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耳鼻咽喉科学校健診の季節です。

プロ野球が開幕し、先日は佐々木朗希投手が完全試合を達成しました。
ニュースで見たのですが、圧巻の投球でしたね。この試合はきっと伝説となることでしょう。
アメリカではメジャーリーグも開幕。今年も大谷選手の活躍も期待したい。

4月になり、新生活が始まったという方も多いと思います。子供たちは新学期も始まりました。それと同時に、学校健診も順次行われます。
今回は、耳鼻咽喉科学校健診についてnoteしてみたいと思います。


学校健診は、6月末までに実施されます。

毎年行われる学校健診。学校健診の実施は学校保健安全法で決められています。病院学校保健安全法施行規則第5条第1項に記載されております通り、定期健康診断は6月30日までに行うことになっています。よく耳鼻咽喉科健診はプール授業が始まる前に、という話を聞きますが、それだけが理由でも無いんですね。

学校健診の項目は多数あります。なかには削除された項目もあるんです。2003年から色覚検査が、2014年には座高検査と寄生虫卵検査が必須項目から削除されました。そういえば、私が子供の頃はそういう検査を下覚えがあります。

耳鼻咽喉科健康診断では、耳、鼻、のどの診察、そして聴力検査が該当します。


耳鼻咽喉科健診で指摘されやすい疾患と注意点

耳鼻咽喉科健診でもっとも指摘されやすい疾患は、耳垢栓塞とアレルギー性鼻炎です。

まずは耳垢栓塞です。いわゆる耳垢が外耳道につまっている状態です。
耳垢がたくさんたまった状態になると、耳栓をしているのと同じ状態になり聞こえが悪くなることがあります。綿棒で気が付かないうちに奥に詰め込んでしまっっている場合もあります。

耳垢栓塞と指摘される時は、かなりの耳垢があるため鼓膜の所見が確認できない場合が多いです。すこし耳垢があるくらいでは指摘されません。ですので、耳鼻咽喉科へ受診し耳垢を除去し、鼓膜所見が問題ないかどうかを確認してもらってください。学校によっては、おうちで取れなければ受診を支持される場合もあります。その際はまず保護者の方が耳内を確認してみてください。耳垢を取るのが難しそうな場合は、耳鼻咽喉科へ受診指定いただいてかまいません。耳垢栓塞と指摘された場合はかなりの耳垢で耳が詰まっている場合が多いですので、耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

続いてアレルギー性鼻炎です。アレルギー性鼻炎は、ハウスダストやダニ、スギやヒノキなどの花粉のアレルギーにより、鼻炎を生じている状態です。
就学児のアレルギー性鼻炎の有病率は約3~4割と言われています。

 しかし、耳鼻咽喉科健診でアレルギー性鼻炎と指摘されるのは約1割程度です。これは、耳鼻咽喉科学校健診では、鼻の粘膜の蒼白腫脹、水溶性鼻汁等の多角的所見の明らかな児童のみを指摘しているためです。つまり、アレルギー性鼻炎があっても、内服治療をして所見の改善が認められたり、季節性のアレルギー性鼻炎で症状が軽い時であったりすると、健診では指摘されません。また、あまり鼻閉などの自覚症状がないと思っていても、指摘された場合は治療について相談をした方が良い所見があると思っていただけると幸いです。鼻閉がひどいと眠りに影響します。授業中の居眠りや集中力、さらには学力に影響が出ることもありますのでご注意ください。また、指摘されなかったらアレルギー性鼻炎が治ったというわけでもありません。鼻汁、鼻閉、くしゃみなどの症状のある時は耳鼻咽喉科へ受診をお願いいたします。


聞こえに影響がでる滲出性中耳炎

頻度は少ないですが、小学生低学年以下の生徒で時々指摘されるのが滲出性中耳炎です。滲出性中耳炎とは、鼻炎やアデノイド増殖症が原因となり、時間機能の低下により中耳に滲出液が貯留している状態です。飛行機や高速エレベータで耳が詰まった状態と思ってよいと思います。滲出性中耳炎に罹患すると、聴力が低下します。長期間この状態にある児童は、耳の聞こえが悪いことに慣れてしまって異常と気づかないことが多いです。特に片側性の場合は良耳は普通に聞こえますので、気づかれないことも良くあります。

滲出性中耳炎は長い間罹患していると鼓膜が陥凹していき、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎といった難聴が不可逆的な疾患へと進行してしまう場合があります。耳鼻咽喉科学校健診ではこのような疾患にも注意して診ています。


おわりに

耳鼻咽喉科学校健診についてnoteしてみました。これから各学校で順次実施されます。指摘された場合は耳鼻咽喉科への受診をよろしくおねがいいたします。
耳鼻咽喉科学校健診へ行くと、懐かしい元気な顔に出会えることも、この季節の楽しみの一つです。

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