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本当は美術家になりたい

アイドルだとか色々言ったが、本当は美術家になりたい。
本当の本当は “美術家” になりたいわけではないが、本当は美術家になりたい。

そう思い出したのは、先日、光岡幸一さんの個展「ぶっちぎりのゼッテー120%」を観に行ったからだ。

大学生の頃は気になる展示は大小問わずドンドン行って、作家さんとしゃべって、中でもこんな風になりたいと憧れる作家さんに対しては、私はこういうことやりたいと思ってるんです…!みたいなことをちょこっと話したりもしていた。友達にも制作をしている人が多いので、あの人はどんなものを作るのかなと常に気にして、自分もその作る輪の中にいたいと思っていた。
しかし、そうやって作る人を近くに感じて自分もできる・やりたいと錯覚することは、恵まれた環境であると同時に呪縛にもなり得る。作らなくてもいいはずなのに、自分も何か作らなければと思わされているのではないか。そのせいで私は苦む羽目になっているのではないか。作ることへの憧れが屈折して枷になって、最近はアートとかデザインとか建築とか都市とかから心が遠のいていた。

そのとき代わりに希望をくれたのがアイドルだった。しかしアイドルを目指すようになると次は、芸能界の最前線で輝くアイドルと自分を比べて落ち込んでしまう。おこがまし過ぎる。

そんな私を励ましてくれたのはお笑いだった。特に真空ジェシカの「美容院」というネタには感動して、これってもう“作品”じゃん!私もこういうのを作りたい!面白いを追求したい!と思った。し、今はラップにもハマっている。こんな風に自分の感情を吐き出す方法があるのか!カッコ悪いのに、カッコ悪いままでカッコいい!私がやるべきはラップだ!と思いラップのオーディション番組、ラップスタア2024用のリリックも書き始めた。

好きになるとすぐ自分も作りたくなりすぎ!!カカオ豆からチョコレートも作るしケーキデコレーションもするしクレープのトンボも持ってる。

最近気づいたんだけど、私は階段の一段目を上るのが得意なんだと思う。一段上ると二段目三段目よりも、また別の階段が気になってしまう。だからいつまで経っても高いところへ行けなくて、途中で進むのを辞めた階段の数だけが増えていく。色んな一段目を上ることは、ある階段を上り続けるのとはまた別の難しさや得られることがあると思うけど、根性がなく諦め癖のあるやつだという烙印を押されがちだ。一段目だけを上り続ける、そういう競技があればいいのに。SASUKEの障害物みたいな。

私が作りたいのは、𝑺𝑨𝑺𝑼𝑲𝑬 なのかもしれない。


そんなときに行ったのが光岡さんの展示だった。展示に行ったのは純粋にSNSで見かける作品が好きだったのと、光岡さんのプロフィールに、「矢野顕子が歌うみたいに、ランジャタイが漫才をするみたいに、自分も何かを作っていきたい。」とあって気になったからだ。
ギャラリーのメインとなる部屋に入るなり、ああやっぱり美術か、と思った。私がやりたいことは、私のやりたいことを受け止めてくれそうなのはやっぱり美術だと。

光岡さんの展示は、お笑いだし音楽だし意味わかんないし演劇だしで面白かった。一般的で単純な指標ではなく、光岡さんにとっての面白さや美しさや意味のわからなさなどを追求した結果の一つの形だと思った。

私も、自分が思う、面白くて美しくてカッコよくてダサいを形にして、他の人と一緒に笑ったり考えたりしたい。アイドルもお笑いもラップもクレープもMIXした、面白くて美しくてカッコよくてダサいを、更に、面白くて美しくてカッコよくてダサくしたい。私の目指す、面白さ・美しさ・カッコよさ・ダサさ、それらが混ざりアウトプットされた新競技を批評して、私を少し遠いところまで連れて行ってくれるかもしれないのが、美術なんじゃないかと思ったのだ。

だから一度、作品を美術の土俵に上げたい。でも今一番近そうなものが美術なだけ、現状私の行きたい方向にアドバイスをくれそうなのが美術なだけで、“美術家”として凄くなりたい訳ではない。

この人みたいになりたい と初めて思ったのは確か佐藤可士和で、それは高校生の頃だった。ぼんやりデザインに興味があると言った私に、父が佐藤可士和の本をすすめてくれたのが知ったきっかけだった。ルールをつくった人が勝つとか書いてある本もあって、面白いこと言うなぁと思った。作品そのもの以上に、ロゴマーク、コーヒーマシーン、幼稚園、なんでも手がけているところに憧れた。佐藤可士和のように自分の名前を肩書きするのが目標だと語った博報堂も電通も落ちたけど。

アイドルサバイバルオーディション番組に出てロールモデルは誰?と聞かれたら、ゆっきゅん って書くと決めている(あと(G)I-DLEのソヨン)。ゆっきゅんは、アイドルで歌手でDJなんだけど、過去には男性初のミスiD(多様な女の子のロールモデルを発掘するオーディション)ファイナリストになっていたり、最近はセルププロデュースでDIVAになる「DIVA Project」を始めたような人だ。肩書きではうまく説明できない、ゆっきゅんはゆっきゅんというジャンルと思う。色褪せた枠を軽やかに飛び越えていく。ゆっきゅんがゆっきゅんになっていくように、私は私を進みたい。ワンマンライブ後のチェキ会で、「ゆっきゅんの私版を目指してます」と伝えたこともある。

アイドルになりたいのも嘘や過去ではなくて、でもアイドルにもラッパーにもお笑い芸人にもなりたい。クレープもまぁるく綺麗に焼けるようになりたい。全部の夢を抱えたままで、今一番なりたいのは美術家だ。

でも本当の本当は、伴野綾を目指すしかないんだ。




〜翌日〜

でも本当の本当の本当はもう人生辞めたい かもーーーー
全然いい感じになってる未来とか見えない。ちっさいことですーぐダメージくらって勝手にしんどくなってしまうし、歌詞にメロディー付けてコード付けてベースとドラム付けたがダサすぎて萎えて止まってるし。宣言ばっかり威勢よくしてるけどそうやってる間にいいからやれ完成させろよ。てかまずお金がなくて生活に支障をきたしてるんだから働けよ。涙出てきた。流石に鬱が深過ぎる部分はdelete。

火の持ち昔に比べてめちゃくちゃ短くなってしまってるんだけど!?!?翌日でこれって。薬のせい?これもっかい燃やすことって可能?辛すぎ。

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