ゆめみのまち:メモ「瓦」
車窓からすでに気になっていたことだが、目算で9割の家の屋根が同じ様式の瓦葺きなのだ。そのことが独自の景観をつくっている。
街を歩きながら近くで観察する。瓦の色は、橙に近い明るい茶、黒、青みがかった黒の3種類程があり、全て濡れたような光沢がある。青みがかった黒は太陽に鈍く光って美しく、その再現できなさゆえに心に残った。旅をすれば新しい色の採集もできる。
生垣で、上辺に小さい瓦屋根をつけている凝ったものがあったので、触らせてもらうと、焼物のように釉薬を厚く塗って焼いていることがわかる。
見る限りほとんどの家がこの瓦屋根だが、風土に合った合理的な理由からの選択か、何かしら伝統の不文律があっての選択なのかが気になる。
タクシーの運転手に聞いてみるとこれは「石州瓦」でこの地方の特産だという。頑丈でメンテナンスが要らないのがメリットで、特に決まりなどはないが昔はこの瓦葺きにするのが当たり前だった。しかし阪神大震災後に建てられた家はほとんど瓦を選択しないとのことだ。(瓦が重たいから)また、気に入った青みがかった黒の瓦は「銀黒」という色なのだと教えてもらった。
帰る前に時間潰しに入ったショッピングモール(室内に泉があって川が流れるなど混沌としている)の中に石州瓦業者のテナントがあるのを見つけて最後に答え合わせをしてもらった気分になる。