ひと夏の人間離れ/#毎週ショートショート
410字のショートショート、今週もやってみます。
ひと夏の人間離れ
7月7日、僕は一度死んだ。
なるほど、これが三途の川か。
せめて彼女を作りたかった。毎日コンビニで会って気になっていた店員のあの子を、ちゃんと誘えばよかった。いつものように同じおにぎりとウィルキンソンの炭酸水を買って、彼女は「今日も同じですね。私もこのおにぎりと炭酸水好きですよ」とほほ笑んでいた。そのあとの意識がない。ああ、あんたが閻魔様か。
「お前は肉体は無傷だが、心臓が停止した。特別にお前が最後に会った者を身代わりにして蘇らせてやろう。そうでなければ、地獄だ。」
「ふざけるな。どうか彼女を身代わりにしないでくれ。地獄でいい」
「ならば仕方ない」
*
目が覚めると、病院のベッドの上だった。気がつくと、コンビニの彼女がいた。
「ああ、良かった。突然倒れたので……七夕なのでどうかこの人を助けてくださいと願っていました。」
退院後、僕は彼女と一緒に天の川を見に行くことにした。いつもと同じおにぎりとウィルキンソンの炭酸水を買って。
(410字)
そんなわけで、七夕からはだいぶ経ちますが、「今日一日を最高の一日に」
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