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ダイソーの本気を見て

100均ショップのダイソーは出店ラッシュが止まらない。

かなり前に購入した洗濯ものを干すラックは紫外線に弱くてすぐに使いものにならなくなったから、今でも買うとしても慎重に選んでいるが、コレはスゴいと驚くものを出してきた。

400円の値札を付けた時計はこれまではどれもたいして魅力があるわけでもなく、どんなものかとデジタルとアナログをとりあえず買ってみたものの、アナログの黒メッキはすぐに剥がれるは、デジタルの時間はあり得ない狂い方をするはで、ダメだなと判断せざるを得なかった。
ただし、アナログのケースはステンレスを使っており、この点でチプカシと呼ばれてマニアが集めているカシオの低価格商品よりも明らかによい素材を使っていたことは特筆しておきたい。

ミリウォッチと名付けられたその時計は、明らかにベトナム戦争時に使われた軍用時計を真似たものだが、ただ単に姿形を真似ただけでなく、チープな使い捨てと割り切って作られた当時のコンセプトに、あくまで100均ショップのダイソーで売られる時計としての意味合いが合致していて、きちんと事情を理解していないとここまでの完成度は出ないだろうと思われるものだった。
(マニアックなYouTuberは一週間ほど前に取り上げていたが、僕が購入したのはその前の週だったから、見つけたのは比較的早い方だったはず。)

写真の左がタイメックスがつくった手巻きの復刻、右がダイソーのミリウォッチになる。

戦地でクォーツでは電池が切れて止まっては困るとの理由で当時は簡素な手巻きでつくられていたが、タイメックスやハミルトンもクォーツでの復刻版を出してきているから、ダイソーがクォーツで手がけてもなんの違和感もない。

そして、そのそっくりさ。
TIMEXのブランド・ネームが文字盤になければ区別するのは難しいレベルにある。
ただしベルトは所謂NATOタイプと呼ばれる形を採用しており、厳密には米軍の軍用時計とは言えない。そして、当たり前のこととしてこんな些事は相当のマニアしか気にしない。

極め付けは、軍が支給した時計だったから、米国にある幾つかの時計屋さんが手掛けていても文字盤のブランド・ネームは無しという決まりがあり、その意味でもむしろ本家に近いというね。

使い捨てが前提の安物をダイソーがそっくりにつくるというのは、先に書いたように極めて正しくコンセプチュアル。
ケースがプラスチックなので、メッキが剥がれる心配もない。

ワークマンもすごいと聞くが、ダイソーもまたユニクロが辿った路線を行きつつあるのだと感じさせた商品だった。

結構人気があるようで売り切れていることも多いが、税込み440円で本格派の軍用時計が買えるというのはあり得なかったので、興味がある方は店頭で見てみたらよいと思う。
色はカーキグリーンとブラックの二色。
どちらもいい感じでチープな魅力がある。

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