何でもかんでも"インボイス制度"のせいにするんじゃないよ
どうも、大河内薫です。
都内で税理士をしながら、お金の教育を日本に根付かせるために日々頑張っております。
さて、今日の本題は『インボイス制度のあれこれ』と言う事でお話していきたいと思います。
僕は4年前からインボイス制度について、制度の説明や今のうちに準備しておいた方がいいよと言ってきましたが、なかなかそう言うものって言うのは届かなくて、
いよいよインボイス制度のスタートが近づいてきて、メディアがちょっと偏った煽りを始めてから、ようやく国民が気付き始めたって言う所ですね。
なので、4年前と言ってる事は変わらない部分と、スタートが近づいてきた事で見えてきた部分、そして問題点と言う感じで、一つにまとめて超大作『インボイス解説』をVoicyとYouTubeで出そうと思っています。
恐らくVoicyに至っては、全4回、全5回とかちょっとわかんないけど、かなり多くなっちゃうかもしれませんね。
もしかすると1週間全てインボイスについてお話する『インボイスWeek』になるかもしれないですね。
最後には、Voicyライブアワーを使って質問も受けられたらと考えています。
■『免税事業者』だけが増税じゃない
今日はその『超大作』の中ではあまり触れないだろうなと言う『余談』の部分についてお話します。
題して『何でもかんでもインボイス制度のせいにすんじゃないよ』って言うお話です。
メディアが偏って煽っているので、国民も徐々に洗脳され始めて、有名なクリエイターさんも洗脳され始めているわけですよね。
インボイス制度と言うのは、平たく表面的な事だけをなぞれば『増税』なんですよね。
今現時点では、一定の要件(年間売上1,000万円未満)を満たした事業主は、取引先から預かった消費税を納める事を免除されているんですね。
この事業主を『免税事業者』と言います。
※要件を満たしていても、自ら『課税事業者』になる事も出来ます。
インボイス制度が始まると、この免税事業者に対して『増税』になるのではと各メディアは煽っているわけです。
相変わらず煽るのが大好きですね。
それで人が集まってくるからね。
僕の会社も『個人事業主』なんですが、要件を満たしていないので『課税事業者』と言って、消費税を納めていく事業者となっています。
『免税事業者』だけが『増税』になるわけでなくて、『課税事業者』の僕にとっても、このインボイス制度って『増税』なんですよ。
これは消費税の仕組みがわかっていないとなかなか難しい話なんですが、ざっくりと説明しますね。
自分の商品やサービスを売った時の代金(売上)に消費税を加えて受け取ります。
一方で自分も何かを購入したり、サービスを受けたりする時にその代金に加えて消費税を支払いますよね?
で、基本的には『自分が受け取った消費税』と『自分が支払った消費税』の差額を国に納めていくと言う仕組みなんですね。
この時、自分が支払った相手先が『インボイス番号』と言う物を持ってないと、『消費税を支払った』と見てくれないんですよ。
と言う事は、差額が小さくなるので、その分多くの消費税を納める事になる(増税)わけですね。
僕の支払先って副業でやっている方も多くて、インボイス番号を持ってない人もいるので、シンプルに結構な増税なんですよね。
こっちの増税の事についてはあまりメディアは言わないんです。
なぜなら、そこに共感してくれる人があんまりいないからって事ですね。
こっちの増税って、事業主とか経営者に向けたお話になるのであんまり触れていないんです。
■それってインボイス制度だけが悪いんだっけ?
とにかくメディアは『増税』の切り口で、インボイス制度の事をお話しするのが大好きなんですけど、増税の事だけじゃなく、制度についてしっかりと理解をしていかなきゃいけないと思います。
これについては冒頭でお話した、YoutubeやVoicyの『超大作』の方でしっかりお話ししていきます。
やっぱりメディアは増税を叫ぶのでみんな洗脳されてしまい、年間売上が1,000万円に届かないクリエイターが『こんな制度はクリエイター殺しだ!』なんて事が言われちゃうわけですよ。
で、有力なクリエイターも『ストップインボイス!』って発信をしていて、『このままでは我々の業界がダメになってしまいます!』なんて言っているんですよ。
その気持ちは非常によくわかります。
非常にわかるんだけれど、もっと時代背景とか税金の歴史とか、そしてメディアの煽りに無駄に踊ってしまっているクリエイターがいるとか、全体感をもっと確認しないと、これまで築いてきたクリエイターとしての経歴や実績、肩書きとかに大きな傷がついてしまうんじゃないかって心配するぐらい、ちょっと的外れな事をしているなって思う事もあるんですよ。
クリエイターと言っても、さらに他のクリエイターに外注(下請け)する可能性もあるので、こう言う人たちが食っていけないんですと言うわけです。
インボイス制度が始まると、今まで収めなくてよかった税金(消費税)を収めなきゃいけなくなるので、『これでは食っていけません!』みたいな事を言うんですけど、それってインボイスだけのせいじゃないよねって思うんです。
■ちゃんと価値に見合った報酬を支払えているのか?
もう様々な理由があると思うんですよね。
これ結構厳しい僕なりの意見ですが、自分から情報をキャッチアップしていれば、2019年代からインボイス制度の事を知る事ができたんです。
僕の4年前の動画に込めたメッセージは、『まだ4年後だから、それまでに売上1,000万円を達成すればいいんじゃないですか』って言う話だったんです。
個人事業主で、年間売上1,000万円って非常に厳しい事ですよ。
でも4年間の努力があれば、いけたかもしれないじゃないですか。
でもそう言うところを棚上げして、インボイス制度が導入されて消費税10%部分が実質増税になる。
『クリエイターは食っていけないんです!』って、涙を流して会見とかするのはちょっといかがなものかなって思いますよね。
他の切り口で言うのであれば、そもそも消費税は10%です。
売上は1,000万円にいってないと言う事なので、ざっくりと990万円とかなわけですよね。
で、その消費税10%で言うと約90万円ぐらいですよね。
90万円前後の収入が減っただけで食っていけなくなる。
しかも売上は990万って言う事ですからね。
それって業界の単価基準ってどうなのって僕は思うんですよね。
クリエイティブ業界の単価が安すぎて、仕事の価値に見合った金額を一番下っ端のクリエイターたちはもらってないんじゃないって言う可能性もあるわけですよ。
そうすると誰が悪いかって言うと、その有名なクリエイターとか有力なクリエイター、外注や下請けを使ってる人たちが悪いわけじゃないですか。
その人たちに払えてないわけだからね。
あとは僕たちも悪いですよね。
企業とか、僕みたいな発信をしている人間とかも、クリエイターの方々にお仕事を発注して、お支払いをさせていただくわけですから、その単価が安いかもしれないですよね。
これって別にインボイスとか増税とか税法のせいではなくて業界のせいでしょ。
つまり社会のせいでしょ。
ここを棚上げして、なんでもかんでもインボイスのせいにするなよってメッセージとして伝えたいところなんですよ。
だってその背景にあるのは勉強不足だから。
メディアに踊らされて洗脳されちゃってますよって思うんです。
何でもかんでもインボイスのせいにしちゃいけません。
■忖度で生まれた『免税制度』
つまるところ、やっぱり一番悪いのはどう考えても日本政府ですよ。
これは最後にお話しておかなきゃいけないんですけど、インボイス制度って確実に消費税制度とセットなんですよ。
『消費税が導入されているのにインボイス制度ありません』と言う国はもう諸外国見てもないんですよ。
なのに日本はインボイス制度ないんだよね。
これは30年の間、消費税制度が走り続けてきた間、ずっと歪んでる状態だったんです。
もう日本政府は、インボイス制度がなければ消費税を適正に徴収できないんだから。
この歪みをずっと許してきたのは『免税制度』なんですよ。
当時、竹下内閣が消費税を導入した時に、当時は『年間3,000万円』と言う売上基準だったんですけど、『そこでまでは免税です。消費税払わなくていいですよ』と忖度をして、消費税法を無理やり通したばっかりに、今でこそ売上基準は1,000万円にまで下がっているけど、この免税制度が亡霊となって、インボイス制度を導入すると今度はそこが歪みを起こすみたいな事になってるんです。
『個人事業主や企業などの事業主と言われる人たちは、全員もれなく消費税を納めてね』と、導入時に忖度した部分を消して、適切な消費税制度に戻していれば、インボイス制度の導入に何の混乱もないわけだからね。
ここは日本政府としては猛省した方がいいと思います。
これは歴史に残る汚点だと思います。
■賃金を上げる方法は2つ
日本はずっと賃金上がってないから、生産性を上げていかないといけないんですよ。
賃金を上げるためには2つしか方法はなくて、企業がめちゃくちゃ商品の値段を上げてものすごい売り上げを獲得する。
とにかく売り上げを獲得する。
それを給料として吐き出す。
もしくは、一人一人の生産性をめちゃくちゃ上げる。
今まで10時間かかっていた仕事を5時間でやるとか、もっと仕事ができるようになると生産性が上がって、理論上は給料が増えるはずなんです。
賃金が上がってない日本としては非常に重要な部分なんですよ。
なので『生産性』が着目されるべきで、生産性を上げる事に日本は本当に今力を注いでいるんですよ。
AIの技術が盛り上がっていますが、これらは生産性にダイレクトに繋がっていくので、企業や日本政府も注目してるわけですよ。
にもかかわらず、インボイス制度を無理やり導入していく事によって、制度スタートの10月に向けて生産性が落ちていくんですよ。
僕の様な1人でやっている会社でも生産性がめちゃくちゃ落ちます。
まず、支払先のインボイス番号を全部確認しないといけない。
もうそれだけでも吐き気がするじゃないですか。
僕の支払先なんて、100社も200社もある訳じゃないけど、それでもめんどくさいですよね。
それを全事業主がやっていると考えれば、とんでもなく生産性が落ちる事になりますよね。
だから、これは本当に歴史に残る汚点だし、もう歴史に残る反省点なんですよね。
日本政府はそれを分かってないんだよね。
インボイス制度の担当に就くような官僚の人たちは、歴史的背景からしっかり勉強をして、もっともっと時間をかけて国民に解説すべきですよね。
そしてメディアが偏った報道をしていのであれば、『いや違うんです!私たちが説明します』とメディアを制止する事を言わなきゃいけないんだよね。
本当にこのインボイス制度って言うのはね、日本政府が作った悪だと思いますよ。
『何でもかんでもインボイス制度のせいにするな』と言うのが今日のメッセージなんですけど、その背景には『国民もかわいそうな部分もあったよね』『クリエイターもかわいそうな部分があったよね』とかなりヒートアップしましたが、全体感を抑えないと、相当頭が凝り固まった人に見られたり、ちょっとおかしい人に見られたりする事もあると思うので、Voicyリスナーの方は気をつけてほしいなと思います。
■お知らせ
さて最後にお知らせです。
『大河内薫マネリテ学園』と言うYouTubeをやっておりますが、そのYouTubeをテキスト化してサイトにまとめようじゃないかと言う試みをやっております。
『大河内薫マネリテ学園公式ブログ』と言うタイトルでやってるんですが、これが悲しいかな全然読まれてないんですよ・・・。
なのでこんなサイトもあるんだと認識していただけたらなと思います。
100記事以上のお金に関する特化型サイトになっていて、このインボイス制度の事もいろんな切り口で書いていますので、気になる方はこちらから確認してくれたら嬉しいです。
ブログの中の検索窓で、自分が気になる『お金系のキーワード』を検索して出てきた記事を読むと言う使い方でマネーリテラシーの底上げに使えるサイトとなっていますので、ぜひ確認してくれたら嬉しいです。
本日も張り切っていきましょう。
それでは、素敵な1日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ✨じゃあね!
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この記事を音声で楽しむには
Voicy:https://voicy.jp/channel/660/
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公式サイト:https://monelite-dao.com/
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