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カンパニーXY with ラシッド・ラウンダン『Möbius』

 友達に誘ってもらって、フランスのアクロバット集団の公演を観に行ってきた雑感を書き留める。
 ムクドリの群れが主題になっている振り付けなので、集団で同じように動きながら人を高く投げては受け止めるような動きが多かった。目を見張ったのは、立っている人の肩上に、別の人が登ってまっすぐ立つという技で、最高で4人が縦一列に並んだのには息を呑んだ。3人の人の上に立った人は涼しい顔をして重力がまるでないみたいにすんと立っていた。
 しばらく観ていると、パフォーマーそれぞれの個性が見えてくる。年齢、性別、体型などそれぞれ異なっていて、そこに「社会」を感じて興味深かった。人の上に登るのは女性だけというわけではなく、男性も登っていた。人を投げ・受け止め、登り・支え、と淀みなく連携する人々をずっと観ていると、全員で一つの生き物のように、一人ひとりはその細胞のように見えてくる。私も普段忘れているだけで一個の細胞なのかもしれない。
 踊りの部分で、一人、ふたりと順にぐらりと倒れてゆき、それに周りの人が気づいて支え起こす/それでも倒れた人は引きずっていく、という振りがあり、印象的だった。なんとなく、いつか私が死んだ後、私の死体を片付けてくれる誰かのことを思った。失踪死しない限り、必ず片付けてくれる他者がいるのだと思うとありがたく、少し安心する。(変な感想!)

素晴らしい体験で、観に行けて本当によかった!

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