、朝から頭の中で流れ続けている、古井戸のアルバム「酔醒」から「スーパードライバー5月4日」。これでL.P.の同じ面、次の曲の「ステーションホテル」なんか聴こうものなら、益々遠い所に行きたくなってしまうので、「スーパードライバー5月4日」だけで納めて、次に先日、京阪寝屋川市駅の近くにある中古レコード屋さんで手に入れた、映画「HAIR」のサウンドトラックを聴いた。

HAIRのサントラ盤。

 溢れるグルーブにハーレムの施設のコーラスグループ、The Voices Of East Harlemなんかを思い出しながら。レコードプレイヤーと繋いでいるコンピュターに録音なども行いながら。

 気が付いたらお昼も過ぎていて、若干焦る。

 今日は富田ジャズストリートという街のイベントに、リクオさんと白井貴子さんがやって来るというので、拝見に伺う予定にしていて、白井貴子さんの出番が13:00からとの事だったので、お昼ご飯も摂らず、慌てて自宅を出発したのは12:50。力に任せて自転車を漕いで会場まで。

 向かう途中に頭の中で、白井貴子さんの「She Is A Go Go」が流れたり、発売された当時に、CDがまだ本格的に流通する前に、手に入れた7インチのシングル盤のジャケットの写真が溢れ出して、当時の記憶も蘇って来る様だった。

 確か、会場は富田コミュニティーセンターグラウンドとの事で、場所は知っているけれど、名前までは知らなかった。
 きっと、ここだろうと思われるグラウンドに行ってみると、見事に人が集まっていたので、確信する。
 乗って来た自転車を駐めねばと、駐輪出来る場所を探してみると、春になると桜が綺麗な、隣の筒井池公園が駐輪場になっていて、公園の中は普段では見せない様な、賑やかな光景が広がっていた。

 駐輪所になった公園の中に入ると、会場となっている隣のグラウンドから、音出しのリハーサルだろうか、白井貴子さんの歌う、佐野元春さんの曲「Someday」が流れて来て、早く会場に行かねばと逸る気持ちと、満車状態の駐輪場。自転車を整理している係員さんに誘導してもらって、何とか自転車を駐めて道路を挟んだ会場となっているグラウンドまで。
 グラウンドの中に入ると、人だかり。懐かしい「Someday」から始まっていて、街の唄が聴こえて来た気がした。

 お久し振りですと、会場やステージに挨拶をしたい様な衝動に駆られつつ。そして聴いた事の無い「青い影」と言う曲が披露されて、自分の若い頃なんかを思い出す。これがまたなかなか良い曲だった。
 聴いた事の無い新しい曲が披露されるのかな、とか、NHKのお昼のテレビ番組だった「ひるどき日本列島」のテーマ曲となっていた「元気になーれ」も聴けたら嬉しいな、等々と思いながらステージを拝見していると、次に演奏されたのがアルバム「Flower Power」から「My Glory Road」だったのには驚いてしまった。

 本田さんのギターとアコースティックセットで拝聴するのは初めてで、曲がリリースされた当時の事を考えてみると、若い、学生の頃に退屈な放課後なんかに自転車でウロウロしていた辺りで、ライブを拝見出来るなんて思ってもみなかった事で、ライブを体験するには大阪や京都の大きな街に出ていかねばならないと思っていた事を考えてみると、白井貴子さんが演奏をしているなんて、今でも信じられない気持ちに溢れた。

 そんな事を考えていると、そんな時分の事も思い出してしまって、高校の受験が迫っても勉強なんかする気になれたなかった、中学3年生の夏に、会場のグラウンドの前の道路を突き当たって、通りを挟んだ奥手のマンションの下に、古びたスーパーマーケットがあって、そこのスーパーマーケットにある地下のゲームコーナーで、フォルクスワーゲンを走らせてゴールを目指す様なテーブルのテレビゲームに只管、興じていた頃の気だるさを思い出したりもする。
 なかなかクリア出来ないと思っていたゲームは、数回すると最後まで到着する事が出来て、ゲームは繰り返されず、終わってしまうのだけれど。記憶の引き出しがどんどん開かれてつつ。

 ライブは進んで、驚いた事に「My Glory Road」は白井貴子さんと共に歌う事が出来て驚いた。三つ子の魂百までとは良く言ったものだと。 
 そして、その次の曲も同アルバムから「Foolsh War」が披露されて、この展開は何だろうと。7インチシングルのジャケットなんかも思い出しながら、当時のあれやこれやも思い出しながら、感慨深くなる。
 そうして白井さん、途中のMCで、学生時代には音楽学校に通うために、高槻にピアノのレッスンに見えられていて、実は高槻は縁の深い街であるという事にも驚いた。
 MCの内容で、ニチイがどこに存在したのかは知らないけれど、国道171号線と170号線が交わる辺りにダイエーがあった事だけは知っている。後に「D-land」から「Topos」へと変わって行くのだけれど。

 ライブを拝見していると、記憶の引き出しが開きっぱなしになる。
 昔、まだまだレンタルレコード店やレンタルビデオ店が元気だった頃、ビデオソフト一本一本の単価も高く、学生にはとても手の届く代物では無かった時代に、白井貴子さんのビデオ「She is a Go Go」を、借りたレンタルビデオ屋さんで、お金を払って、ダビングをして貰って拝見していると、アーケードのある歩道で、ライブのフライヤーをご本人が配ってられて、その後にライブのシーンが出て来る場面があって、そのライブハウスのステージの後ろに、障子の様な背景と、なにやら蔦の様な植物が(あった様な気がします)何という所でライブをしているのだ、と思っていたら、それが京都のライブハウス磔磔だった、と後から気が付いた記憶。

 そういえば、今日、後ほど出演されリクオさんも、磔磔でアルバイトをされていた事があると聴いた事があって、今日の富田ジャズストリートは50周年を迎えた(おめでとうございます)京都のライブハウス磔磔にも縁がある様な気もしていた。

 頭の中で、そんな事が溢れ出す事も滅多にあるまい、という時間を過ごす事が出来て、自分でも少し驚く。

 そして、初の著書の「ありがとうMama」も拝読したいなと思った曲「mama」でライブを堪能中に思い出していた日々から随分と遠くに来たものだと、歳の重なり方を考えさせられた。
 それから、腕時計か何かのCMで使用されていて、それで白井貴子さんを知った「チャンス」。改めて名曲だなと。何処だとか上手く言えない遠くに思いを馳せたりして、ひょっとして凄い時間を過ごしているのでは無いかという気になった。

 最後にバックトラックと共に、白井さんと北山修さんの共作である「涙河」が演奏されて、新旧取り混ぜられた、白井貴子さんと本田清巳さんのステージが終わった。ライブを見ていたお客さんの顔が、皆、ほころんでいて、それが印象的だった。

 少し年齢層が高いと思ったけれど、自分もその中の一人だとも。やはり、随分と遠い所まで来たもんだなと、何度も感慨深くなった。

 そうして、一旦、会場を離れて(今も尚)溜まっている書き物など。ステージの裏手にあった、小さな池の辺りで、ワードプロセッサー代わりのポータブル‧コンピューターを取り出して、わさわさと書いた。

 近いのに、遠くから聴こえて来る様な気がする、会場の音楽に時折耳を傾けたりして、時間が過ぎて行く。

ステージ。

 そろそろ会場に戻って、次のお目当てでもあるリクオさんのライブを拝見に向かう事にして、座っていたベンチを離れた。
 会場横の歩道を歩いていると、脇に自動車が止まって、中から若者が出て来て、会場からの音楽に合わせて、踊り始めた。
 きっとライブを見に来たのだけれど、近辺の駐車場はいっぱいだったのか、何処かに向かう途中に立ち寄ったのか。
 暫くすると、若者は、車に乗って去って行って、何だか忙しない風だなと思った。

 会場は太陽に晒されて、5月の頭とは思えない暑さ。

 明日に何も無ければ、ビールでも頂きたかったのだけれど。
 ペットボトルのジュースを買って、熱中症の予防を万全にして、リクオさんの登場を待った。

 ぼんやりと、何度となく、この季節。野外でリクオさんを拝見する機会に恵まれ過ぎている様な気がする。コロナ禍最中を除く毎年、続いている様な気がして、最早、恒例行事の域に入っている。いつの間にか。

 そんな事をぼんやりと考えて、いるとMCの人に呼び込まれてリクオさん登場。

 「雨あがり」からライブが始まって、昼下がり、まったりとした時間の流れ方が心地良く、「でも 今日は そらしゃぁないわ」という歌詞で何度も救われる事があったし、これから先も救われる事があるだろうと、そんな事を思いながら。

 からの「ランブリンマン」で旅に出て、遠い街の酒場で夜を堪能したくなる。罪作りな曲だと思うけれど、楽しい。コール‧アンド‧レスポンスも、明るい青空の下で、少々照れながらも声を出した。

 そして新しいアルバム「リアル」から「ハグ&キス」。リクオさんの前のアルバム「Gradation World」も手に入れたのは、こんなタイミングだった様に思う。今日は新しいアルバム「リアル」の先行発売はあるのだろうか、あって欲しいと思いながら、何度と無く拝見しているリクオさんのライブで、コロナ禍で作られた曲だと伺った事があって、まだ記憶に古くない、その頃を思い出していた。

 それから、新しいアルバム「リアル」からの曲が続いて「君を想うとき」が演奏されて、益々CDを早く手に入れたくなる。
 HOBO HOUSE BANDでレコーディングされた音はどんな風なのだろうかと、楽しみが増える。

 そして新しいアルバムのタイトルでもある「リアル」が演奏される。拝聴する度に深みが増して来る様な気がする。今はどんな時代なのだろうと、自分に問いかけて、考えて、答えは曖昧なままなのだけれど、その時々で、何かひとつの落とし所を見つけて、とそんな風な事。
 上手く言えないけれど、何かに自分を投影させて、状況を知る様なそんな曲だと思った。

 から「満月の夕」。色々な人が演奏をしていて、どのテイクのアレンジも素晴らしくて、名曲というのはこういうものだと、思わせてくれる。リクオさんのアレンジも曲の揺れ方が格好良いなと思いながら、聴き惚れる。

 そして畳み掛ける様に「アイノウタ」。やはり名曲。名曲が自宅の近所で連続して奏でられる素晴らしさを噛み締めながら、青空の下、素面でコールアンドレスポンス。若干の照れも混ざりつつ。楽しい時間はアッと言う間だなと、少し切ない時に溢れる溜息を零して、大団円。と思っていたら、アンコールにも応えて頂いて、RCサクセションのアルバム「カバーズ」から「イマジン」が。ここでアルバム「リアル」に繋がって来るな、と思ったのは、ライブが終わって暫く経ってからだった。

 白井貴子さんとリクオさん。まさかこんな場所で拝見出来るなんて思って無かったなと、また来年も拝見したと、イベントも堪能したくなりました。
 良い黄金週間期間中のお昼下がりをありがとうございました。
 また伺います。

 それからもイベントを堪能したく、また池の辺りのベンチに腰を掛けて、遠くの歓声を横目(この場合は横耳でしょうか)に書き物などを続けました。

夕暮れ時。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?