誰かの言うことが正解とは限らない

先日、社内のTableau研修に、卒業生の立場でオブザーバーとして参加した。

受講生がグループに分かれてディスカッションをしている様子を見ている中で、ある意見に気になる点があったので、コメントさせていただいた。
すると、素直な受講生は、私のコメントを受けて、すぐに意見を修正したのだが、私はそれに違和感を覚えた。

今から5年前。
下の子の育休復職からもうすぐ1年が経とうとしていた頃。子どもの発熱等で頻繁に会社を休むことも多く、キャリアを積むことを諦めていた、今よりさらに自信がなかった時代。

上司と打合せをするたびに、注意されることがあった。

私の言うことが正しいわけではない。
私も正解はわからない。
君の意見が知りたい。
どうしてこう考えたのか、その背景が知りたい。

当時の私は、上司から指摘を受けると、自分の意見が間違っていたのかも、と早合点してすぐに修正してしまう、悪い癖があった。

「自分が正しいと思うことは、誰から何を言われようと、すぐに撤回するな」ということを、私は当時の上司から学んだ。

もっと前に遡ると、似たような経験は他にもあった。

社内には、海外企業で1年間研修を受けさせてもらえる制度があるのだが、若い頃、その制度に応募したことがあった。

エントリーシートに応募動機等を記載し、事前に部内の人に見てもらったところ、「この応募動機ではダメだ」と言われ、素直に修正した私は不合格。
一方で、自分の意見を貫いた同期は合格。

やるせなかった。

自分がこうだと思うなら、相手の意見に迎合しすぎなくていい。
時間はかかったけれど、仕事を通して、私はそれを学んだ。

最近観たアニメでも、こんなセリフがあり、すごく共感を受けた。

落ちたら俺のせい。受かったら俺のおかげ。それだけだろ。
ブルーピリオド 第10話 「俺たちの青い色」

「自分の意見を持つ」「自分の行動に責任を持つ」というのは、きっとそういうことなんだ。

とにかく自分軸で捉え、判断する。

自分が納得するアドバイスなら、他人のアドバイスを素直に取り入れてもいいけれど、自分の意見にプライドを持たずに、「自分は間違っている、相手の言っていることが正しい」と何も考えずに受け入れるのは、なんか違う。

相手の意見を受け入れずに、自分の意見を通すということは、一時的には対立を生む。私自身、それが怖くて、昔は、自分の意見を押し通さずに、安易に相手の意見を受けいれてしまうことが多かった。
(今でも意識していない時は、そうなりがちだと思う・・・)

でも、そんなことを繰り返していたら、自分のやりたいことは何もできない。逆に、うまくいかなかったときに相手のせいにしてしまうだけ。

必要なのは、「どうしてそう思うんですか?」の質問力。
自分の意見に自信があるかどうかなんて、関係ない。

相手からの回答に納得するところがあれば受け入れればいいし、そうでなければとことん対話したり、とことん議論する強さが必要だと思う。

確かに、成長のために、素直さは大事な要素の一つではあるものの、いつもそれが正しいというわけではない。時には、「自分はこうしたい」という思いを起点に、自分の意見を押し通すのか、相手の意見を取り入れるのかを判断するというプロセスを踏むという選択をすることで、結果として、相手の信頼を勝ち取ったり、チャンスを掴んだりすることにもつながってくるのではないだろうか。