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愛を伝えたいんだ〔完全版〕

お父さん、お母さん…於次のために出会ってくれてありがとう。於次をこの世に産んでくれてありがとう。短い間だったけど於次を愛してくれてありがとう。於次は二人が繋いでくれた愛と勇気のたすきを次の世代に、後世の平和のために繋ぎます。  天正十二年(1584)十二月末。もう一月すると春の芽吹きを聞こうかという季節がやって来るが、もうすぐ天下人になろうとする羽柴秀吉の居城・長浜城とその城下では、まだ冬の香りが強く漂い、青々とした空はまだ春の訪れを告げるのは遠いよ、と語りかけてくるようだっ

    • 敗者の物語 石田三成と淀殿〜ハシゴを外された歴史〜

       これは二重の意味で敗者の物語である。まず主人公の二人が歴史の敗者であること。そしてもう一つはこの説を推したい私が歴史界隈において敗者であるらしいこと。三成と淀殿−浅井茶々という恋人の組み合わせは私が中学生だった30年ほど前は常識的に流行していた。小説にもそうあったし大河ドラマでもそのような雰囲気で描かれたものであった。最も主人公に対する悪役としての二人だったけれど。当時の私はこの二人を正当化した物語を描きたいと考えた。当時自傷行為に悩まされていた私にとって石田三成は希望の光

      • 戦国のサンシャイン 第一話 奇跡の命

        奇跡の命  それは数ヶ月前の冬のこと。桶狭間の戦いで駿河の盟主今川義元を破って全国的に名を広めた織田信長は、現在尾張と美濃の領主として破竹の勢いを続けていたが、最近はうちうちにではあるが家臣が何を聞いてもうわの空であることが多く側仕えの者たちは気を揉んでいた。確かに信長は少年の頃はエキセントリックな行動も多く常識ある家中からは正直疎まれることも多かったが、美濃のマムシこと斎藤道三の一人娘・帰蝶を娶ってからは大分落ち着いた。だが、今回はその帰蝶こと濃姫が体調不良で表に出て来られ

        • Forget-me-not 戦争と革命の世紀の愛 第一章ばらの指輪

          第一章 ばらの指輪  1947年4月半ば。  西公園へと続く、広瀬川沿いに咲いた桜の並木道を、色の白い金髪の優しい面立ちの青年が幼い異国風の顔立ちの男女の子供たちを連れて歩いていた。アレクサンドルとマリアの一人息子、22歳のアレクセイである。 「おーい、エリーゼにカール、あんまり遠くに行くんじゃないぞ!」  アレクセイは降り注ぐ太陽の光を浴びて半透明のピンク色に輝く桜の花を見上げた。桜の季節になるとアレクセイは三年前の夏に亡くなった姉のゆりえのことを思い出さずにはいられなかっ

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          Forget-me-not 戦争と革命の世紀の愛 プロローグ

           誰もが生き残ることに必死だったんだ…それだけは確かだと思う。社会の構造改革の荒波が全世界中に押し寄せ、抗うものは滅び新時代の波にうまく乗れたものだけが勝者として称えられた。けれど滅びたものも含めて誰もが自分の信念が正しいと信じていたし、自分の愛するものを守るために戦ったことは確かだ。史上最悪の革命と戦争の時代、誰もがおのれの生き方に悩んだだろう。どうしたら生き残れるか、どうしたら勝者になれるのか。難しい選択だったに違いない。しかしこういう時代、おのれの感情に流されたものは滅

          Forget-me-not 戦争と革命の世紀の愛 プロローグ

          愛を伝えたいんだ

          お父さん、お母さん…於次のために出会ってくれてありがとう。於次をこの世に産んでくれてありがとう。短い間だったけど於次を愛してくれてありがとう。於次は二人が繋いでくれた愛と勇気のたすきを次の世代に、後世の平和のために繋ぎます。  天正十二年(1584)十二月末。もう一月すると春の芽吹きを聞こうかという季節がやって来るが、もうすぐ天下人になろうとする羽柴秀吉の居城・長浜城とその城下では、まだ冬の香りが強く漂い、青々とした空はまだ春の訪れを告げるのは遠いよと語りかけてくるようだっ

          愛を伝えたいんだ

          愛を伝えたいんだ

          お父さん、お母さん…於次のために出会ってくれてありがとう。於次をこの世に産んでくれてありがとう。短い間だったけど於次を愛してくれてありがとう。於次は二人が繋いでくれた愛と勇気のたすきを次の世代に、後世の平和のために繋ぎます。  天正十二年(1585年)一月末。もうすぐ春の芽吹きを聞こうかという季節が差し迫っていたが、もうすぐ天下人になろうとする羽柴秀吉の居城・長浜城とその城下では、まだ冬の残り香が漂い、青々とした空はまだ春の訪れを告げるのをためらっているようだった。 「さみ

          愛を伝えたいんだ

          愛を伝えたいんだ

          あと少しで立春を迎えるという天正十三年(1585年)一月末。しかし…外の空気はまだややひんやりと冷たく、朝の空もまだ心なしか青が深いように見えた。 「さみーなぁ…これでも春は来るんだよなぁ三成」 羽柴秀吉の近習である大谷吉継は同僚で親友の石田三成に両腕で自分を抱え込みながら問いかけた。 「来るさ。少なくとも暦の上では…体感で春が感じられるのはいつかなんて分からないけど、人は永遠とも思える時間の中で同じような季節の移り変わりを繰り返してきたんだからね。俺たちが死んでもきっ

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          いつか君とあの星空の下で

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          戦国のエトランジェ 1宿命の女

           まだ子供だった頃、故郷の村に来た顔相を占う商いをする者がわしの顔を見ていったのじゃ。たいそう意味ぶかげな顔をして一呼吸するとわしの肩をがっしりと掴んでこう告げた。 「佐吉殿…そなたは賢く美しい。そなたの行く末は眩いばかりに開いておる…だがそれなのに女難の相が邪魔をして悲惨な末路が待っている…そうなりたくないとお思いなら女子 には慎重になりなされ」  わしは自分で言うのも何なのだが、周囲の人々を騒つかせるほど目立つ容貌を持っていた。でもだからと言って女子に特別関心があるわ

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          大まるマンガサタデー 第四週 「残酷な王子様」

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          大まるマンガサタデー 第三週 「青い花の王子様」

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          大まるマンガサタデー 第二週 「大野君の平和」

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          大まるマンガサタデー 第一週 「いのち」

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          私の大まるの原点…大野君と大野くん

          今回は二十年から十数年ほど前の私の一次創作のキャラクターを交えながら、お話しさせていただきます。十数年前の私は完結こそしませんでしたが、一次創作で高校球児を主人公にした青春小説を書いていた、というよりネタを作っておりました。ちょうどアニメのちびまる子ちゃんが大まるの神回と言われる「ロマンチックな季節」を放送していた頃のことです。その頃の一次創作のキャラクターにPL学園(懐かしい響きになりましたね)のスラッガーで、大野光司くんという子がおりました。私の一次創作とはいえ当時は大の

          私の大まるの原点…大野君と大野くん

          恋する観覧車(小説版)

          恋する観覧車 2 月 13 日土曜日。 休み時間中の清水市立入江小学校三年四組の教室。 教室の中も外も今日はざわざわしている。 「なんだか騒がしいよね。たまちゃん。今日は何かあったっけ?」 まる子、あるいはまるちゃんと、通称されることの多いさくらももこは、隣席のたまちゃんこ と親友の穂波たまえに、不思議そうに聞いた。 「やだ、まるちゃん!今日はバレンタインイブでしょ!大野くんも、怒鳴り声上げて、朝から 逃げ回ってたよ(^。^)。明日のバレンタインは、日曜日だから、今日持ってく

          恋する観覧車(小説版)