狼旅団的不動産投資初心者論 4

今回で4回目になる「狼旅団的不動産投資初心者論」ですが、読んでる人によっては「なんか思ってた不動産投資と違うぞ」と思ってる人がそろそろ出てくるような気がします。(「専任、一般とは?」なんて媒介の種類を説明する人はいても「業者の休みのタイミングと同じ呼吸しろ」なんて説いてるやつはそういないんじゃないかとw)

ワタクシからすれば不動産投資をやりたいなら真っ先に理解しておいていただきたい部分なのでNOIとかIRRが重要なんですよとキャッシュフローツリーなんて業者の入力値でいくらでも収支が変わってしまうものを一生懸命勉強するより「人を見たら泥棒と思え」ってのを先に覚えて進んでいただきたいと思っております。

なぜならば世の中には「最初から悪意のある人」以外に「善意の愚者」と呼ばれる人種がいるからです。

この「悪意の愚者」なる言葉ですが要するに、大して裏付けを取ることなく「これは自分が信用できる人が言ってたことだから信用できること」を事実だと誤認してその情報を拡散する人でございます。

SNSでデマをそのままウラ取りもせずにツイートする人もそうですが不動産投資で怖いのはこの手の人の発信する情報をまともに信じて実践してしまい途中で気が付いてもリカバリーに時間が掛かり下手すると資産形成すら叶わず終わってしまうことです。

「私、これで正しいと思ってやってたんですけど、、おかしいなー」という話や相談、、ワタクシのところに連日やって来ますが、「どこで道を外したんだろう」と思ってその人の記憶を遡らせると大抵似たような「善意の愚者」のお名前があがります。(大きな声じゃ言いませんが大抵キラキラしてます)

昔はそういう人の存在を見つけるとセミナーなどで注意喚起してたものですが最近はワタクシがそんな注意喚起する以前に事態を把握している投資家さんが多いので(えぇ、、ウチの団員や読者は「人を見たら泥棒と思え」ってのはガッツリ染み付いてるのでそう簡単に引っ掛かるタマではございませんw)逆に「この人ちょっとヤバいから気を付けた方がいいよ」とタレコミがあって気が付くことが多いです。

この手の善意の愚者によって拡散された「良質な不動産スキーム」をいくつか挙げてみます。

①高積算を使った地方のフルローン投資
・・・最初の頃やった人は大儲け出来ましたが亜流で始めた信者さんは昨今の融資シオシオ状態で出口をすっかり見失って保有耐性の無い人は耐えきれずに沈んでいきました。(始める時期で結果が全く変わる好例と言われています)

②一物件一法人投資
・・・他法人を作って保有物件の履歴を金融機関にわからせないようにして超高速で保有物件を増やすスキーム。消費税還付の併用で爆発的なキャッシュを生む人もいたが結局、悪事が銀行にバレてエビデンスは銀行のPCでログインしろとなり残高履歴をねつ造してた人は一括返済や金利条件変更などきついお灸を据えられることに。(誰だよ、「売主、金融機関、買主、三方良し!」とかほざいてたのww)

③マルチ商法的大家塾スキーム
・・・年間50万~200万程度の入塾費を払い塾生相互で物件情報をやり取りし買える人がどんどん買って行く手法。但し、出てくる物件は地方の高積算物件が多く、融資が止まった現在は安い築古物件での売買が繰り返されてさほどうまみが無くなるも高額な入塾費は塾生同士の物件紹介時に払われる紹介料で取り返せるが合言葉でもあるので主催者からしたら濡れ手に粟なスキームである。(「3人入塾させれば君が払った入塾費取り返せるから」と勧誘される人も多いとかw)

これ以外にも「どう考えても賃貸の需要もない畑や田んぼに賃貸住宅を地主に建てさせて賃貸管理で未来永劫に吸い続ける投資(もはや投資でもなんでもないけどw)」「初期費用ゼロ(最近は「少額で」に変わったそうですがw)でサラリーマンでも不動産投資が出来る投資」なんてもがありますがその収支の確定利回りを見ると全部が全部とは言わないまでもかなりの高確率で沈んでいく人ばっかりだろうなーと思う投資ばかりです。(で、ぶくぶくと沈んでいった人に「投資は自己責任」と情け容赦ないセリフで追い討ちを掛けるまでがセットですw)

ワタクシは不動産投資に目覚めた人のほとんど(全員はさすがに無理なのでほとんどにしておきます)が失敗しない不動産投資をやって欲しいのでこういう手合いの人には容赦なくモノ言いますが、利害や情が絡んじゃう人だとなかなか強くは言えません。また、一旦「この人は信用できる人」なんて思ってしまうと不動産投資をやる人特有の「一度認めたことをひっくり返すのは自分のプライドが許さない」という心情でその人が突然真逆の悪の道に走り出しても信用し続けようとします。(仲間割れ起こして大家派閥がどんどん分割されて増えるのもこのせいではないかと思います)

この繰り返しが何年も繰り返された結果が昨今の不動産投資業界なのですがこんな澱んだ空気の中にこれから飛び込もうとする方向けに今日は「指値の仕方」について講釈を垂れてみようと思います。(ってか「これでも不動産投資やりますか?」って書きたいのですが、、無理ですよねー。。。w)

以下、狼旅団ひよこセミナーより抜粋

2.指値スキル

投資不動産物件を買うのに売主様が決めた売値はあくまでも売主様希望価格ですから買う側としてはそれより安く買いたいというのは当然の心理。

とは言え、お互いの利害が真逆を向いていますから結局はお互いの妥協点を探る作業になりその過程で「買える金額」と言うものが決まります。

これを藪から棒に「俺は予算がこれしか無いからこの金額で売ってくれ」とか「いやいや、、売主さんの気持ちはわかるけどこの物件は〇〇がこうで〇〇〇がこうなのでこの売値が妥当である」なんて指値根拠をドヤ顔で提示して返り討ちにあう人もいますが、まず覚えて欲しいのは「瞬間蒸発する原理」でございます。(瞬間蒸発とは売値があまりに妥当過ぎかつ、その値段でも買いたいって人が一挙に押し寄せてあっという間に売れてしまうこと)

瞬間蒸発する物件は
1)物件検索してる人が多いときに発生する(広告数が多い)
2)その中で一番高い値段で買う人が掻っ攫う
3)ゆえにいくらいい物件を見つけて指値しても満額で攫われる

なんて流れで発生するのですが、銀行融資を使わなくても買えるという価格帯になるとその流れも速く、逆に銀行融資を使わないと買えないレンジの物件だと瞬間蒸発したかに見えてもその買い付け順位の人で決まらない場合また情報が流れてくることがあります。

慣れてくると物件を見た瞬間に「あ、この流れだともう今から買付け入れても間に合わないだろうな」と思うようになりますがこの感覚がわかってない人は毎回瞬間蒸発しそうな物件でも自己都合な指値の買付を入れてしまい毎回「買付け二番手」となり「俺っていつも二番手なんだよな」って話をするようになります。(内緒ですが、買付け二番手なんて称号は「ホントの二番手」であることは少ないんです。。)

買付を受け付ける不動産屋にしてみたら物件内容をよく精査もせずあとになって「買付け入れたけどやっぱ買わない」なんて言われたら大変なので軽い買付け(弱買付けと言います)を入れて来たのか金もきちんと払って買ってくれる客の買付なのかをチェックしつつ誰に売るのが一番いいのかを考えて売り主さんに報告します。(売り主さんによっては買付けの順番を重視する人や売値を重視する人や買主との相性を重視する人といろいろいるのでその辺も考えて一番最適だと思われる人を一番手にすることが多い気がします)

要するにその売り物件を見て瞬間蒸発しそうな物件だと思えば指値の額を考えるよりいかに早く高く売り主さんに持って行って貰える買い付けを出すかが重要なのでこの手の物件を見つけたらまず指値しようなんて考えは捨ててくださいw

格言
「瞬間蒸発する物件に指値は通用しない」
(え?このコーナーって指値スキルの話じゃねーのかよって思ってるでしょうけどこれ知らないと「買えないのに買いたい病(指値命過ぎて買付け入れても全然買えないタイプの買いたい病」に罹りますよwww)

次に覚えて欲しいのは「実需物件と投資物件の違いを理解する」です。

これは一棟物件ではなく投資物件用の土地でよく起こることなのですが、不動産の場合、売り土地と言うのは戸建て住宅などの「実需用途」とマンション・アパートなどの「投資用途」が混在する形でネット情報に載ります。

要するにこの違いを理解してないと利回りなんて関係ない実需用地で投資価値を検討してしまい安値になりがちな投資目線で実需に向いてる土地に指値をしてしまい「そんな指値通るはずねーだろww」と笑わられ、出した買付けは売主様に届く前にゴミ箱か社内の裏紙にされてしまいます。(実需用途の土地は投資用途の土地より高く買うお客さんがたくさんいるんです)

と言うことでこんなことに注意してください
1)実需用途で売れそうな価格帯、土地面積、エリアを理解する(閑静な住宅街の広い6m道路で50/100の角地を安く売ってくれるわけねーだろw)
2)実需で売れそうな物件は実需買取転売業者も暗躍するのでライバルが増える(実需転売業者の方が投資用途で買いたい人より高く買うことが多いんです)
3)投資物件は実需で売れそうもない土地面積、価格帯、エリアで安くなる(港区でも車で侵入不能な幅員3mの二項道路とか権利関係のややこしい元借地、近隣に築古住宅があって私道に植木鉢が大量に並んでそうなところは安いんです)

要するに実需の需要が無い中途半端に広そうな土地(30坪をさらに2つに分割出来ない敷地延長など)とか実需の人が1億出して奥様のクルマの車庫入れが出来ないなんてところの土地じゃないと指値が出来ないってわけです。

次の覚えて欲しいのは「物件の欠点を把握する」です。
かと言ってその物件の欠点を買い付けに貼付して「だからこれだけ安くしてくれ」ってのは万が一買付け一番手が融資でコケて二番手に順番が流れて来ても売主様感情で「あのバカだけには絶対売らない」というリストに入ってしまう可能性が高いのでやめて欲しいのですが、以下のとおりです。
1)なせこの売値で売り出されたのか検証する
・・・売主はいくら欲しくて売り出したのか?値付けは仲介か売主か?などなど
2)なぜこの業者に依頼したのか検証する
・・・地方の物件なのに都内の業者が値付けしてるのはなぜ?
   なぜ一般媒介で6社も売り出してるの?
   専属専任?よほど売主さん仲介を信用してるのね?wなどなど
3)謄本、借入額、買った時期、どこの金融機関かを検証する
・・・静銀で3年前に買ってるなんてみたらリーマン属性の人が残債ギリギリで物件持ってるに決まってるんだから指値なんて出来ないでしょwとか
謄本乙区に借り入れ無いけど相続で売るのかなー?などなど
4)接道、建物の不具合(ボロ戸建ての場合解体費が掛るので古家付きで売ること多し)、雨漏り、シロアリの可能性の言及など
・・・仲介経由で売主に質問することで指値へのプレッシャーを掛けやすくなる(解体せずにそのまま戸建てを使う時に有効です)
5)隣地関係のチェック(ヤバいやつが住んでたり積年の境界紛争があると安くなる時がある)
・・・朝昼晩現地に行き、近隣の洗濯物の干し方や近隣の玄関などに置いてあるもの、車の車種や子供の有無、年齢くらいまではチェックしてるとそのうち近所から売り主の評判を聞けることもある

と言うことでここでも格言です
「いろいろ調べてわかったこと総合的に考えてその売値が妥当なのか判断する」
まず妥当かどうかわからなければいくら指値したらいいかもわかりませんしホントはメチャ刺さる指値なのに弱指値になって売主喜ばせてどーすんの?ってのも含まれますw

さて、指値する前にやっておくこともわかってきましたのでお次に一番肝心な「指値の仕方」にも触れておきます。

ウチの団員には現地に行かずにノールック指値や仲介さんとメールのやり取りだけで買うか買わないか決めてるやつなんで一人もいませんので実際に仲介さんと現地に行きそこで内見・現地調査してるって前提で書きますが、最重要としたいのは当日の服装です。(ちなみにここ笑うとこですw)

仲介さんと接しながら物件について質問したりして現地調査してるわけですから仲介さんから見たら「案内はしたけどこの買主さんホントに買う気あるのかな?」と言う目で見ていることが多いです。(ぶっちゃけ仲介さんはいくら指値されようと売り主がそれでも売る買主がこれで買うって言えばそれでいいんですw)

そこでワタクシ、
「内覧当日は建築に詳しそうな人を装うべく作業着で行くこと」を推奨しています(えぇ、、作業着だけだとバレるのでメジャー、メモ、多少の専門用語で武装します)

投資物件を扱う仲介系不動産屋さんで建築、リノベがわかる人って案外少ないし、物件の寸法を測るとなると仲介さんから見たら結構積極的に買う気満々じゃんと捉える人が多いのでこれを悪用しますw(不動産投資も詳しいけど建築にもそこそこ詳しいよアピールです)

え?作業服ってどんなの用意すんだよ?って質問が飛んできそうですがそんなのワークマンで適当なの買って来て公園で泥付けて洗うを5回くらいやればそこそこ使い倒した風の作業着が出来上がりますからそれで充分ですw

あとはメジャー。。
ここではメジャーを片手でシャーーーーーーーー!!!っと出して一人で天高測れるくらいになってください。(そこで「ん?2m40センチか・・・」なんて言わずに「んー、、2400か、、、うーん困ったな・・(何が困るねんw)」なんてハッタリかませば我々不動産屋はこのシャーーーー!!!が出来る人をなんとなく建築に詳しいと誤解しますw)

そんな「俺は建築にも詳しいぞ風」を吹かせた次はここで仲介さんと価格について下交渉します。

恐らく立ち会った仲介さんはこの時点でなんとなく雰囲気にのまれてるはずなのであなたが年下だろうとなんだろうとこう切り出します。

「この物件、売値〇〇〇万だけどぶっちゃけオタクならこの値段で買います?ww」(ちょっとこの値段はビックリするよねーwってな感じでw)

やってることは完全に威嚇なのですが、一棟物件ならいざしらず最近流行りのボロ戸建てを買う時はものすごく武器になるのでぜひやってみていただきたいですw

ま、それでもそんな値段じゃ売れませんとか買付け入れても買えなかったなんてことも多いと思います。

しかし、その値段を言っておいてその後誰からも引き合いが無ければ数か月から1年くらいしてもう一度「あの時〇〇〇万ではダメでしたけど売り主さんも結構時間が経ったので▲▲▲万なら売ってもいいって言ってんすけど、、どうします?」なんて連絡が来ることがあります。

ワタクシ、これを「カンバックサーモンの法則」と呼んでますが、ここで〇〇〇万で買ってはド素人でございます。

えぇ、、ここではこう言ってください。
「あの時なら〇〇〇万でも欲しかったけどあれから他にも物件買ったし今買うなら◆◆◆万かなー、、、(ま、あくまでもこちらの希望だけどねww)」

この◆◆◆万円、、
当時指値した〇〇〇万の半値くらいを目標にしていただきたいのですが、うまく行くと売主希望の▲▲▲万と◆◆◆万の範囲で買えることがあるんです。(結局最初の売値からだと3掛けくらいになってるはずですw)

ま、そんなことしなくても最初から売値の3掛け以下で買えるケースもボロ戸建て部門ではよくある話ですがこれは
①売り出してみたけどまったく反響も無かった
②売り主さんも最初は強気だったけど売れないものと悟り降伏状態
③お金よりもとにかく早く処分したい

なんて作用が働くから大幅な指値が通るのであってここさえちゃんと読めてればいつでも格安で買うことは可能なんです。

すなわち指値とは相手の心の動き、仲介さんの金欲しさ、等を様々な見地から検証しそこに土足でズカズカ入っていくけど見た目にはきちんと靴を脱いで入っているように見せることじゃないかと思います。

残りはセミナーレジュメのまま記載しておきますので各自読んでいろいろ想像してやってみてください。。(すみません、、一日で6000文字超える文章書いているのでだんだんよくわからないオチになってきましたw)

①NGな指値
 1) 転売業者が買える値段以下での指値
 2)売値から適当に10%、20%など売主に何の根拠で差したのかわからない指値
 3)銀行融資がここまでしか融資出ないからとバカ正直に言っちゃう指値(「オマエは手金無しで買うつもりか?」と思われる)
 4)いちいち指値の根拠を紙に書いてその合計で指値を迫る(プ〇チナ指値術はあくまでも机上の空論ですw)
 5)どう見ても残債以下の指値(残債以下の指値で受けてくれる売主ってそうそういませんw)

②大幅指値が取れる可能性のある事例
 1)需要にマッチしていない物件(駅から遠い、急な上り坂、建物が解体出来ない、土地がこれ以上切れない、第三者の入居等)
 2)融資が付かない物件
 3)前オーナーが儲かっていなかった物件
 4)相続物件でかつ、謄本見たら相続人が遠方な物件
 5)元付仲介が物件、売主からやたら無関係なエリアの住所
 6)謄本乙区が真っ白な物件
 7)見た目に大規模修繕やってねーだろって思う物件(オーナー様のやる気のない物件)
 8)やたら道路が細く現地に車すら入れない物件
 9)接道がギリギリ2mなんて物件
 10)周囲の環境がヤバイ物件(騒音、嫌悪施設、粉塵、地歴等)
 ※売主が事前に「この物件は高く売れない」と思ってる、仲介さんが「そんな高くは売れないよ」言い聞かせてる物件ほど当初の売値は高くても大幅指値が通りやすい

以上4回に渡って当時のひよこセミナーの内容を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?(いつもこんなことをセミナーやブログで話しております)

ワタクシはnoteごときでチマチマ課金する気もなくこの程度のことならいつでも書きますのでいつでもご用命くださいw

あとフォローとかスキのボタンたくさん押して貰えたので途中で挫折せずに書くことが出来ました。応援してくれた人にはお礼申し上げます。

また今回の4回の連載で投げ銭してくれた方には後日個別にメッセージお返しします。(あまりに投げ銭が多くてお返しメッセがまったく出来ませんでした)

最後になりますがこんなクソ長い記事を最後までお読みくださりありがとうございました。





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