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『萩尾望都がいる』(長山靖生)の不思議

『萩尾望都がいる』(長山靖生)批判でも書きましたが、『トーマの心臓』についての長山氏の見解

愛されるのが最高の幸福ではない。愛することこそが真の幸福である。ユーリはトーマの犠牲を通して、そのことに気付きます

これに関して、5ちゃんねるで教えてくれた人がいて、謎が解けたんですよ。なんと、「愛されることは幸福ではなく、愛することこそ幸福だ。」はヘッセの言葉だったのです!
検索すると「偉人たちの名言」ということでそのまんまヒットします
確かに萩尾さんはヘッセが好きで『トーマの心臓』も『車輪の下』の影響を受けているとはいえ、最重要人物ユリスモールの心理読解に、ただ単にヘッセが言っていたからというだけで、何の根拠もなく、無理矢理(本人には無理矢理という感覚すらないのかもしれませんが)ヘッセの名言を当てはめてくるという、これはもう暴挙っていうより、あまりに斜め上の行動すぎて理解を超えました……
論文スタイルの答案で、あと5分しか制限時間が残ってなく、何も思いつかずに何も書くことがなく、確実に間違っているとわかっているけれども○○字以上という条件があって、字数稼ぎに何か書かなくては……という場合なら……、いやそれでもこれはちょっとできないなー
長山氏が「どこにも描かれてないけどとにかく自分はそう感じてしまった」ということだったら、まだ理解できたのですが

ということで、今回は前回見逃していた『萩尾望都がいる』における重要問題と、不思議人間長山靖生の5ちゃんねるエピソードなどを紹介したいと思います

萩尾ファンで漫画家になった佐藤史生も、当初は『ポー』に感心しなかったようですが、佐藤はSF好きの理論派だけに、舞台設定の古めかしさゆえに違和感を抱いたのでしょうか。やがて佐藤は単行本で読みなおし、表現の素晴らしさと新しさに気付いて驚愕することになります。

『萩尾望都がいる』で書かれたものですが、問題になってくるのは、佐藤さんが「表現の素晴らしさと新しさに気付いて驚愕」することになるという部分です。これ、いったい、どこに書かれていることなのでしょう?今まで聞いたことがありません。他の人物の引用の場合は出典が書かれているのに、これは出典がないのですが、長山氏が「きっと佐藤さんはそう思ったのだろう」と思って書いてしまったのでしょうか?
これと似たような内容は『一度きりの大泉の話』にも書かれてますが

 今描いている『ポーの一族』のシリーズでも、佐藤史生さんからは「面白くないけど、なんでこんなの描いたの?」と言われたし(でも後で単行本になった時には、「まとめて読んだら面白かった」と言ってもらえました)

とあるように、どこにも「表現の素晴らしさと新しさに気付いて驚愕」なんてことは書かれてません。そもそも、連載時には面白くなかったけど、単行本で読んだら「表現の素晴らしさと新しさ」に気付くというのもおかしな話です。そんなことは最初に読んだ時に気づくことではないでしょうか

私はこれは99%長山氏が勝手に佐藤史生さんの気持ちを捏造して付け足したと思ってますが、仮にそうだとした場合、これは非常に大問題だと思うんですよ
こんなことを平然とやってのける人物にとても「歴史」などを任せてはおけません。長山氏は何度も「少女漫画史再考」などと言って、竹宮氏が誤った歴史を主張しているかのように批判していますが、長山氏のやっていることは比べ物にならないくらい酷いです、本人はおそらくその自覚もないのでしょうが、だとすると、とことん歴史を語るのに向いてない性格とすら思います
長山氏が大して少女漫画のことに詳しくないということは、読んでいてなんとなく察してしまうのですが、そんな人物がなぜ少女漫画の歴史なんて語るのだろう?夏休みの自由研究じゃあるまいし、もっとふさわしい人はいくらでもいるだろうにと思ってました
でも、これはそんなレベルの話ですらありません
勝手に本人(しかも故人)の言ってもないことを捏造して語るなんて、歴史研究を志す者が一番やってはいけないことでしょう
もし、この「表現の素晴らしさと新しさに気付いて驚愕」という部分に何か根拠があるなら、知っている方は是非教えてくださると幸いです

次に5ちゃんねるエピソードなんですが、基本、匿名なので、これは絶対に長山氏が書いたとは断言できません、それでもいくつかの理由から長山氏もしくはその友人が書いたであろうと思われるレスを紹介します
今回、過去ログを読み返してみて、長山氏?は大泉スレの初期から参加してましたね、その頃はいつも「上げている(5ちゃんねる用語)」状態だったので、そういう人は滅多にいないのでとてもわかりやすく、上げている人でかつSFの話をしている人を見かけると、私は内心「またこの人か……」と判断したものです

973 名前:花と名無しさん[] 投稿日:2021/05/15(土) 06:41:19.83 ID:itR8lGcs0
>>504
それは広瀬ではなく光瀬龍さんですが、光瀬さんから二人にオファーした事実ありません
・1977年時点で、女性漫画家が少年誌でSFを描く土壌はなかった。
「百億」に魅了された萩尾さんが漫画化を希望して人を介して連絡、
萩尾さんの作品を知っていた光瀬さんは「萩尾さんなら……」と喜んで了解。
〈和気藹々のスタートで漫画化された「百億…」は、大ヒットとなった。
当然、本家本元の光瀬の「百億…」も相乗効果で読者が増えた。〉(立川ゆかり『夢をのみ 光瀬龍』)
・「アンドロメダ・ストーリーズ」は、その前に竹宮さんが「地球へ…」第1部後
光瀬さんの「決闘2108年」を漫画化し、その際に竹宮さん側からの話ではなかったかということです
(ただしこれは昨夜連絡を取ったSF研究者、元光瀬ファンクラブ幹部ら複数の推定)。
〈書き下ろしだったために、原稿が到着すると同時に、作業にとりかかるという方法で
連載を繋げていった。話をすべて理解していない状態で書き進めねばならず、
ちょっとした間違いや勘違いが取り返しのつかないことにもなりかねず、
かなりの臨場感に溢れた体験をしたという。〉(同然)
↑「アンドロメダ」の進行は大変だったようで、光瀬先生から愚痴めいたことを聞いた人もいました 
現在確認できているのは以上。「アンドロメダ」のオファーについては
SF関係者の間で追調査していきますが、ジル本・大泉本の件と共に
歴史を都合よく捏造したがっている人がいる…という嫌悪を伴って
作家や編集者の間に広まる恐れがあります。
「あれは勘違いだった」と訂正できる人がいたら早めに申告して下さい

【萩尾望都】大泉スレPart4【竹宮惠子】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/1620879131/973

以前も書きましたが、どうでもいい話だと思います

872 名前:花と名無しさん[] 投稿日:2021/06/30(水) 16:34:11.01 ID:A7hKisJ20 [2/5]
>>855
やめておけ。下手な工作するたびにSF者のあいだで
竹宮恵子とそのオタに対する嫌悪感が深まるばかりだ
SFMは今隔月刊だが次号(8月刊行)に書かれるぞ

【萩尾望都】大泉スレPart19【竹宮惠子】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/1624726425/872

SFMとはSFマガジンのことです。レスの相手はとてもとても「竹宮恵子とそのオタ」には思えませんでしたね。というより、萩尾ファンで、大泉本を残念に思っているようでした。その方はもう今は大泉スレにはいないのですが、SF界隈に対する強い不信感を持ってたようで、長山氏?とのやり取りは多分一番多かったのではないかと思います。長山氏?は彼女のことをクレクレ・キェェと呼んでました。キェェは山岸凉子の「天人唐草」の響子さん由来です

764 名前:花と名無しさん[] 投稿日:2021/08/06(金) 12:36:36.18 ID:AYLde1q80 [1/3]
「SFマガジン」2021年10月号に「SF少女マンガがはじまった頃」
・大泉サロンという幻想
・概観・初期SF少女マンガ史
・光瀬龍とふたりの女性マンガ家
・「花の24年組」とは何だったのか

【萩尾望都】大泉スレPart30【竹宮惠子】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/1627963194/764

777 名前:花と名無しさん[] 投稿日:2021/08/06(金) 13:15:59.95 ID:AYLde1q80 [2/3]
「SF少女マンガがはじまった頃」は某連載の1回分です
ここの皆様には既知の内容と思いますが、事実を重んじ、確認したことのみ記し
極力公平な記述を努めました。誰であれ非難する意図はありません
なお言及引用した作品ははすべて原本初版、初出誌で確認致しました

【萩尾望都】大泉スレPart30【竹宮惠子】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/1627963194/777

781 名前:花と名無しさん[] 投稿日:2021/08/06(金) 13:27:16.94 ID:AYLde1q80 [3/3]
>>779
畏れ入ります。連載は毎回40枚上限と決まっているので書き足りず、
また連載主旨を逸脱しない範囲で書きましたので作品論には踏み込めていません
いずれ機会があれば…と思っております。また別の方もそのうち何か
お書きになるのではないかと思います

【萩尾望都】大泉スレPart30【竹宮惠子】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/1627963194/781

SFマガジンの連載に関する話ですね、発売前のこのレスさえ書かなければ、長山氏が5ちゃんねるで書いている、とまでこちらは断定できなかったのですが、長山氏自身は本人だということをアピールしたかったのでしょうか?リスク管理意識の無さに驚きです

まだまだ、山ほど長山氏のものと思われるレスはあるのですが、リスク管理の点からこれ以上はやっぱりやめておきます……

最後に、長山氏の著書『いっしょに暮らす。』のAmazonレビューが秀逸だったので紹介します

hannel
5つ星のうち5.0 羊頭狗肉 蘊蓄主義のお手本 表題(だけ)に星5個
2005年9月25日に日本でレビュー済み
 全くの期待はずれ。羊頭狗肉に引っかかってしまった。
 ルームシェア実践者へのインタビューは気が利いていたが、そこだけなら、もっと適当な本がありそうだ。その他に著者自身で作り出した資料は、無い。扱っている内容は社会(学)的なできごとのはずだが、著者にはその資質も準備も関心もない。「いっしょに暮らす生活を描いたブンガクを漁ってみたらこんなことが書いてあった。だから…」という記事の羅列である。当たり前だがブンガクをいくら「分析」しても、何かの役に立つわけではなく、学問になるわけでもない。(それでこそブンガクというものである。だからブンガクは無意味だというわけではない。) 「いっしょに暮らさない」のは、今この社会に実際に起こっていることであり、昔の文士が書いたものを漁っても理由や先行きが分かるはずがないのは自明である。
 じゃあいったい何をしようとしたのか。結局、この書物はただ蘊蓄をたれているのである。蘊蓄は他人の役に立つ必要がないから蘊蓄と呼ばれるのである。これを分析などというのは片腹痛い。人の蘊蓄を聞くのが趣味の人はどうぞ。
 この内容で新書にする筑摩書房の意図は不明であるものの、思わず書棚から取り上げたくなるような表題は(編集者の作だろうが)コピーとして秀逸だった。この著者にこの表題を考える力がないのは読めばすぐ判る。
 こんなものより、福田定良「堅気の哲学」(藍書房)はいかがだろうか。p.84-「そうだとすれば、独身主義者を現代の出家と見なすことができそうです。一つ、やってみましょう。」いかにもラディカルでそそる書き出しではないか。ブンガクなど全編にわたって一度も出てこないし、漢語は少なく内容は深い。実践を通して社会を見つめ、自分で考えた結果がいさぎよく現れている。
 これが思考力の差というものである(学力の差とも言う)。どうせ読むなら賢い人が書いた本を読もう。

つまり、長山氏は蘊蓄をたれるのが大好きな真の「オタク」ということなんでしょうね

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