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【NFT】「NFT」というキーワードを、詳細分類化してみた

はじめましてのヒトは、はじめまして。
いつもの皆様、こんにちわ。
大葉さんです。

前回の記事

「NFT」という言葉がバズワード化して一人歩きしてしまった結果、本来の技術的用語とは異なる使われ方をする機会が増えてしまいました。

それぞれに個別の言葉を紐づけるべきなのですが、スマホ全般の事を「アイフォン」と呼んだり、タブレット全般の事を「iPad」と呼んだり、携帯ゲーム機全般のことを「Switch」と呼んだりする方々が、一定数、この業界に入って来てしまいましたので、せめて「NFT」という言葉が何を示すのかの定義だけでも、ここに残しておこうと思います。

ワタクシもこの意見に賛成の立場、ただ「天気予報の定義的な部分」の情報が、NFT関連記事でほとんど紹介されていないのも事実です。メモだけでも、残しておきましょうかね。

なぜこの記事を書いたのか?

「NFT」というキーワードが指し示す意味、および、細分化した場合の使われ方について、文章を残して置きたかったからです。

まず、「NFT」の定義については、こちらの記事に明確に書かれています。必ず読んでください。本記事を読むための、前提知識になります。

以降、トークン+メタデータをセットにして扱い、メタデータ部分に画像情報を組み込んだ「NFTアート」について語ります。

「NFTアート」と呼ばれるジャンルの中にも、以下の9種類の「属性」があります。それぞれ文化や作品に対する単価の桁が異なりますので、区別して覚えておきましょう。今後増えたり減ったりする可能性は大いにあります、あくまで2022年4月現在の区分けです。

  • 歴史的価値があるもの

  • ジェネラティブ

  • 会員権、権利書、証明書

  • ゲームアイテム

  • 1枚イラスト

  • コレクティブ

  • アイコン

  • ファンアート、Thanksスタンプ

  • memeイラスト

合わせてコレクターにも属性があり、NFTアートを購入する動機はそれぞれ異なります。

この2つの縦軸横軸が交わった部分にて合意が取れた価格で、該当NFTアートの売買は成立します。あなたの作品はどの属性を持ち、どんなタイプのコレクターに届けたいのかを意識しましょう。

以降は詳細情報。今回は少し長めですけど、お付き合いくださいませ。

■NFT(トークン)

NFTとはNonFungibleToken(非代替性トークン)という規格です

以上です。詳細説明は、WakiyamaPさん( https://twitter.com/WakiyamaP )が作成された、以下の記事を読んでください。簡潔・完璧です。

この記事では「NFT(証明書的な何か)」単独については解説しませんので、ご注意ください。

■NFTアート(コレクタータイプ)

「NFT(証明書的何か)とデータのセット」=「NFTアート」と定義して、以降の解説を進めます。

最初にコレクター視点でのお話。
robekさん( https://twitter.com/robek_world )作、ranbutaさん( https://twitter.com/PigThePersona )翻訳の以下の記事にて、コレクターに8種類のタイプがいると定義されています。私もこの分類には同意します。

これが、NFTアートを分類する際の「縦軸」です。

■NFTアート(属性)

さて、お次はクリエイター視点でのお話。

「NFTアート」はその利用目的に合わせて、紐づけられるデータの種類や作風、クオリティが全く異なります。文化も異なりますし、求められている人材も様々です。

今から説明する「属性」が、NFTアートを分類する際の「横軸」です。

■歴史的価値があるもの

そのNFTが、イーサリアムの歴史を語る上で欠かせない物であるケースです。判断基準は、基本的にNFT History Museumに飾られているかどうか。


<具体例:NFT History Museum展示品から抜粋>

CryptoPunks:NFTの規格が定まる前に実験的にETHチェーンに組み込まれた1枚イラスト

CryptoKitties : ETHチェーン上で初めて世代管理型ゲームをリリース。「自動生成」された電子猫イラストをNFTに出力した「ジェネラティブ」型NFTアートの始祖


また、非ETHチェーン系のNFTをEVにてヴィンテージNFT化したものも、この属性を持ちます。

価値/価格の源泉は、ズバリ「歴史」です。NFTに描かれているイラストのクオリティではありません。・・・という1番重要で根本的な部分を理解される前に、CryptoPunksのドット絵が落札価格、および「NFT」というキーワードとともに世界にばら撒かれました。

NFTアートはドット絵であるべき、クオリティはむしろ求められない、それでも高く売れる、という根拠なき幻想は、ここから生まれています。

https://jp.cointelegraph.com/news/rarest-pepe-most-important-nft-in-art-history-sells-for-205-eth

例えば、こちらのオークションで出店されたものも、この属性を持ちます。イラストのクオリティに対して、お金が払われたわけではありません。また、今から追加で発行することは不可能です。誰かが保有する物を再発見するしか無い故に貴重品で、高価な金額がついています。

■ジェネラティブ

ETH上で発行されるNFTの王道にして中心に位置する作品群です。メインストリームなので、価格帯は総じて高いです。

WikiPediaによる定義はこちら。

ジェネレーティブアートまたはジェネラティブアート(英: Generative Art)は、コンピュータソフトウェアのアルゴリズムや数学的/機械的/無作為的自律過程によってアルゴリズム的に生成・合成・構築される芸術作品を指す。コンピュータの計算の自由度と計算速度を活かし、自然科学で得られた理論を実行することで、人工と自然の中間のような、統一感を持った有機的な表現を行わせる作品が多い。

同じ構成をしたイラストを元に、カラーリングや服装、髪型、小道具の組み合わせをランダムで生成したNFTのみを指す名称では「ありません」一定期間保有していると絵柄がランダムで変わる(リピールする)NFTのみを指す名称でも「ありません」時間経過と共に豆やカプセルから徐々に成長したり姿を変えたりするNFTのみを指す名称でも「ありません」

コンピュータの計算能力を活用することによって、自動的に生成・合成・構築される芸術作品全般のことを指し示します。

前例で出した3つのNFTは「コンピュータの計算能力を活用させることによって、生成・合成・構築をする」ので、全てがジェネラティブの条件を満たします。

逆にいうと『Azuki風イラスト手書きNFTによるジェネラティブ』みたいなものは「別カテゴリ」です。イラストの生成に一切コンピュータの計算能力が関わっていないからです。デジタルペイントツール使いましたっというのは活用したとは言いませんからね。

ここ、とっても重要なので、テストに出ます。


<具体例:日本で有名な作品をチョイスしてます>


ETHのコンセプトの一つは「スマートコントラクトによる契約の自動化」
ジェネラティブアートに必要な要素は「コンピュータの計算能力を活用させること」

相性抜群です。

「コンピュータの計算能力を活用して表示するイラストに細工を仕掛けること」を、プログラムに落とし込み、コントラクト契約の一部に組み込むことで、ジェネラティブアートとして完成させます。他の手法でもジェネラティブアートは作れるのですが、ETHチェーン上に乗せることで環境構築が簡単になるのです、明確なメリットがあるので、使わない手はありませんね?

また、「保有者全体に対して●●する」のような追加プログラムも組み込み易い為、突発Giveawayなども行われ易いです。

本カテゴリにおいても、イラストのクオリティは「おまけ」扱いなのですが、価格を上げる為の付加価値としてわかり易いので各グループが改善に取り組んでいます。どこまでイラスト品質が上がるのを眺めるのは楽しいですが、あくまで「副産物」となりますので、ハマりすぎないように。


最も勢いがあり、最も知識を求められ、最も技術的進歩が著しい、そんなカテゴリーです。将来的にはAIも参戦して来そうですね。

■会員権、権利書、証明書

そのプロジェクトを応援していることを証明する(会員権)仮想空間上の土地などを利用できる権利を主張する(権利書)該当プロジェクトのDAO等に貢献した証拠を残す(証明書)目的で、NFTを発行・配布・入手するパターンです。

入手特典として、リアル店舗で会計するための割引券になったり、仮想空間上でイベントを開催するスペースを確保できたり、保有していると別プロダクトへ早めに入札できる権利(いわゆるホワイトリスト)を付与されたりします。

「メタバースで使える土地が高額取引されています!」みたいな宣伝で使われるケースのNFTは、必ずこの属性を持ちます。例えば、これとか。

https://opensea.io/collection/cryptovoxels

見て頂けるとわかるんですが、土地の販売なので、紐づけられたイラストは「地図」です。必要なのはそのNFTを保有していることなので、紐づくイラストに求められるのは説明書としての可視化です。ドット絵でも可愛い女の子でもありません。


CLONEXは、このジャンルです。仮想存在であるCLONE達が立ち上げたブランド「CLONEX」ファンである購入者が、Twitterアイコンを変更して宣伝することによって「会員特典の抽選に応募できる」仕組みで動いています。

会員権として利用される場合、本来はイラストのクオリティは「おまけ」扱いなのですが、ブランドイメージを宣伝するための分かり易い広告スペースなので、クオリティがとても高くなる傾向にあります。同時に価格も上がります。

証明書については説明不要ですね。持っている事、それ自体が実績証明です。見た目は地味でもいいんです、伝えるべき人に伝わるのであれば。例として「CyberConnect.me」が発行している実績証明NFTのリンクを下記で示します。


<具体例:日本で有名な作品をチョイスしてます>


これらのNFTアートは、「保有する事そのものが価値の証明」となるため、売買する物ではないです。記念品扱いです。

■ゲームアイテム

ゲームのアイテムをNFT化、自分が育てたゲームキャラやアイテムを、ほかのゲームやサービスでも使えるようにしよう、という試みです。

サービスの原型というか雛形は「CryptoKitties 」です、みなさま時代を切り拓いた電子ネコ様を崇めるのです!

「全てのゲームはNFTサービス化すると面白くなる」みたいな宣伝をよく耳にしますが、ゲームの種類によります、というのが正直なところ。リアルタイム性を求められるアクションゲーム/個人向けRPGなんかは、本当に向いていません。

逆に、ブロックチェーンの「過去改ざんが行いにくい」という特徴をゲームに組み込み易い、世代管理ありの育成ゲームは相性抜群です。成功例としては、Axie-Infinityがあげられますね。

ほか、リアルの時間経過と連動しているオープンワールド系のオンラインゲームが出てくると面白いかも。

別の切り口では、ETHチェーンではないですけど、STEPNのブレイクで始まった「Game-Fi」が発展していけば、将来的に実績を表示するオプションとして、NFTアートが紐付けされるかも?


<具体例:日本で有名なサービスをチョイスしてます>


まだまだ発展の可能性を秘めている属性なので今後が楽しみです。

一方で、配布するアイテムのランダム抽選やレアリティ抽選などは、国内ソーシャルゲームのガチャ規制に該当してしまうかもしれません。ほかのNFTと違って「ゲームと繋がっている」ということは、「ゲーム業界側の規制も適応されてしまう」ということです。注意深く見守っていきたいです。

<ここまでが王道です>

そして、ここからは派生属性です。

復習ですが、ETHのコンセプトは「スマートコントラクトの活用」です。スマートコントラクトが必須でなければ「それ、ETHブロックチェーンを使わなくても出来ますよね」の世界になります。業界外からもよく指摘されますね。はい、派生属性については、その通りです。

ただし「派生だから価値がない」という訳ではありません。王道をあえて外したトライ&エラーから新たな価値観、新たなジャンルが生まれるのは歴史が証明しています。ボーカルの音声を電子楽器として取り扱おうとした邪道プロジェクトは「初音ミク」を生み出しました。

面白そうな文化が芽生えているんだな、と、温かい目で見守って頂ければと思います。

■1枚イラスト

「NFTアートの代表例」のように語られがちな、1枚イラスト紐付けたNFTですが、残念ながら、こちら「ビットコイン文化の移植」でしかありません。

「1枚絵イラストとトークンと紐づけて売買する仕組み」は、2014年1月に既にBTCのトークンである「カウンターパーティ」にて実現しています。(※スマートコントラクトによるイラスト部分の書き換えはありませんでした)

では、なぜETHブロックチェーンでブレイクしたのか?色々要因はありますが、ひとえに「NFTアートを売買可能なオークションサイト、二次流通サイトが、スマートコントラクトと相性が良かった」からです。

インフラが構築され、王道ジャンルのNFTアートが高額売買され、資金が流れ込んだタイミングで、知ってか知らずかBTCのNFT文化をETHに持ち込んだ。これがブレイクしたのが今の状況です。

技術的には冒険している部分が全く無い為、多くの資産家の方々からは投資対象として見られておりません。純粋にクリエイターさんへの寄付目的で購入されている方々が殆どです。


<具体例:日本で有名なサービスをチョイスしてます>


個人的には、1番妥当な金額で取引されている分野なのかなぁと思っていますが、私が所属している場所でもあるので、ちょっと甘め解説かも知れません、ご注意。

■コレクティブ

こちらも「NFTアートの代表例」のように語られがちな、コレクティブNFTアートですが、「ビットコイン文化の移植」でしかありません。再ブレイクした理由も同じです。

しかしながら、BTCのカウンターパーティでは、これほどの数のコレクションをmintする方はいらっしゃらなかったので、新しいイラスト文化として定義して良いんじゃないかなと思ってます。

NFTアートはドット絵であるべき、クオリティはむしろ求められない、それでも高く売れる、という根拠なき幻想から始まっているので、ドット絵が多いです。多いですが、kawaii SKULLさんみたいな領域に行ってしまうと、恐れ入りましたよくぞそこまで突き抜けてくださいました、です。自分の信念をしっかり持っているクリエイターさんは、どんな場所でも伸びる好例です。


<具体例:日本で有名な作品をチョイスしてます>


前述した『Azuki風イラスト手書きNFTによるジェネラティブ』みたいなものも、コレクティブに属します。

「ひとめで自分の絵と認めてもらうために、同じ構図同じポーズで、さまざまなパターンを描くんだ!」「ファンアートもいっぱい描いて貰って知名度を広げるんだ!」「組み合わせパターンを変えるだけだからアイディアが尽きることはないんだ」

素晴らしいです。
ただ、パソコンさんが関与していないので、残念ながらこれらは「ジェネラティブ」ではありません。

(※パーツをいっぱい作って、パソコンで『自動』組み合わせしてNFTアート化するなら、ジェネラティブです)


<具体例:日本で有名な作品をチョイスしてます>


自分のブランドを育てる最初の1歩目として、コレクティブを選ぶのは、正しい選択肢かも知れません。

■アイコン

アイコンに利用できる1枚イラストをいっぱい作っている方々。最近はTwitter Blueの特需もあり、ニーズが急激に増えています。


<具体例:日本で有名な作品をチョイスしてます>


アイコンNFT販売以外でお金を追いかけている感じがしないので、純粋な趣味なんでしょうね、応援します!!

■ファンアート、Thanksスタンプ

あるNFTアートのファンの方が作成した2次創作作品。
オークションや特定イベントに参加した方に対する記念品などです。

利益は度外視、コミュニケーション目的で作られます。入手したコレクターは保有し続けますので、2次流通市場に流れてくる事は、ほとんどありません。投資対象・投機対象とはなり得ませんが、確かに存在する属性です。

ファンアートOKのNFTアートは、基本的にはクリエイターさんがガイドラインを出しているので、それに従いましょう。

Thanksスタンプの代表例は、以下のようなものです。

  • 2022年1月前半に流行った「NFT年賀状」

  • オークション入札者に送付する「Thanksスタンプ」

  • 特定NFT保持者に定期的に送られる「記念品NFT」

基本的には無料配布されますが、稀に「サポータ」や「ファン」タイプのコレクターさんが2次流通を交渉しているケースを見かけます。

■memeイラスト

難しいことはよく分からないけど、俺は好きなNFTを作るぜ〜🐧🐧🐧

大好きです、応援します!!

■【QA】複数の属性を保有するNFTは存在しますか?

はい、存在します。
「ジェネラティブのイラストが付与した権利書」
「色違いのコレクティブ装備が混ざっているゲームアイテム」
「歴史的価値があるが、そもそも紐づいている画像がmemeイラスト」
「コレクティブなファンアート」
などなどです。

■【QA】コレクターの購入動機が属性に影響を与えますか?

はい、明確に与えます。
投資家・投機家タイプのコレクターが「1枚イラスト」を購入する際は「さいとう なおき」先生や「ケイゴイノウエ」先生の作品を選びます。
ファンタイプのコレクターが「1枚イラスト」を購入する際は、自分の推しのクリエイターさんからしか購入しません。

期待できる売上金額には、10倍以上の差があります。

■まとめ

かのように、コレクターのタイプ・作品が持つ属性によって、NFTアートの使い方や相場は全く異なってきます。

「NFTというものは…」から始まる言葉が、いかに大きな主語なのかだけでも、実感して頂けましたら幸いです。

・・・もっともっと細かい分類できそうですね。
底なし沼が見えたので、本日はここまで!!
ではでわではでわ!!


【付録】謝辞

本noteの記載内容について、ご指摘やアドバイス、ご意見を頂きました皆様をご紹介致します。

本当にありがとうございました!


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