下町の職人
子供のころに住んでいた下町、東京駅や銀座が徒歩圏内の地域には、多くの職人がすんでいた。
板金工場からはグラインダーで板金を切り、火花が散っているところやガスでトーチでの溶接作業を目にできた。
畳屋が表から見える作業場で長く太い針で肘をつけて畳表を縫い付ける様子も見ることができた。
大工は、台にのせた長い木材に鉋をかけて、透けれ見えるほど薄い鉋屑が歩道まで飛んでいた。また、ほぞ穴をあけるため鑿をトントン叩く音も聞こえた。
活版印刷屋や製本屋からは機械のバッタンバッタンする音が一日中聞こえた。住宅地に作業場があるのがふつうであり、子供の目に働く大人の姿を子供が日常的にすることができた。
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