ラブコメの主人公

 私は漫画を読むのが好きだ。小説を読むのは苦手だ。いい歳こいて本を一冊読むのに非常に時間がかかる。読み始めてしまえばこちらのものだが、読み始めるまでが時間がかかる。何とかしたいと思っている。思っているだけだ。

 漫画を読み始めたのは、小学生のころからであったと思う。自分の中では、小学生はコロコロコミック、中学生はジャンプ・マガジン・サンデー、そんなイメージがある。私は中学に進学してジャンプを読むようになった。周りの同級生の漫画の話題はコロコロコミックではなく、ジャンプの話題ばかりだったからである。そこで私は今まで出会ったことのないジャンルに出会う。ラブコメだ。

 ラブコメ作者の画力が高く、登場する女の子は皆可愛い。そして、画力が高い人が書くものだから主人公等の男キャラもカッコいい。作中で「俺はどこにでもいる普通の高校生だ。」などと冒頭で主人公が語って平凡な雰囲気を醸し出そうとするが、イケメンだ。主人公も友人もイケメンばかりだ。確かに、能力・性格等は普通かもしれないが容姿は端麗だ。感情移入が困難である。ギャルゲーのように主人公の顔が一切映らないようにとも思ったが、ストーリー進行が困難になる。しかし、主人公の名前などの情報は予め決まっている。ということは、読者が共感出来るような作品ジャンルにしようとは、最初から思っていないのかもしれない。では、ラブコメで伝えたいことは一体何なのかと考えたが、登場する女の子がかわいければどうでもいいなと目が覚めたので考えるのをやめた。

 10年ほど前に読んでいたラブコメをもう一度読んでみると感じることが多いことに数年前気づいた。連載していた当初には女の子可愛いとか、エロいなとか安直な事しか考えていなかった。それが今ではさまざまなことを思うようになった。自分が成長した証なのかもしれない。そう考えると、ラブコメは自分の人生における一つの成長パラメータとして考えることが出来るのではないだろうか。中学生の時にラブコメを読んでいると、「お前えろいー」とバカにしてきた同級生もいたが、今は皆無だ。皆成長したのだ、きっと、おそらく。

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