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「北海道にミサイル落下」と虚偽を煽ったJアラートについて

 2023年4月13日の朝、政府による「Jアラート」が発信されました。内容は、「朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮と表記)が発射したミサイルが北海道周辺に落下すると見られているから、北海道においては、ただちに建物のなか、もしくは地下に避難せよ」というものでした。
 その結果、札幌をはじめとする北海道各地では、電車が止まるなど、多大な影響が発生しました。
 その結果、時給で働く人々は、収入が減ってしまったわけです。
 しかし、それとほぼ同時に、「北朝鮮のミサイルは日本のEEZ外に落下」と政府関係者が発表した、という記事を共同通信が出しています。
 この日における、共同通信が出した情報は、下図のとおりです。

47newsで「ミサイル」で記事検索した結果

 左上から、ニュースが新しい順に並んでいます。
 つまり政府関係者が「日本のEEZ外に落下」と報じた直後に、「北海道付近に落下か」という記事を出したわけです。
 同じメディアが相矛盾した記事を出す、というのは極めて異常です。

 しかも、「北海道付近」というのは何を意味するのでしょうか。
 北海道は小島ではありません。
 南西端にある函館から北の稚内や東の根室に行こうとすれば、車でも鉄道でも10時間近くかかります。
 それだけ広い島全体にJアラートを出したのです。
 しかもその「根拠」は何だったのでしょうか。
 それに関する官房長官の談話は以下の通りです。

 松野官房長官は会見で北朝鮮のミサイルに関し「探知の直後、レーダーから消失した。限られた情報の中でシステムが航跡を生成したため、国民の安全を最優先する観点からJアラートを発出した」と説明した。

2023年04月13日 共同通信

 実際に北海道どころか日本のEEZ外にミサイルは落ちました。
 北朝鮮が日本を狙ってミサイルを発射していないのですから当然の事です。
 それをレーダーで探知できなかったにも関わらず、「北海道周辺に落ちる」などと分析する「システム」が本当にあるなら、重大な欠陥システムだと言わざるをえません。即座に改修すべきです。
 しかも、レーダーから消失したミサイルの航跡をどうやって分析できるのでしょうか。
 ここまでの事実を分析すれば、政府が何の根拠もなく、北海道にJアラートを出したと解釈するよりありません。
 なお、それを裏付ける政府発表も出ています。

北朝鮮が発射したミサイルについて、政府は当初、北海道南西部の陸地に落下する恐れがあると推定していたことが13日、政府関係者への取材で分かった。

2023年04月13日 共同通信

 気象庁サイトを見ると、「北海道南西部」というのは、札幌・小樽・室蘭・函館などが含まれます。
 これだけでもかなり広範囲です。しかも、この発表だと函館周辺にも「ミサイルが落下」する可能性があるわけです。
 ならば、対岸の青森でもJアラートを出さなければおかしい話です。
 以上の事実をまとめれば、「政府は、日本のEEZ内に落ちるわけがないとわかっていながら、脅威を煽るために、Jアラートを発出した」としか解釈のしようがありません。
 そして、明らかな矛盾があるのにそれを無批判で報じた上に、いまだに、ネット上の該当記事に訂正すらつけていない、商業マスコミの異常さも大問題です。
 完全に80年前の「大本営発表」と同じになっています。

 国際情勢をちょっとでも知っていれば、北朝鮮が日本を狙ってミサイルを発射する、などという事がありえない、ということくらいすぐにわかります。
 にも関わらず、このような虚偽のJアラートまで出して、北朝鮮の脅威を煽っているのが今の自公政権です。
 それを口実に防衛費を大幅に増やし、その財源として税金や社会保障費が上がるわけです。
 存在しない脅威に煽られるのではなく、「脅威」を口実にした政府の誤った税金の使い方を正すよう、声を挙げていく必要があります。

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