狼旅団からの愛の提言

ワタクシ、かれこれ10年くらい前からブログを書きつつセミナーと称した「不動産辻説法」をやってます。

表向きは世の悩める不動産投資家の方に正しい道筋を示すための催しでございますが、実際はと言えば単なる悪口大会。。。w(えぇ、、普段の毒を吐き出すのってとても気持ちのいいものです)

ただ内容的に飽きちゃう内容だと5時間持たずに観衆が帰ってしまうので毎回のセミナー内容は必死に考えておりましてそのため年に何回も開催することも出来ずまた最近はコロナの影響でどこかのハコを借りて大人数でやって集団感染ってわけにもいかないのでオンラインでやってたりします。(ま、これも3回くらいやったら飽きちゃいましたけどw)

「そんなセミナーでオマエは一体何しゃべってるんだ?」と聞かれることも多いので今日はそんなセミナーネタの一つを書いてみたいと思います。


今日のセミナーネタは2~3年前の初心者向けセミナー(うちでは「ひよこセミナー」と呼んでます)で通常5つくらいのセンテンスがありその中の一つでしゃべったネタで何回もしゃべってるネタなので少々使い古し感もありますが今日のネタにさせていただきます。(セミナーでしゃべった時の話では面白くもないので少し加筆していつものように話を7600文字程度に目一杯膨らませて書いてみます)


なお、愛の提言として10個ほど書き出してみましたので一つ一つ解説していきます。


その1
「目利き出来ない人が買う物件にお宝物件なんて存在しません」

こんなの今さら言うまでもないですが初心者投資家さんは業者から見たら
「目利きできない人=カモ客」
と捉えている人が多いんじゃないかと思います。

なので大抵の不動産屋さんは「妙に知識武装されないうちに物件を買わせたい」「っつーかアナタ融資が付けばなんだって買っちゃうでしょ?」くらい思われているんじゃないでしょうか?

「いや、俺様、初心者だけど金だけは持ってるから不動産屋から見たら上客に見えてるぞ」って思う人もいるんじゃないかと思いますが実際のところ、
誰が買っても儲かっちゃうお宝物件は初心者のお客さんにはなかなかぶつけて来ません(はい、そんな物件なら自分で買うか懇意の太客に売ります)

要するに我々不動産屋から見ると、
①誰でも買える物件→一番早く融資が固く値切らない人に売りたい
②自分でも欲しいと思う物件→少しでもフィーを多く取りたい
③誰もが買えない物件→現金で買えそうな人、融資が引けそうな人に売りたい
④出涸らし物件→基本触らない・しかし客からアプローチがあれば止めずに買わせたい

という風に考える傾向にあります。

また普段不動産屋の頭の中は
「出てくる物件を機械的にタイプ別に分けて買いそうな人に的を絞って出してるだけ」
であって間違っても「自分のお客さんにお宝物件を出そう」なんて熱い情熱で仕事している人は少ない(いないとは言ってませんw)かと思います。

となると買い側で物件の目利きが出来なければ話にならないとなるのですが、この目利きについてもちょっとだけ触れておきます。

ワタクシが普段言ってる目利きとは
①「価格の歪み」がわかること
②どこを再生すれば生き返るかがわかること
③最初は儲からなくても長期的展望が見えること

の3点。

当然このスキルには個人差が出てしまい他人から見たら「なんでこんなクソ物件買ったの?」と思っててもドエライお宝物件に仕上げちゃう人もいればそのままクソ物件化させてしまう人もいます。


結論ですが
お宝物件は自力の能力で「お宝」に見えるかどうかですので間違っても業者さんからお宝物件が出てくるなんて誤解はしないでください。

その2
「不動産屋はあなたの味方ではありません」

よく不動産投資の書籍や他人のブログなんかを読むと「信頼出来る不動産屋さんを探しなさい」なんてほざいてる人がいらっしゃいますが、
正直買うか買わないかわからないお客様を信頼することは出来ません。(「あ、この客さんはちゃんと買うんだ、買える人なんだ」と認識して初めて信頼関係が生まれるものです)

これもセミナーでよく話しますが「信頼出来る不動産屋を探す」のではなく「信頼されるお客様になる」方が確実にいい物件を買えますのでここをご認識ください。

勘違いしている人が多そうなのでもう一度言いますが
業者の立場から言わせていただくとお客様とは「買ってくれればお客様、買ってくれそうな人もお客様」であって「買わない客、買えない客」はお客様ではございません。


逆に言わせていただくと我々業者はお客様の信頼を得られようとアドバイスするフリはしますがすべてこちらの意向に沿うアドバイスでございます。


と言うことでここでの結論は
① お客であって味方では無いと心得る
②またはお金を貰うまでは味方になってくれますが払えばそこで終わりです
③しかし次に繋がるとしたら味方になってくれます
④自分の周りは敵だらけだと認識する

となります。


その3
「他人をおいそれと信用しちゃいけません」

世の投資家さんは融資属性が高い人ほどサラリーマン属性や金融属性が高いです。

裏を返すとそこの領域に辿り着くまでには子供の頃からめちゃめちゃ勉強してライバルと戦って勝ち取った属性ではないかと思います。

しかしその過程で出会った友人などは同じような「勉強できる環境」で育った人たちが多く「人を信じるのが前提の社会」で育ってる人が多いんじゃないかと思います。

正常バイアスがそこにある人がいきなり魑魅魍魎な不動産の世界に飛び込んで来てもその世界で生きてる人達からみたら赤子も同然です。

またサラリーマン経験が長い人ほど
・儲かる前提の仕事しか来ないので儲かって当たり前
・最終決定権が会社にあるので自分で決めると言う機会が少ない
・失敗しても責任は雇い主が取るのが当然

という意識が染み付いているので不動産投資を始めて初期にありがちな失敗などで躓くとそこからどうやって挽回するか悩んでしまいがちです。

ホントの不動産投資の世界と言うのは
・儲かる前提の話であるとは限らない
・最終決定権はオーナーである貴方にある
・失敗はすべて自己責任
・人なんか信じたら簡単に足元をすくわれる社会
 (契約の文言一つ、ハンコ一つでひっくり返ります)

ですので不動産投資の領域で出会う人なんかで「なんとなく投資手法や考え方が自分と合いそう」とかつまんない理由で最初から人を信用するのはやめてください。


その4
「利回りばっかり追い掛けちゃいけません」

不動産投資の指標で一番重要視されがちなこの利回りですが、
原則的に物件情報で載せる利回りは表面利回りです。

この表面利回りと言うのはかなりクセがあって我々業者はその物件に空室なんかあろうものなら予定賃料を高くして見た目の利回りをあげようと考えたりしますし酷い業者さんになると集中検針の水道代なんかも収入(家賃)に含んで毎月の家賃収入欄に記載しちゃうなんてパターンもあります。

また、物件ごとに掛かる経費も違うので不動産投資で一番重要な手残り額はその物件ごとに掛かる経費の種類や金額も理解していないと手取り予定より下がってしまい返済比率が高い物件なんかにうっかり手を出すとたった数部屋の退去でたちどころにマイナスになってしまうこともあります。

さらに言わせていただくとそこまで高利回りにしないと誰も買わない、買えないって物件の場合、調べていくうちに数々の問題に直面し「あ、だからこの物件、こんな売値じゃないと売れないだ」って話にもよくなります。

この手の物件は買ってからどうにも出来ないことにぶつかりその時になって売り逃げしようと思っても思った金額じゃ売れませんってこともよくあります。

ワタクシがいつも言ってることですがこういう時は
①利回り以外のことに注目する
②実質の手残りが大事

と心得てこんなところに注目しましょうと話してます。
・投資物件は賃貸面積の大きさで決まる
・そこに周辺坪単価を入れて真の家賃を見る
・その合計を売値で割った数字が真の利回り
・余計な経費が掛かるか?否か?
・運用中に壊れそうなものが無いか?

あくまでもザックリとした予測で構いませんので欲しい物件が見つかったら利回りだけに注視しないで「なんで安いのよ?」と理由を探す過程で以上のことにも注目してください。

えぇ、、不動産投資は最終的に手残りがいくらになるかであってさらにここから税金が引かれごくごく僅かな手残りが残るものなんです(そう考えると不動産投資って何が楽しくてやってるのかわからなくなってきます。。。)


その5
「資産規模、家賃収入を自慢しちゃいけません」

なぜだかわかりませんが不動産投資家さんでやたら「承認欲求」の強い方がいらっしゃいます。

そういう人ほど「借金」「資産」と言ってみたり「家賃収入の合計」「年収」なんてのたまいます。

我々もそうですが他の先輩大家さんはそういうことをほざく人のことを冷ややかに
「資産規模→それって借金の額だろ?ww」、「家賃収入→自慢するならNOIで開示しろよw」
と見てますのでご注意ください。


さらに不幸なのはそういうことを全世界に発信したりするとむやみに発言すると業者からロックオンされ更にクソ物件を売りつけられたり、ますます素人だと思われやっぱりクソ物件を売りつけられるなんて負のスパイラルに見舞われます。

途中で気が付きゃいいのですがこの手の人は褒められるとその人を信用しちゃう傾向がありいいように扱われてるのも気が付かずにどんどん深みにハマっていく傾向があるようです。(その後不動産書籍を出版し、顔出しし始め数年で姿が見えなくなる人ってのは案外これに当て嵌まります)

そんなことしてるうちに仲間内からも「不動産投資をわかってないやつ」と思われ親身に教えてくれそうな人も遠のくことにもなりますのでこの自慢はご自身の心の中だけやってください。(お金持ちを他人に自慢して成功したらいいですけど途中で頓挫すると「ザマーミロ」と罵声を浴びるのもこの不動産投資業界の特性でございます)


と言うことで結論です
「資産規模の話をするときはオブラートに包むように」

あ、そうそう、、これだけは別です

金融機関には大風呂敷を広げるようにオープンにw
(むしろフカし気味でもよろしいかとw)

その6
「不動産投資は物件を買うことが目的じゃありません」

これから投資物件を買おうとしてるひとってのはとにかく早く結果を出したがりいわゆる不治の病の「買いたい病」に罹りやすい傾向があります。

我々業者はその病気に罹ってる人は見逃しませんしそういうお客を見つけたらとにかく頻繁に物件資料を送り続け、徐々に低利回りに慣れさせていつかそんな利回りに妥協して買って貰います。(エリアを遠くしたり近くしたりして売り出し利回りの大きさを調節して情報を出して好みを探りつつってやります)

急いで買うでもちゃんと目利きが出来てたり偶然、運よくお宝物件でも出てくればいいのですが大抵の場合買ってからクソ物件だったと気が付くことが多いのもよくある話です。(まぁ、名のある大家さんでも最初はこんな失敗から始めてる人が多いので掴んだから悪いってこともないですけど)

これもいつも言ってることですが、
まず「買ったらどう運用するか」を考えてください。
(何年保有するのか?どこまでお金掛けて直すのか?等)

また物件買う時に30年後のことまで考えなくてもいいですがせめて5年後くらいにどうなってるかくらいは考えていただければと思います。

えぇ、、いつも口酸っぱく団員には言ってますがあくまでも不動産投資の目的は「不動産と言う道具を使ってインカム収入と最後はキャピタル収入を得ること」です

あ、そうそう、、
稀に自分の買った物件を我が子のように可愛がり売る時はまるで嫁に出すかのような人がいらっしゃいますが、不動産の物件は「お金を稼ぐ道具」だと心得てください。(自分の物件に「この子はね」とか言ってる人がたまに居ますが見てると気持ち悪いです)


その7
「安い物件には必ずウラがあると思ってください」


不動産投資で物件を探してて「お!これは安いじゃんw」と言う物件を見つけた時に思い出して欲しいのがこの話。。

よくよく考えてみても売り主の気持ち的に「いい品をお安く提供します」なんて酔狂なことを考えてるスーパーみたいな売主は恐らく存在しませんw

相続で売ろうとなんだろうと不動産を売るときには誰しも「出来るだけ高く売りたい」という欲求はあるので安く売られてると思った時には
①ホントに安いのか(単に安く見えてるだけじゃねーのか?)
②何か問題があって安くなってるだろうけどその理由は何なんだ?

なんて考える習慣を身に付けていただきたいです。

なぜならばその物件がネット上に登場するまでに擦り切れるほどプロの不動産屋が見て考えて内々で売って両手仲介することを諦めて市場に放出してる可能性が高く安いと感じるのは「そこが見えてないってケース」が意外に多いんです。

しかし世の中にはそういう部分が見えずに値付けする仲介さんも存在しますw。(いわゆる価格の歪みに気が付かずに値付け間違いしちゃう業者さんです)

そんな値付け物件が業者間の流しそうめんをうまくすり抜けてくればこれはまさにお宝物件なんですが、大抵の場合はマーケットに出る前に転売業者が2回くらい転がしますw

そこでネット広告で見て欲しいのは
①いつ情報登録された物件か?
②どこに掲載されていた物件か?
③どこの業者が売り出してた物件か?
④なぜ安くなったのか?
⑤どうして安いのか?
⑥こんなに安いのになぜ誰も買わないのか?

と状況判断を駆使して安値の原因を推測し、買うか買わないかを判断するって作戦が良いかと思います。


その8
「貴方に届く情報は同時に100人に一斉配信されてると思ってください」

特に最近の業者さんはネットでお客さんを集客しそれを顧客情報として社内共有し、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると何も考えずに物件情報をひたすらメールで撃ちまくる仲介さんも多いです。

大抵の場合「物件は一つだからメール配信した中で一人のバカが買ってくれればいいや」って思ってるんじゃないかと思いますが、実はこれ
・大量に配信すれば会社からもちゃんと仕事してるように見えるんだよw
・反響あった客で買えなかった客は更に「反響客」として洗練名簿化してその後の追客に使うんだよw(最初からこの物件を買ってくれるなんて思ってねーよ)

ってパターンであることも多いんです。


と、、この話を話し始めると一冊の本が書けてしまうのでここまでにしておきますが、、あれです。。

自分だけに情報届くように努力しましょうw(絨毯爆撃の的じゃなく一本釣りされるカツオになりましょうの意w)


その9
「クラック、シロアリ、雨漏りにビビらないでください」

欲しい物件を見に行って壁などにクラックが入ってると「ここから雨漏りするんじゃないか?」とか「地震でここから崩壊するんじゃないか?」と妙に心配して買いそびれるって人が稀にいらっしゃいます。

もちろんクラックは大きさによって甚大な被害の原因にもなりますがいわゆる「ヘアークラック」でシャーペンの芯を突っ込んでも刺さらないクラックで構造部に干渉していなければそれほど心配する必要はありません。

またそういうのを心配して不用意に指値の材料なんかにしようとすると物件紹介した仲介さんにニコニコ顔されつつも
「そういうのにいちいちビビるやつには物件情報は出さねーよw」
とか
「神経質な客だと後々面倒なんだよなー」
と思われます。(えぇ、、顔には一切出しませんのでご注意くださいw)

また案内時にいちいちクラックだのシロアリの心配されちゃうと「この客、大丈夫?」って心配してしまう傾向もありますので結論としては
・中古物件なので万が一の費用も盛り込む
(無ければラッキーくらいの気持ちで)
・シロアリは友達くらいの気持ちで仲良くする
  (雨漏りだって慣れれば、、以下略)

ってとこでしょうか。。。

真面目な話、
不動産売買契約上の瑕疵担保部分(今は瑕疵ではなく不適合責任って言いますが)は賃貸契約書に反映する事項が存在しません。。

その10「物件は実際に足を運び早くいい物件ダメな物件がわかるようになってください」

融資属性のいい人ほど日々の仕事が忙しく物件情報を出されても机上の収支計算やGoogleマップだけで現地確認を済まそうとする人が稀にいらっしゃいます。

それだけでわかればいいのですが実際に行ってみないとその物件の賃貸属性も見えて来ませんしコンビニなどの便利施設の品揃えなんてのもわかりません。

また、逆に物件情報を出す業者さんも
素人大家さん=「いくら舐めるように物件見てもわかってねーだろw」
と思ってる傾向があり結局はシャーペン持参で必死にクラックを見つけてそこにシャーペン突っ込んでわかったような顔になってたりします。

ワタクシが思ってる「物件を見に行く」という定義は
「この物件、、自分でも借りたいと思うか?思わないか?」
を考えるためでございます。

当たり前ですが不動産投資と言うのは借りる人がいてちゃんとお金をいただくことで成立する事業です。

ワタクシが物件を見る時にはもちろん設備などの不具合のチェックなんかもやりますが大部分の時間は「ちゃんと貸せるか?」「貸すならいくらまで高くしても大丈夫か?」「どんなやつが入居申し込みしてくるのか?」あたりを必死に考えてます。

そこでワタクシ、ターゲットになる入居者の属性になり切って自分なら住むか?住むならいくらで借りたいか?を考えてます。

住んでる人の勤務先、学校を調べ通いやすいか?住みやすいインフラが整ってるかチェックするのはもちろんですが清潔で安く住みやすいところは必ず部屋が埋まるでしょうし、そんな物件が良い物件だと思ってますのでそれに現行家賃が伴ってるか?を特に重要視してその家賃の利回りで安定的に廻ってくれかつ手間暇かからないなんてのがあれば最高でございますw

そのうえで経費が掛かりそうなものが無いか確認し、壊れたらいくらかかるか?を予算建てその賃料、費用の足し引きで物件を買うかどうか検討するって流れにしてます。(あと銀行融資が使えそうかもチェックです)

こんな初歩の物件を買う流れを理解してから今売りに出てる収支計算やリフォームのノウハウ本を読むとクソ高い大家塾なんかにボロ戸建て一戸買えそうな無駄金を払わずに不動胡散投資のお勉強が出来るんじゃないでしょうか?(何でしょう、、ブログだとオブラードに包みたくなる話でもnoteがと気持ちいいくらいに書けちゃうぞw)


と一気に書いてみましたが

なにか心に引っ掛かるものはありましたでしょうか?

古いネタなので今では再現出来ないこともあるかと思いますがご参照いただければ幸いでございます。



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