コロナ禍/下でのマッチングの出口戦略

M6のみなさん、コロナでいろいろ大変だと思いますが、今年のマッチングについて私見/予想を簡単に述べます。それなりに都内/地方と見学を重ねてきた経験がベースになっております。

目次
┣前提
 ①見学が必要条件からはずれた
 ②見学の代わりにオンライン説明会・個別面談/相談が必須化される
┗予想
 A:すでに見学してた人の方が有利
 B:実際に見学してみないと分からないことが沢山ある
 C:人気病院と不人気病院の差が広がるかもしれない
 D:さらに予測。現地で面接できる?
 E:オンライン面接/試験でマッチング登録数が増えると…

①見学が必要条件からはずれた。
四月の上旬の段階では、6月位に見学できるか、、、と考えていたのですが、冷静に言って八月の面接時期までに見学は許可される社会的状況にはなりません。どこにも見学にいってないから、はやくコロナが収まってくれなくちゃ困る、という人も沢山いると思いますが、はっきりいいましょう。もう見学はできません。(レジナビも無理だよね)

この見学実施の是非に関しては、マッチング機構が04/09の段階で声明をだしています。すばやい対応は評価に値します。(以下引用

”面接等のスケジュール等は、感染拡大防止の観点から、柔軟な対応を行うこととし、やむを得ず病院見学に参加できなくなった場合あっても、当該研修希望の不利益とならないよう、選考にあたり配慮を行うこと

つまり、万が一見学できなくても面接に臨むことができるよ、ってことです。以前は見学をすることがマッチング登録および面接権獲得の”事実上の暗黙の了解”になっていましたが、この声明によって見学そのものは必要条件から十分条件へと格下がりしました。

 ①まとめ:見学できなくてもそこまで心配しなくてよい。みんなできないし。

②見学の代わりにオンライン説明会、オンライン個別面談/相談が必須化される。
じゃあ見学しないで、いきなり八月に面接に臨めばOK?というのは早とちりです。そうは問屋が卸しません。現在、大抵の病院は対面見学からオンラインでの説明や個別面談に切り替えております。今年はこの”オンライン”が新たな暗黙の了解になっていきます。つまり、事前にオンラインで情報交換をしていないM6は、機構の声明通り一応面接に臨むことはできるが、オンラインで情報交換をしたM6よりは評価が不利になりやすいことが予見されます。行きたい病院があるならば、積極的にオンラインでつなぎましょう。説明会を複数回行うなら、それらすべてに顔を出して、印象を残しておくのが得策となります。

 ②まとめ:オンラインで印象を残して自己アピールしておこう。

とまあここまでは事実ベースで簡単に言えることです。
実際この”見学不要&オンライン説明会必須”によって引き起こされるさまざまなメリット・デメリットを見てみましょう

A:すでに見学してた人の方は有利?
いわずもがなですが、コロナのせいで見学ができません、と宣っている人は、見学ガチ勢からみれば情弱勢です。人気病院を真剣に狙っているひとはM6になる前にすでに一通り見学を終えています。そのため、すでに見学をしたという事実があるM6と、コロナのせいで致し方なくオンラインで情報交換をするM6とでは、病院側の”受け”が違ってきます。いわずもがな前者の方が評価が高くなりがちになる傾向は、避けれられないでしょう。あきらめるしかりません。

 Aまとめ:見学できなかった人は既に見学できた人よりも不利です。

B:実際に見学してみないと分からないことが沢山ある
レジナビ等に参加した後、当該病院に見学をしにいった人ならわかりますが、病院外での説明会では病院の中のnon verbalな情報は知り得ません。中に潜入して情報を聞き出さないかぎり、上っ面で耳障りのよい情報しか与えれくれません。レジナビあるあるですが、①救急充実してるアピール(研修病院認定されているからそりゃ当たり前だろ)、②選択プログラムが多いよアピール(少ない方が珍しい)③明けは休みだよアピール(実際は科に依りますという後出し情報)④出身差別ないよアピール(出生地差別はしてるけど、結果的に出身大学にばらつきが出るので、表面上差別してないように見える)、などなど、身に覚えのある人はいるでしょう。実際の働き方(給料、お休み等)、上級医の人柄(やばい奴いないか。たまにいる。)、職員の雰囲気(特に事務員や研修医担当の人)、研修医室の様子(狭い、本棚ない、職員常駐してるなど)、におい(くさい病院もある)、食堂(旨い/不味い)などのソフト面は行ってみないとわかりません。またハード面(立地、周辺環境)はGoogle mapである程度分かるとはいえ、それだけでは不十分です。特に地方病院で土地勘がないところでは、実際に行ってみて「やべ、詰んだは」という経験をすることもままあります。
即ち、一度も見学に行くことなくオンラインでのみの情報交換になった場合、病院の実情を肌で感じることことなく、表面上の甘い言葉に騙されてマッチングに登録することになります。例えばハイポ志望だったとしましょう。

”聞く限りここはどうもユルそうだし、給料も高いし、OKじゃね?登録すっぞ、受かった!・・・えなんか話違うし、めっちゃいそがしいじゃん、え?当直は時間外でないの?当直代だけ?明けは休みだっていってたじゃん!外科は明けも働くの?土曜日は勉強会?そんな~・・・チーン”

こういう”ミスマッチングが容易に起こり得ます。

マッチング、という言葉が示すとおり、学生の望む研修生活と病院では働き方・プログラムがマッチしてこそ、堂々とマッチングと名乗れるです。しかしながら今年のオンライン説明/面談でしか情報を得られない人は、残念ながら”真のミスマッチング”のリスクを抱えることになります。ま、あきらめるしかないけど。

え?ホ〇トレジデンツの口コミがあるから大丈夫だって?

実際に沢山見学しにいった身からすると、ホク〇レジデンツの口コミは話半分に捉えておいた方がよいです。誤情報ももちろん、新旧の情報が混在しています。「あれ、口コミと違うな」という経験は沢山ありました。

(弁明:ホクト〇ジデンツ自体は大好きです。応援してます。)

 Bまとめ:見学>>>オンライン/レジナビ/〇クト口コミ

C:人気病院と不人気病院の差が広がるかもしれない
いままでは現地に出向いて見学するという制約があったため、ある程度病院を絞って志望する必要がありました。しかしオンライン説明会に切り替わると、首都圏だろうが地方だろうが、少しでも行ってみた思う病院と情報交換することが容易になります。すでに述べたようにオンラインの場に参加することが面接/試験への切符となりますから、以前よりこの切符を入手することが遥かに容易になります。特に地方大学から首都圏の病院を希望しているほとは、いままで物理的な距離による時間とお金の制約がほぼ0になります。そうすると、とりあえず人気病院に片っ端に応募して数打てばあたる戦略をとる人も現れます。例年マッチング登録は3強ですが、これが4ないし5まで上がることもあるでしょう。ではここから予想されることはなにか、首都圏人気病院の倍率がさらに上がるということです(わー大変)。逆にいえば、首都圏からわざわざ地方に行きたい人はいないので、地方の不人気病院はいままで以上に倍率が下がることが予見されます。そしてこれらの現象は最終的にはミスマッチ率の上昇につながります。二次募集、三次募集が忙しくなることもあり得るでしょう。

 Cまとめ:滑り止めを設定してマッチングを確実にしましょう

D:さらに予測。現地で面接できる?
ここからは結構エスパーです。

通常の流れですと、大体八月に病院に出向いて、面接や試験をするというスケジュールになります。が、、、
そのためには、日本全国の、すくなくとも大部分の都道府県において緊急事態宣言が下げられ、自由に県外(域外)へと行き来できる状態になっていなければなりません。しかしそれは現実な未来ではない、と個人的には思っております。具体的なコロナ予測をする場ではないので割愛しますが、八月の段階で域間移動に制限がかけられており、なおかつ依然として医療崩壊の渦中である、仮定した場合、マッチングの面接/試験にどのような変化がおきるでしょうか。

まず域間移動ができないとすると、もちろん現地病院に赴いて面接/試験をすることは、まあ難しくなります。現地面接をするかしないかは各病院の判断になりますが、誰も損をしないwin-win状態にするには、もはやオンライン面接/試験以外にはありません。もちろん学生にとっては実際に病院の、病院にとっては学生の”生の雰囲気”が分からないという欠点があります。どちらも、やば病院にあたってしまう可能性、やば学生を引いてしまう可能性は残りますが、現地面接/試験をすることで域内の学生しか集められない事態よりはましではないでしょうか。最大公約数をさぐるとオンライン面接/試験が妥当であるような気がしてなりません。域間移動が制限されているのに現地対応しかしないとすると、”地方には残りたくない、東京にでたいんじゃ”という人はいやいや地方に残留することになります(地域としては棚ぼたですが)。”都内のハイパーはいや、地方ゆるふわハイポ高給病院に行きたいんじゃ”、という人が都内ハイパーに配属されたら、自殺もあり得ます。

域内移動制限によって
 1)域内(県内)での就職が強制される世界
 2)オンライン面接/試験で域外(県外)の病院にも今まで通り就職できる世界

はたしてどちらがよいかは、自明ですね。

 Dまとめ:オンライン面接/試験も十分にあり得る

E:オンライン面接/試験でマッチング登録数が増えると…
さらにエスパーします。オンライン面接/試験が導入された場合、

 1)マッチング登録数の増加
 2)地方/都市の物理的垣根がなくなる

この結果、一部の人気病院において応募者が急増する可能性があります。すると、場合によっては多数の応募者に対応する労力を削減するため、面接/試験の足切りをする可能性も見込めます。その際の指標としては、簡便性と妥当性を保持するために、CBTの点数を採用するのが現実と思われます。まるで国立大学のセンター足切りと同じ現象が起こるかもしれません。

 Eまとめ:人気病院に足切りが導入された場合、CBTが指標となるかもしれない。

以上、後半はかなりエスパーしましたが、当たらずとも遠からずかなぁ、と邪推しています。余談ですが、マッチングの時期が変更になることはないでしょう。各大学で卒試や実習のスケジュールが異なりますから。

ただし、仮に日程が変更さるとしたら、国家試験後説が濃厚だと思っています。

どうせ卒業旅行で海外満喫、とかできないですし。


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