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気になる

概ね7月中に関する雑記です。

毎日の通勤がほぼ大井町ルートにシフトしつつあります。品川を選んでもどのみち都バスを利用することになるので、通勤に要する30分間を確実に座れるか座れないかの差分がかなり大きくなってきた。仕事はお盆前の閑散期に入ってるとはいえ、退勤後に見上げる品川の駅ビルはごつごつとし過ぎていて触れたそばから切り傷を作ってしまいそうになる。

退勤時、会社の前の停留所でバスを待ちながらいつもパンを食べているひとりの女子社員がいる。「今日も一日お疲れ様でした」の最速ルーティンだろうか。普通なら気にも留めない光景なのかもしれないけど、日によってそのパンがデカめのピザパンになったりと、“一食”にも相当する堂々たる風情に心を搔き乱されてしまう。それなりに人が密集する場所。この情勢下であまり褒められたことではないのですが、彼女は必ずバスが到着するものの数分で完食し、自然とパンからスマホに持ち替えている。観察を続けます。

行きも帰りもバスの中で本を読む習慣を確立しつつある。開拓する分野は新刊ではなく、かつて手にした書籍を文庫本で買い直したものが多い。そのポーズに酔ってるきらいもあるのだけど、一日の始まりを整えて、一日の終わりを引き締めるという行為として有用な気がしてならない。たかだか30分間のタイムラインを放棄することで人生はより豊かなものになるとこれからも信じていたい。

都バスが大井町から青物横丁へ到着すると、その朝のピークとも言えるほどの乗客が通路を隙間なく塞いでいく。悠々と読書の態勢に入る私はもはや顔すら上げることはない。でも、停留所を発車したタイミングで必ず車窓に目をやってしまう。ほぼ間違いなくキープできるいつもの座席の進行方向から見て右手。「う」「ど」「ん」の暖簾を下げた、心底好印象しか残さないうどん屋と、その時間帯を選ばない活気に心を奪われてしまう。行きでも帰りでもそのほんの一瞬が日常のチェック欄に組み込まれてしまった。その項目はもはや、「見た」「見てない」でしかない。行きはともかく、帰りはいっそのことと降りてしまいたい衝動に駆られるが、最初の一歩すら湧き上がってきた試しがない。大喜利であろうと食であろうと直感を重んずる私としてはなんとも腰の重い話で。降りたら降りたで、帰りは京急電鉄を利用するのも癪に障る。乗ったが最後、駅間の時間を永遠とも錯覚するあの京急電鉄だ。どれだけ歯を食いしっばったところで最長不倒距離が品川駅ではお話にならない。私は京王新線、初台駅に帰りたいんです。

まあ、リサーチは済んでるんですけどね。あとひと押し。

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