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【急性腰痛の治療】保存療法編

■これからAHCPRの『成人の急性腰痛診療ガイドライン』が勧告している急性腰痛の治療について、

【患者への情報】

【薬物療法】

【保存療法】

【外科手術】


に分けてエビデンスレベル(科学的根拠の確証度)を明記して紹介していきます。




【保存療法】



1:脊椎マニピュレーション(カイロプラクティックなど)は神経根症状のない急性腰痛患者(ぎっくり腰)に対して発症後1ヶ月以内に用いられれば症状が改善する可能性がある(確証度B)。




2:進行性あるいは重大な神経学的欠損(知覚麻痺・筋力低下など)が認められる場合、脊椎マニピュレーションを行なう前に危険な神経学的問題を除外するために適切な診断評価が必要とされる(確証度D)。




3:神経根症状に対して脊椎マニピュレーションを推奨する十分な証拠はない(確証度C)。




4:1ヶ月以上持続している神経根症状のない腰痛患者に対する脊椎マニピュレーションはおそらく安全だが効果は証明されていない(確証度C)。


5:脊椎マニピュレーションによる治療を1ヶ月間行なっても患者の症状や機能障害の改善が認められない場合は、脊椎マニピュレーションを中止して患者を再評価すべきである(確証度D)。




6:急性腰痛(ぎっくり腰)に対する物理療法(温熱・寒冷・マッサージ・超音波・低出力レーザーなど)の費用対効果は十分に証明されていない。患者が家庭で患部を温めたり冷やしたりすることは選択肢のひとつとなり得る(確証度C)。




7:TENS(低周波治療器)は急性腰痛の治療に推奨しない(確証度C)。



8:長時間立ち仕事をする急性腰痛患者にインソールは選択肢のひとつ(確証度C)。




9:下肢長差が2cm以下ならシューリフトは推奨しない(確証度D)。




10:急性腰痛に対する腰部コルセットとサポートベルトの有効性は証明されていない(確証度D)。




11:腰部コルセットは荷役作業従事者の腰痛による欠勤日数を減少させる可能性がある(確証度C)。



12:急性腰痛患者(ぎっくり腰)の治療に牽引は推奨できない(確証度B)。




13:急性腰痛患者の治療にバイオフィードバックは推奨できない(確証度C)。




14:トリガーポイント注射の有効性は証明されておらず侵襲的なため急性腰痛の治療に推奨できない(確証度C)。




15:靭帯や硬結部への注射の有効性は証明されておらず侵襲的なため急性腰痛の治療に推奨できない(確証度C)。

 

16:椎間関節ブロック有効性は証明されておらず侵襲的なため急性腰痛の治療に推奨できない(確証度C)。



17:硬膜外ブロックは侵襲的なため神経根症状を伴わない急性腰痛の治療に推奨できない(確証度D)。




18:硬膜外ブロックは保存療法で神経根症状の改善が見られない場合、手術を避けるための緩和療法として用いることができる(確証度C)。



19:鍼治療や乾性穿刺は急性腰痛患者(ぎっくり腰)の治療として推奨できない(確証度D)。



20:軽いエアロビックエクササイズ(有酸素運動)は活動障害による体力低下を防ぎ、日常生活ができるだけの機能回復を促す(確証度C)。



21:軽いエアロビックエクササイズは腰痛発症から2週間以内に始めてもよい(確証度D)。




22:体幹筋(特に脊柱起立筋)の強化運動は急性腰痛患者に有効だが発症後2週間以内に始めると症状を悪化させる恐れがある(確証度C)。




23:エクササイズマシンが従来の腰痛体操より有効という証拠はない(確証度D)。




24:急性腰痛に対してストレッチが有効だという証拠は存在しない(確証度D)。




25:運動中に疼痛が増強したからといって運動を中断するよりも、痛みの程度に応じて徐々に運動量を増やすほうがはるかに効果的である(確証度C)。


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