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学生が惹かれている農業・3

 農業オタクの友だち、徳ちゃんは、お芋が好きです。お芋が持つ生命力の強さに惚れています。「江戸時代の稲が不作の時、お芋は何度も飢饉から救ってくれてたんやて!すごくない!?」と、ニコニコしながら、自分の息子を自慢する、お父さんのように話します。

 人々を飢えから救ったお芋。一方で『いもっぽい』という表現は、江戸時代から田舎者を小馬鹿にするために使われていました。でも、お芋好きの徳ちゃんにとっては最高の褒め言葉。お芋のように素朴で温かみのある、そんな雰囲気を持つ人に彼は憧れを持っています。だから徳ちゃんは、お芋が世間に持たれている、ネガティブなイメージを変えたいという想いを抱いています。

 そのため、徳ちゃんが密かに企んでいるのがフードトラックで日本を巡りながらお芋を味わってもらうこと。蒸したさつまいもの優しい甘みで、日々を忙しく過ごす人たちにホッと一息する瞬間を届けようとしています。いつかあなたの街にもお芋売りの徳ちゃんが来るかも。  

●内田修次

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