トランプ兵の憂鬱 ED

こちらは、初心者向けマーダーミステリー「トランプ兵の憂鬱」に使用するものです。

ゲーム前には、読まないようにお願いします。









エース(1)が最多票を獲得した場合

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。

「違うんです…!これは何かの間違いで!」


エース(1)の願いは聞き入れられることはなかった。
連れ去られていく様みて「エースがそんなことをするはずがない」とサイス(6)は泣いて懇願した。

そんな中、デュース(2)とケイト(4)だけは、にんまりと笑みを浮かべていた。


END①「不器用な想いの消失」






デュース(2)が最多票を獲得した場合

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。

「はい」
デュース(2)はもう己の罪から逃げることはなかった。
「違うんです、女王様!!」
後ろからケイト(4)の声がした。

「本当は私がやったのです!!罪なら私にお与えください!」

「いいのだ、ケイト(4)。それにお前が白くした薔薇は、シンク(5)が赤く染め直したではないか」

「それは…!!」

その様子をみたエース(1)は、静かに口を開いた。
「今回のことは、リーダーの私の責任です。私も一緒に罰を受けます」

サイス(6)も続けて口を開く。
「そうしたら気付かなかったぼくも一緒に罰を受けます」

気まずそうに、トレイ(3)も口を開いた。
「俺、ほんとはシンク(5)とお菓子、つまみぐいしよーとしてたんだ。だから、女王様、罰を!」
「え!!!お前、人のこと売る気かよ!」
「いーだろ、どうせバレてんだからよ!!」
「…ぐぬぬ…す、すみません女王様、私にも罰を…」

デュース(2)は、自分は、今までなんと勝手な振る舞いをしていたのか、と嘆いた。
傲慢だと思っていたエース(1)でさえ、今、自分のことを庇っている。

「では、皆、等しく罰を受ける、ということで良いな」

「お待ちください!!!等しく罰を受ける必要はありません!!」
デュース(2)は慌てて発言した。

「はは…ははは…あーーーーっはっはっは」
女王は堪え切れず、笑い出した。

「じょ…女王様?」
トランプ兵たちは困惑しているが、騎士たちは安堵の笑みを浮かべていた。

「報告の通りだな、サイス(6)よ」
「…はい、女王様、彼らの絆は本物でございます。」
「まだ、若干の蟠り(わだかまり)があるようだけど?」
「うーーーーーん…そうですね、まぁそれは…たぶん大丈夫かと…」
「たぶん…?」
「あ、いえ、絶対でございます、女王様!」
「………まぁいいだろう」

「…話が見えないんだが」
エース(1)が困惑しながら、尋ねる。
「まぁ、みててよ」
サイス(6)がにんまりと笑う。

「宣言する!ここにいる以下6名を、今日付けで私の専属騎士とする!」

サイス(6)を除く、トランプ兵達は驚愕の表情を浮かべた。
無理もない、今まで罰を受けるか受けないかで疑心暗鬼になっていた者たちだ。

「騎士の昇格条件、それは武術でも剣術でもない。仲間との絆。つまり、このティーパーティーが試験会場だった、というわけだ。まぁ…試験内容はちと、ずれたがの。」

「ぼくは、その試験官だったんだ」
サイス(6)は笑顔で言う。
ケイト(4)は、へたへたとその場に座り込んで泣き出してしまった。

デュース(2)は、エース(1)に歩み寄り、こう言った。
「すまなかった」
「…あぁ、許そう。私もお前にきつくあたりすぎた。すまない。」

「トレイ(3)、これ、俺たちの罪は不問になるんだよな」
「…たぶん?」

こうして、1~6のトランプ兵達は、たまに喧嘩もしながら、互いを慮る(おもんばかる)ことに努め、いつまでも女王様を守るために尽力しましたとさ。


「ところで女王様、白い薔薇が嫌いではない、というのはいつまで隠すおつもりで?」
「あら、面白いから、いいじゃない」
女王様は、一人の騎士の問いに、悪戯な笑みを浮かべて、微笑むのでした。


(HAPPY)END②「トランプ騎士の誕生」






トレイ(3)が最多票を獲得した場合

「いや違うって、俺じゃないって!」

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。


「違う!違うんだよ!!!!」


トレイ(3)の願いは聞き入れられることはなかった。
連れ去られていく様みて「トレイ(3)がそんなことをするはずがない」と、シンク(5)は最後まで言い続けた。


そのとき、彼が持っていた花柄刺繍のハンカチが、悲しそうにポトリと地面に落ちた。

END③「いたずらっ子の憂鬱」






ケイト(4)が最多票を獲得した場合

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。


「はい」
ケイト(4)は、静かに答えた。
疑問がないわけではなかった。
本当に私であったのか、その違和感をぬぐいきれてはいない。

だけど、その違和感を突き詰めることで、おそろしいことになるのではないかと実感していた。
それでいい。

それでいいのだ。


デュース(2)は困惑しながら「これは何かの間違いだ!」と、最後まで言い続けた。


それだけで、私は嬉しかった。
どうか、デュース(2)様、いつまでもお幸せに。
そして、あわよくば皆を導くリーダーに、なってください。


END④「一途の先」








シンク(5)が最多票を獲得した場合

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。


「え!!!違う!俺じゃないよ!!」


シンク(5)の願いは聞き入れられることはなかった。
連れ去られていく様みて「シンク(5)がそんなことをするはずがない」と、トレイ(3)は最後まで言い続けた。


どこかで、探していた鍵がチャリン、と鳴った気がした。


END⑤「閉じられた門」







サイス(6)が最多票を獲得した場合

「そなたに罰を与えます」
女王は厳かに立ち上がり、こういった。


「ふむ」
サイス(6)は否定も肯定もしなかった。

「女王様、お願いがあります」
「…申してみよ」
「絵を、描いたのです、この会場で」
「絵、と申すか」
「とても大切に描いたので、今日いる皆に差し上げたいのです。罰は受けます、だけどそれだけお願いします」
サイス(6)は、そういって、静かに会場から連れて行かれた。

後日、その絵をみた1~5のトランプ兵は、絶句した。
綺麗な会場で、楽しそうに笑い、とても幸せそうな自分たちがいた。
こうなっていたら、どんなによかっただろうか。

サイス(6)の目にはこんな風に映っていたのか。
皆の目から涙が溢れて、とまらなかった。


彼は今、どうしているだろうか。

END⑥「仲間を信じる気持ち」

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