新築のおかげで抑え目に感じることが出来る早朝の肌寒さを感じながら、私はいつものように目を覚ました。
なんだか、いつもの朝と違うようだ。違和感を感じた腕の先には花澤香菜さんがいた。朝の寒さから身を守るように、私の腕にしがみつき布団にくるまっている。
私が彼女の存在に気づいたことに彼女も気付いたのか、恥ずかしそうに目線をはずし布団の奥へと逃げてしまった。私はその仕草をたまらなく愛おしく感じ、抱きしめてしまっていた。

 ふと反対側にも人の気配を感じ振り返ると、宮野さんがいた。すごい賑やかにしている。もうすでに顔が賑やかだ。その更に後ろには神谷さんがいる。神谷さんは横を向いたまま寝ていて、こちらの賑やかさには一切関心が内容だった。またあたりを見回すと、錦織選手がテニスの練習をしている。初対面にもかかわらず、話しかけたら爽やかに対応してくれたナイスガイだ。
 何だろうこの状況はと、いささか混乱しているといつの間にか目の前に先日友人の結婚式で初めて言葉を交わした高校の同級生がいた。見た目が坊主頭に髭と、やや厳つい雰囲気の彼が色付きの眼鏡をかけてスーツ姿なものだから、中々の迫力を身に纏い私に話しかけてくる。見た目の怖さに拍車がかかった彼はとても友好的に私に話しかけてくれた。見た目だけで、その人のイメージを決めつけてしまった自分は何と愚かなんだろうと思い、自分の惨めさを感じた。

 そして私は見慣れた天井を目にし、本当に目が覚めたことに気づく。花澤さんの部分だけでもと思い二度寝を試みようとしたが、会社に遅刻するので私は気合を入れて布団から出た。目さえ覚めなければ最高の夢だったのにと思い、今日の夢のハイライトを何度も反芻しながら私は会社へと向かった。


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