言論弾圧と騒いでいるが
トランプ大統領のツイッターアカウントが永久凍結された事案を受けて、ツイッター上では「言論弾圧だ!」というつぶやきがけっこうな割合で見受けられて、個人的にとても違和感をおぼえている。
そもそも「言論弾圧」とは、【国家権力】が【私人の表現の自由】を制限することであって、いち私企業であるツイッター社がそれをしても権利侵害には当たらないということを理解していない人があまりにも多すぎるということだ。
トランプ氏の保有する公式アカウントとはいえ、ツイッター社という私企業が提供するものを利用するには、その提供する条件・ルールに従う必要があるという大前提を失念している。違反すればペナルティがあることは当然であろう。
なぜ、そのような単純な理屈がわからないのか、私には不思議でしょうがない。
表現の自由とは、国家権力が私人の表すことを極力制限しないことであるが、その表現内容は無制限に許されるものではなく、内在的成約が存在し、あらゆることが可能なわけではないことを、今一度認識すべきである。
もしツイッター社の行動に不満があるなら、訴訟なりを起こして、その可否を問うのが情動であろう。不法行為による理不尽な制裁だと認定されればいいだけのことである。
トランプのアカウント永久凍結に反対する(言論弾圧だと主張する)人は、その辺の権利意識に対する認識が不充分なようだ。「言論の自由」といえば何もかもが無条件で認められるものではないということだ。
世間一般ではこの辺の人権意識が間違って受け取られていることと、啓蒙が不充分であることを残念に思う次第である。
表現の自由自体は守られるべき人権であり、最大限の尊重がなされるべきであるが、それを守るべき主体は国家権力であり、いち私人や私企業ではないということを、もっと多くの人が認識すべきである。
もしツイッターが国家による運営であったなら、今回の制裁は問題があると言えるかもしれないが、あくまでも私人間のできごとであるということを前提に議論しないと間違った結論になってしまう。
この辺、大学法学部の一般教養レベルでは常識と思うよ。
ここまで御注視いただき、ありがとうございます。まだ対価をいただくほどの作品を挙げていないのですが、ご好意はありがたくいただきます。